インタビュー
全文会話文です。読みづらかったり、状況を想像しにくい部分があると思われますがご了承下さい。
<同僚の証言>
「これ、録音してる?」
「はい、後から記事にする時に使います。」
「ふーん、本格的だね。週刊グローブ・社会部・・・・、グローブってあのタブロイド紙だろ?
なあ、教えてくれよ。AV女優・坂下ミクの熱愛発覚、あれホントなのかよ!?」
「申しわけありません。その件に関しては芸能部が担当していろので私は詳しくは知りません。」
「ちぇ、なんだよケチ臭い。人には質問に答えろって言うくせに、自分は質問に応えないってか。」
「仕事ですので。」
「はいはい、解りましたよ。その分、謝礼弾んでくれよ。どうせあれだろ・・・是清の事だろ。」
「ええ、その通りです。彼はどんな人間でしたか?」
「その質問ならこの二ヵ月で何度も聞かれたぜ。あんたも好きだね、他の人間に聞かれた様にしか答えれないけどいい?」
「ええ、お願いします。」
「その前にタバコ吸いながらでもいい?」
「どうぞ。」
「悪いね、あいつは工場の同じラインの同僚で俺が捺染でアイツが精錬を担当してたんだよ。捺染と精錬ってわかる?俺たちは染色加工工場で働いていたの。捺染ってところが布を染めて、精錬ってのが染める前の下地をつくる工程なの。」
「つまり、是清氏の工程を通ってあなたの工程に移る訳ですね。」
「そういう事、流石記者さんは理解早いね。ラインが同じだし年も近いからあいつの事を俺に聞いてくるんだけど・・・・俺、アイツ苦手でさ。」
「苦手と言いますと?」
「まず暗いんだよ!何をやるにもボソボソしゃべって、メガネで猫背でさ。ありゃ完全にオタクってやつだな。俺が学校で同じクラス行ってたらソッコーで苛めてたな。」
「性格的に合わなかったという事でよろしいですか?」
「それもあるけど、あいつあんな神経質そうな顔して仕事が雑なんだよ!まあ・・俺も仕事が雑でよく次工程の人間に怒られるんだけどよ。なんつーか、すいません。へへへとか謝れば許してくれるのよ。けどアイツは注意してもあやまらない。いつもボソボソ言ってどんよりしてた。だから、同じ工場の人間も触らぬ神に祟無しで触らなかったのよ。だから、いつも空気ぐらいにしか思ってなかったんだ。
だから、事件前にアイツがどんな感じだったって聞かれても覚えてねーんだわ。」
「いつも通りだったって事ですか?」
「そ、いつも通り仕事して、いつも通りミスして、いつも通り定時に上がった。変わった事って言ったら・・・・・・そうだなぁ。俺はいつも帰りは京橋のパチンコ屋で打って帰るんだが、あいつが同じホームにいたのは覚えてる。あいつは確か京阪沿線じゃなかったはずなのに。」
「是清氏は普段の帰り道とは違う電車に乗っていた・・・・つまりどこかに寄り道をしたと?」
「それはわかんないけど、まあ、そうじゃねえか?だってよ・・・・・・・あんなものが部屋に置いてあるとは思えないからよ。」
「日本刀の事ですか?」
「あんたはっきり言うなぁ、俺なんか・・・・あんなあぶねー奴のそばにいたなんて、思い出したくもないぜ!まさか翌日、あんな事になるとはな。」
「ええ、白昼の道頓堀で是清康晴(21歳)がいきなり日本刀を振り回し通行人に切りかかった。
日本刀で怪我を負った5人が死亡、逃げる時に10人が転倒や将棋倒しになり重軽傷を負った。日本の犯罪史上最も忌まわしい事件の一つ、道頓堀通り魔事件です。」
「今考えても寒気がするぜ。その5人ってのは・・・・偶然通りかかったんだろ?やれやれ、ついてないもんだ。まっ、俺も変な同僚のせいで散々白い目で見られて来たけどな。」
「そうですか・・・・お気の毒に。」
「まあ、あれから二ヵ月たったし、大分落ち着いたけどな。けど・・・・俺は未だに思う事がある。
なんであいつはあんな事をしたのか?地味で社会に不満は持っていたけれど、通り魔するほどの根性はなかったと思うな。
おっと!悪い!もうそろそろいくわ。今日はパチンコの新台が出る予定なんだ。」
「解りました。本日は誠にありがとうございました。謝礼のお金です。」
