七鞠「面白ければいいんだよ。」なななな様「な、な、な、なんですとー!?」
『「神様研究所」では幼女の神様を研究しています。幼女か神様、どちらかが好きな方は是非とも助手になりやがれ!場所は●◎県××市‥‥‥』
このチラシは●◎県××市で2000枚ほど配布された。
「何だこのチラシ。馬鹿じゃねーの。」
「俺、幼女好きなんだけど。」
「はは!お前みたいなやつが高い布団買わされるんだよ!」
だが、普通こんなチラシがポストに入っていても、とりあえず黙殺するだろう‥‥。
と思ったそこの君!それは大きな誤算だ!
なぜなら、この世には常人しかいないわけでは、ない!!
というわけでこの物語は、常人ではない奴らが織り成す、神様の実験録である。
ごゆるりとお楽しみくださいませ。
そもそも、なぜ、こんなチラシが配られることになったのか‥‥?
そこから語らなければ、ならない!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とあるさびれた研究室‥‥とは名ばかりの普通の部屋。
そして床に書かれた怪しげな魔法陣を前に、男が仁王立ちしている。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じ‥‥」
そう。たった今、日本国憲法という名の呪文を唱えているのは稀代のマッドサイエンティスト。その名前を「初行七鞠」という。ちなみに今年で28になる。彼の研究によれば、この呪文を唱えることで世界の神が召喚されるのだとか。彼がそう言えばそうなのだ。疑問を挟む余地はない。
「後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。‥‥‥降臨せよ!神!!」
ピンポーン!
詠唱が終わるその時、研究室のベルを鳴らす何者か。
七鞠は、ドアの穴から訪問者の顔を見る。
「よし。N○Kじゃねえな。はい!」
「宅配でーす。結構重いですね。」
「ありがとうございます。自分で運びます。」
結構な重量の段ボールを持ち、研究室の中に運び入れる七鞠。
「なんだこれ?俺こんなもの頼んだか?」
七鞠が恐る恐る段ボール箱を開けると――
「じゃじゃーん!!こんにちは!私、神様です!」
青い輝きを放つ幼女が入っていたのだ!!
この異様な状況で尚、七鞠の関心事は一般とは異なっていた。
彼が気にするのは、その幼女のさらさら髪やふりふりのスカート、つぶらな瞳ではなかった。そんなこと気にするのはロリコンだ。七鞠はロリコンなどではない!彼は本質を見ていた。
「魔法陣意味無えじゃねえか!!」
「神様だってAmaz○n使うんです!」
これが、マッドサイエンティストと神様の邂逅であったのだ。
~~~~~~~~~~~
「なるほど。神様か。」
「神様です!うわっ!いきなりつかまないでください!」
「神様ならできるだろ!?俺の妹を戻してほしい!!」
「はいい?」
キョトンとしている神様にアルバムを見せる七鞠。森の中で兄妹仲睦まじく遊んでいる様子。乾電池を自作している様子。彼の妹は、兄と同じ科学者としての道を歩んでいたのだ。
「5年前、家出しちまった‥‥。あいつはどこに行ってしまったんだ‥‥‥‥。」
「うーん、死んだ人を元通りにするのはちょっと難しいかもしれないです。」
「何勝手に、死んだ扱いにしてるんだよ!!まあ、死んでいたとしても姿形まで元通りにしなくていいんだ!仮に怪物として蘇ったとしても、俺は妹を愛する!ゾンビでもいい!スケルトンでも!とにかく妹に戻ってきてほしいんだよ‥‥。俺の魂を差し出しても構わない‥‥。」
「な、な、な、なんて兄妹愛!そんな姿で蘇生させられる妹さんの気持ちを考えられないなんて、私感動しました!願い、叶えます!叶えさせてください!」
「なんだと!出来るのか!こいつはありがてえ!」
「よーし、呪文です!呪文を唱えます!ジュゲムジュゲム‥‥。」
「はい!これで七鞠さんでしたっけ?あなたの妹さんはこの世に戻りました!」
「ありがとう!!で、妹はどこにいる!?」
「えっへん!私はすごいんです!どこかにはいます!」
