小春「入れ替わってるー!?」なななな様「その3」
音黒大学付属高校。偏差値5。
「服陣帝というのはお前か?」
「ううん。私は新城小春だよー。虹の橋のお姫様なんだー。」
「先輩!?どうしたんですか!?帝先輩は帝先輩です!!」
帝の舎弟は、先輩の明らかな変化を見て戸惑っている。
「‥‥‥‥。そっかー。そうだね。ワイが帝だよ。」
帝を訪ねて来た男は、手に持っていた『200t』と書かれた段ボールをいとも簡単に投げ捨てた。
「あいつ、200tの段ボールをあんなに軽々と‥‥。先輩、勝てますよね!?信じてますからね!先輩はホエール投げ世界チャンピオンなんですよね!?」
「そうやー。私がチャンピオンだー!」
「自己紹介と行こうか。俺は脚笛地高校の『シカバネのモルモット』。ここいらじゃ有名な不良だ。」
「手合わせ願おうじゃねえか服―――――」
「ねこちゃんだー!こっちおいでー!」
グラウンドに入り込んだ猫に小春は呼びかけていた。
「何だこいつは‥‥。」
「帝先輩!?もしかして、あほ過ぎて精神崩壊したんですか!?」
突如起こった謎の事態に舎弟も何も言えない模様である。
「舐め腐ってんなお前‥‥。どういうことかわかってんのかぁあああああああ!?」
「わかってるよー。なにがでるかなー♪」
小春は当然、打ち出の小づちから適当な鎌を取りだした。
「鎌はまずいっすよ先輩!」
「えーい!」
舎弟が瞬きするより早く、小春の鎌はシカバネの首をとらえていた。
哀れな不良から血が吹き出る。
「首を、躊躇なく狙いやがった‥‥‥‥。動脈を持ってかれた‥‥。」
「主文!シカバネさんを、虹の橋で子猫ちゃんに和まされる刑に処しまーす!」
鎌をもって追撃を加えようとする小春。いまは帝の姿をしている者の、その残虐性はいまだ消えていなかった。
「帝‥‥。『BE 最強』と噂されるこいつの伝説は聞いていた‥‥。機動隊を全員殴り殺したとか、富士山の噴火を食い止めたとか、電信柱が股間に生えているとか‥‥。だが、ここまでの狂犬だとは、予想してなかったぜ。俺の、負けだ。」
「そうです!帝さんは身長2017cm,体重2017kg,握力2017tですよ!?分かったらさっさと退散しなさい!お前たちじゃ相手にならないんですよ!」
舎弟も啖呵を切る。
「ごめんなさあああああああああああああああああい!!」
斬られた首を支えながら、シカバネのモルモットは逃げて行った。
「はははは!!オレたち、音黒府高校は『BE 最強』!!」
「あははははは!そーだねー!」
「あーそーそ。いま実はね、お日様と同じぐらいの大きさなんだよ。」
「先輩流石!!!マジリスペクトッス!!」
しかし闘いはまだ終わっていない、外でうるさいバイクのエンジン音が聞こえる!
「なんかうるさいねー。」
「おらああああああ!!帝おおおおお!!殺してやるぞおおおお!!」
バイカー共が爆音を響かせながら威嚇してくる。その数、200。脚笛地高校の不良たちが一斉にグラウンドにたむろしている。
「バイクがいっぱい‥‥‥‥。ありさんみたいだー。」
「どうするんですか先輩!?まともに戦えるのはオレと先輩2人しかいないっす!」
「いーことおもいついちゃった♪」
「どうしたんですか!先輩!」
「ありさんはね。砂糖水を上げるとよろこぶんだー。」
「家庭科室から、おさとうあるだけ持ってきてー。」
「わ、分かりました!」
「じゃあ、プールの水にお砂糖をいれるねー。‥‥よし!ん?」
小春は、プールサイドの脇に落ちている謎のカードを見つけた。
「なんだろ、このカード。『予告状』?まあいっか。」
「よーし、打ち出の小づち、はっしゃー!」
小春は打ち出の小づちからプールの水を呼び出し、大量にグラウンドに投下したのだ!
「なるほど、この高校のグラウンドのフェンスにはスキマがない!!水がたまって溺れるってわけですか!!流石先輩、『BE 最強』です!」
「蟻さんよろこんでくれるかなー?」
ひとたまりもないのは不良である。砂糖水で満たされ、エンジンにも入り込む。砂糖水で水没したバイクはもう使い物にならないのだ。
「こりゃかなわん!退散だー!!」
「うおおおおおおおおおおお!!勝っちゃった!!!あの『BE 悪魔』と名高い足笛地高校の奴らに!!」
「あれれー。蟻さんたち逃げちゃった。運んでもらいたいものあったのにー。」
「いや、まだです!」
エンジン音が近づいてくるのを感じる。おそらく、校内を走っている!!
「おりゃああああああああああああああ!!」
バイクが屋上に突入し、男が降りる。プールサイドに轍がくっきりと残った。
「なんですか、こいつ、先輩、やっちゃってください!!」
「俺はなあ、身長2kg、体重2mだ。『風船のトラ』とでも呼んでくれ。」
なんとその男は、身長2kg,体重2mという矛盾した存在だった!
「んー、どういうことなんだろー、身長がkg‥‥体重がm‥‥。うーん‥‥。」
小春は考え込んでしまった。
「先輩、早くしないと殺されます!」
「だんでなろー、ぶんぷくちゃがま‥‥。」
「お前が来ないならこっちから行くぜ。」
風船のトラは、バルーンアートを繰り出した。膨らまし、ねじり、形を作っていく。破裂するかしないかひやひやしながら小春と舎弟は見物していたが、その心配は杞憂だった。
「ほーら、完成。トラだ。もっていきな。」
「ありがとうございます!」
舎弟はそれを受け取ろうとしたその時!!
「さわっちゃだめ!!」
小春が大声で制止した。
「あのとらさん、爆弾だよ!!」
「ほう、見抜いたか‥‥。俺のバルーンアートボマーを‥‥!」
「どういうことですか!?先輩!?」
「とらさんはね、怒ると爆発するんだよ!!」
「ばれたら仕方がない。貴様‥‥。この学校、全部爆発させてやる!!」
「もう、終わりですか‥‥?先輩‥‥。」
絶望するには、まだ早かった。
「おらっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
突如乱入してきたバイク人間『女』に、風船のトラは轢かれた。
「おい!!帝!!こんなトラごときにやられてんじゃねえぞ!?」
「スズ先輩!!帰って来たんですね!?」
「スズさん?あー、みたことあるかもー。」
そう。スズは有海と心臓破りの峠でバイクレースを繰り広げた挙句、心臓を破裂させ、小春と七鞠の手術を受けた女である。
「ああ!?おまえ、あたいの元彼だろ!?見たことあるレベルじゃねえよ!!」
「そうだったー。」
「まったく、あたいがいないと駄目だな、帝はよお。」
照れながら帝の心配をするスズは、やっぱり諦め切れていないのだろうか。
やはり、女の子である。
「ありがとねー。」
「うおおおおおおおおおお!!帝先輩と、スズ先輩!!そしてこのオレ!この3人が揃えば、音黒府高校も、『BE 最強』なんてもんじゃない!!『BE ABSOLUTE 最強』ですよおおおお!!」
感激するのは舎弟である。
「ああ!!そうだなあ!」
「そーだね!」
三人は、コツンと拳を打ちつけ合った。