「へへへ、悪いな。今日の軍資金に使わせてもらうぜ。染色工場も潰れて今も無職なんだよ。全部、あいつのせいだ!工場は今、新築の分譲マンションになっちまってる。」
「今日はお忙しいところ誠にありがとうございました。」
「いいって事よ・・・・・・そういえばあの事件をまだ追っかけているのか?」
「はい、なぜですか?」
「気を付けろよ。深入りした奴は必ず変死するって噂を聞くぜ。まあ、気を付けな。じゃあな、あばよ!」
<事件発生現場・半径50m以内>
「もう、二ヵ月が経ったんですか・・・・・今も昨日の事の様に覚えてますよ。」
「あなたはあの事件の当日、何をしていましたか?」
「丁度、午前中の外周りが終わって心斎橋で昼飯を食い終わって次のアポイントに行く予定でした。」
「お仕事は何をされているのですか?」
「医療器具メーカーの営業をしています。あの日、僕はファーストフード店で昼飯を食べてから道頓堀へ続く商店街を人波に飲まれながら進んでいました。
突然、前方がら女性の悲鳴が聞こえて道頓堀に向かっていたはずの人波が物凄い勢いで我先にと反対方向にながれはじめたんです。」
「その時は何が起こったかは理解出来ていましたか?」
「いえ、悲鳴が上がったので交通事故でも起きたのかな?って呑気に捉えていたんですが、道頓堀の方から人が血相を変えて逃げてきたんです。こりゃあ、ただ事じゃないなって話しながら混乱していたのを覚えています。」
「あなたはその後、どうしましたか?」
「人ごみをかき分けて道頓堀の方に走って行きました。今思えばなんであんな事をしたんでしょうね。恐怖よりも好奇心が勝った・・・・そんな感じでした。」
「貴方はそこで何を見ましたか?」
「人と人の間からですが、倒れている人を見ました。最初は映画みたいだなぁってのんきな事を思っていたんですけど、その倒れた人の周りにどんどん血の水たまりのような物が広がっていて・・・・今までに感じた事のない気味の悪さを感じました。」
「貴方は是清を見ましたか。」
「ええ、当巻ながら。チェックのシャツにチノパンでリュックを背負って道頓堀というよりも日本橋や秋葉原にいるようなオタク風のひょろっとした男でした。
手に細長い何かを持っていて、太陽の光に反射してキラリと光ったんです。それが血に染まった日本刀だと気がついた時には恐怖で僕も反対方向に手を引いて走ってにげました。」
「その時に人は何人ぐらい倒れていましたか?」
「確か・・・・奥で男性が3人ぐらいうずくまったり、うめき声をあげていたな。
その中にまさか武井教授が含まれていたなんて・・・。」
「あなたと武井教授はどんな関係でしたか?」
「武井教授は僕の母校の大学教授で政治経済分野の第一人者です。まさか、あんな形でお亡くなりになるなんて・・・・・。」
「武井教授は普段は道頓堀などにはよく来ていたのですか?」
「いえ、ほとんど自分の研究室から出る様な方ではなかったです。なぜ、あの時、繁華街である道頓堀にいたんだろう?」
「何か用があった・・・・もしくは誰かと待ち合わせをしていたとか?」
「うーん、それは解らないです。」
「・・・・では質問を変えます。貴方はなぜ道頓堀の近くにいたんですか?」
「なぜって?営業だからですよ。」
「貴方は医療器具メーカーの営業とおっしゃってましたよね?あんな繁華街に医療器具を取り扱う会社や病院はありますか?」
「・・・どういう事ですか?」
「医療器具の営業をあんな繁華街の真ん中でできますか?私が調べただけでも一番近い病院は本町の総合病院です。なぜ、貴方はそこにいたんですか?」
「な、なんなんですか?貴方はあの通り魔事件の件で私に話があるんじゃないんですか!!私はたまたま通りかかっただけです。私が繁華街にいてはいけないのですか?」
「ええ、確かに私は通り魔事件での調査もしていますが、別件でも貴方にお伺いしたい事があります。
これは私の友人からの依頼です。貴方先ほど「こりゃあ、ただ事じゃないなって話しながらその時は思いました。」・・・だれと話したんですか?