「どこだ!?麻里七!いるなら返事をしてくれ!」
しかし、どこからも声はしない。
「‥‥‥‥まあいい。神様だって失敗することはある。あまり当てにならんか‥‥。」
「そんな!?確かに私、叶えました!確実な手ごたえがありましたです!」
「‥‥‥‥。じゃあ、2つ目の願いだ。」
「な、な、な、なんですとー!おかわりですかー!?何のためらいもないですね!」
「そうだ。おかわりだよ!俺を世界一の発明家にしてほしい!」
「んー。もうなってますよー。」
「何だと!?神様からお墨付きをもらうとは!!やったぜ!」
「それじゃあ、3つ目のお願いをどうぞ!」
「そんなものは、ない。」
「ええっ!?ふつうお願い事は3つしますよね!?」
「じゃあそうだな。逆にお前、何か困ってることあるなら教えやがれ!」
「な、な、な、なんですとーっ!?逆にですか!?」
「‥‥昔、天界から落し物をしてしまったのです。」
「ふふふ。この天才発明家、七鞠に任せろ!」
そういって、七鞠は風車を2つとりだした。
「そんな時こそ、探し物を見付けてくれる、『ダウジング風車』!この初行七鞠の発明品だ!」
「風車ですか!?」
「針金2本持って財宝を探す場面、映画とかで見たことあるだろ?あれは近づくと針金が外側に開くんだ。それを応用したのさ!!」
「な、な、な、なるほど!どれだけ風車が回るかで、距離が分かるわけですね!」
「これでお前の探しものも見つかるさ!」
「ありがとうございます!それじゃあ行きましょう!」
というわけで研究所を出た2人は森の中を歩いていた。
「ここのあたりです。」
「こっち方面に行くたびに、回転速度が上がっている。」
七鞠は異常な速度で回転する風車を持って前進する。
「あ、何かが落ちた痕があります!あれです!」
「ちょっと待ちなあ!」
何かが落下した痕をみつけた神様は駆け寄ったが、七鞠が制止した。
「ふふふ。この七鞠様のすごさはこんなもんじゃあない。」
「落し物の上に近づくとな‥‥‥‥。」
七鞠は痕のところへ歩いていく。すると、七鞠の体が浮き‥‥。
「ほーら、空を飛ぶことができるんだよ!!」
そう。この発明の真骨頂。揚力が距離に反比例するように作られているため、近づくにつれて風車の回転速度が爆発的に上昇する。これにより、七鞠は揚力で浮きあがるのだ!
しかし神は見抜いていた。
「な、な、な、なんですとーっ!?空を飛ぶ意味が全く分からないです!基本宝物は下に埋まってるんですよね!?」
そう、この発明には何の意味もないことに!
七鞠は世界一のポンコツ発明家だったのだ!!
「おーーい!!そのとおりだーーーー!!探しものはその下に埋まっているぞーーー!」
上空から叫ぶ七鞠。
「はーーーーい!!ここにあるんですねーーー!」
「やった、これだー!」
既に5mぐらい高く七鞠は飛んでいた。
「おーい、飛びすぎたぜー‥‥よっと。」
七鞠は、風車を手放し着地。落ち葉のクッションが、骨粗鬆症予備軍のマッドサイエンティストを骨折から守ったのだ。
「あばよ‥‥‥‥。」
「さよーならー!」
そして、飛びゆくダウジング風車を2人で見送ったのだった。
「なるほど。落し物は3時のおやつか。」
「大好物のバナナです。雷と間違えて落としてしまったのです。」
「そうか、黄色いもんなあ‥‥。って、ばかやろう!間違えねえよ!」
「それはともかくありがとうございます。面白い人ですねー、七鞠さんって。」
「お前にはかなわんさ!」
「とにかく、バナナです!七鞠さんにもあげます!」
「いや、お前のものだ。お前が食べな。」
「じゃあ私一人で、いただきまーす!」
バナナをおいしそうに頬張る幼い神様を見て、七鞠の中で何かが変わった。
「俺は、お前を研究したい!!」
「わ、私をですか!?」
「頭のてっぺんから足のつま先まで、舐めまわすように観察する!」
「それは変態です!」
「とにかく!お前がどこまでやれるか見たい!お前を使って何ができるか知りたい!」
「神ですら研究する!それが、発明家&科学者、初行七鞠だーっ!」
「な、な、な、なんですとーっ!?」
つづく。