「反対方向に手を引いて走ってにげました。」・・・誰の手を引いて逃げたんですか?」
「それは・・・・その・・・・・・。」
「一ノ瀬満里奈さんですか?」
「な、なんで彼女の名前が出てくるんだ!」
「午前中から得意先のいない繁華街で女性と何をしていたんですか?」
「それは・・・・彼女の悩みを聞いてあげてたんだよ!!悪いか!!」
「ええ、それは上司として素晴らしい行いです。しかし、貴方も一ノ瀬さんもその日は午前休をもらっていたそうですね。」
「!!」
「そんな鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔しなくても。調べればわかりますよ。貴方の家は萱島ですよね?その前日の晩、貴方は出張と奥様に嘘をついて家に帰っていない。違いますか?」
「なにが言いたいんだ!!」
「昨日の晩から若い女としけこんで、午前中から繁華街で甘い時間を過ごしていたのでしょう。私の友人とはあなたの奥様です。この会話は録音させていただいたのでそのまま奥様にお渡し致します。」
<被害者友人の証言>
「陽子は太陽みたいに輝いている子でした。いつも笑顔で明るくて、アイドルみたいに可愛いのにお高く止まった所が無い。勉強もスポーツも常に一番で、先生達からも信頼が厚かった。
そんな陽子がなんであんな事になってしまうなんて・・・・・ごめんなさい。思い出すと涙が出てきちゃって。」
「心中お察しします。」
「すみません・・・・・・。今でも陽子が生きているんじゃないかなって思ったりもするんです。
私たちもうすぐ卒業ですけど、昨日も夢を見たんです。普通に朝、学校に行くと陽子があの弾ける様な笑顔で迎えてくれる夢を・・・・。」
「たしか・・・・陽子さんと貴方は菫が丘女学園の同級生でしたよね。」
「ええ、私は初等部から入学で陽子は高等部からの外部入試で入ってきたんです。始めて見たときはびっくりしましたよ。こんな可愛い子いるんだぁって。
それからはいつも陽子は皆の中心でした。成績も優秀で生徒会長も歴任するまさに絵に書いた優等生でした。」
「そうなんですか・・・・しかし、そんな優等生がなぜ平日の昼に繁華街である道頓堀にいたんでしょうね。」
「それは私にも解りません。朝、陽子が登校してこなくて先生が体調不良で陽子が欠席するという事を言ってました。だから、私たちはてっきり・・・・。」
「体調不良だと。しかし、実際に陽子さんは体調不良ではなく昼の道頓堀にいた。なぜなんでしょう?」
「きっと・・・・・陽子には優等生が重荷だったのかもしれません。自慢じゃないですけど、私たちの通う菫が丘女学園は日本でも有数の名門お嬢様学校です。初等部から入ってくる生徒は皆、一流企業の社長令嬢や親は政治家、医者や弁護士の家系です。わずかな人数を高等部で募集するのですが、その世界の違いに高等部で入学した子達は地味なグループに分けられてしまいます。」
「そうなんですか・・・・女の園は厳しいですね。」
「本当に厳しい世界です。表向きは華やかですが皆裏では周りへの疑心暗鬼に満ち溢れていると思います。けど、陽子は初等部の誰よりも優等生でした。きっと血の滲む様な努力をしていたに違いありません。そんな大変な思いをして生きている学校から逃げてしまいたかったんでしょうね。よくありませんか?通学と反対の電車に乗ってどこか知らない場所に消えてしまいたいとか・・・・、おそらく陽子も自暴自棄になっていたんだと思います。それに・・・・・。」
「それに?」
「菫が丘を主席で卒業すると金のブローチがもらえるんです。過去に主席で卒業した方は女性政治家、女優、小説家などあらゆる分野で成功をおさめてきました。だから、金ブローチは栄誉であり成功を宿命づけられた証なんです。陽子は・・・・その重圧から逃げたかったのかもしれません。」
「なるほど・・・・しかしそうでしょうか?」
「どういう事ですか?」
「貴方は陽子さんが生前日記をつけていた事をご存知ですか?」
「・・・・いえ、それが何か?」
「事件の前日の日、先生に呼ばれてほぼ主席は確実だと言われたそうです。その時の喜びと将来の夢への展望がたくさん書かれていました。陽子さんは将来、国境なき医師団に入り世界中の人たちの役に立ちたいと書かれていました。」
「それは・・・・陽子は医者になるのが夢でしたからね。お金や名誉じゃなく本当に人の助けになる事が出来る医者になりたい。国立の医学部も合格していたのに・・・・。」
「なぜ、順風満帆の彼女が現実から逃げる様に昼間の繁華街に来たのか貴方も疑問ですか?」
「ええ、そして運悪くあんな事になってしまうなんて・・・。」
「本当に運悪くでしょうか?」
「・・・・・どういう事でしょうか?」
「あなた、昼の道頓堀に陽子さんを呼び出しましたね。」
「そんな事・・・・なんの為にですか?」
「陽子さんと貴方とのlineのやり取りを拝見させて頂きました。貴方はどうしても話したい事があると言って昼の道頓堀に陽子さんを呼び出しましたね。陽子さんは学校をサボる事をためらいながらもあなたの為に約束の場に向かった。そして・・・・。」
「下らない!そんな事あるわけないじゃないですか!!陽子が死んで傷ついているのは私!!あなた最低です!!もう帰る!!」
「待ってください!今年の金ブローチ。貴方の受賞が確定したそうですね。親友を殺してまで手に入れた栄誉はどうです?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「貴方は陽子さんが邪魔だった。だから消した。違いますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そこまでして貴方はなぜトップにこだわるのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「貴方は何故、陽子さんを道頓堀に呼び出したのでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ、ァハハハハハハハッハハハッハハハッハハハッハッハハハハハッハ!!」
「貴方は是清が殺人を起こすのを知っていたのですね?」
「はぁ?知るわけないでしょ。私はネットの書き込みで見たの。白昼、道頓堀で人を殺しますって馬鹿みたいな書き込みを見ただけ。私はあの陽子っていうクソ女が虫酸が走るほど嫌いだった!あの外部入試の貧乏人が入って来てから私は屈辱の日々、勉強もスポーツも人気だって私が一番だった。みんなが私を女王の様に扱ってくれた。けど、それをあの女が全て奪い去った!あの女さえいなければ!私は金ブローチを難なく貰って溝口家のお嬢様として栄光の人生を歩む予定だったの!
私の人生に泥を塗ろうとしたあの女がいけないのよ!!!」
「質問に答えて下さい。貴方は是清が殺人を犯す事を知ってたんですか?」
「だから!!知らないって言ってるでしょ!!!何ども言わせないでよ!!クソが!!!
まあ、殺人が起これば面白いなぁとは思ったわよ。
私の目的はあの子がサボっている姿を写真に納めて教員共にバラす。あの女が学校をサボって繁華街にいたとなれば化石みたいな教員共はどう思うかしら。」
「しかし、殺人が本当に起きてしまった。貴方はその現場を目撃したんですか?」
「・・・私はその場にはいなかった。家を出て道頓堀に行く途中でパパのボディーガードの人に捕まってね。なぜかパパに物凄く怒られた。だから、あの女が日本刀で切りつけられて苦しむ様を見れなかったわ。」
「貴方に罪の意識はありますか?」
「は?あるわけないでしょ。あの女は私の薔薇色の人生を邪魔しようとした女、殺されて当然よ。
これ以上あんたと話す事も無いわ。じゃ、私、一流企業の御曹司の彼とデートがあるから帰るね。
そうそう、忠告しておいてあげる。この事件あまり首を突っ込まない方が身のためよ。社会の負け組のキチガイオタクが世の中を恨んで人を殺しただけの事件じゃないわ。」
「どういう事ですか?」
「しらなーい。じゃあ、デートあるから。またねー。」
<Rちゃんねる(ネット掲示版)>
1:2013/2/11 2:50:35 ID:B+g4k6/Tr
貴方は是清について何かご存知ですか?
2:2013/2/11 2:51:05 ID:E+R26W8/N3
1>>
是清??道頓堀の通り魔か?
てかこのスレ何?質問に答えたらドラゴンレジェンドのアイテムくれるっていうから開いたのに。
1:2013/2/11 2:52:54 ID:B+g4k6/Tr
質問に答えてくれれば何でも差し上げます。
貴方は是清を知ってますか?
3:2013/2/11 2:53:01 ID:A+WWW4k6/GGo
1>>質問に答えてくれれば何でも差し上げます。
↓
坂下ミクの御倉入DVDくれーーーWWWWWWWW
4:2013/2/11 2:54:30 ID:YU+i377/55re
坂下ミクも通り魔で死んだよな。
オラのミクティーを殺すなんて!!コレ清 タヒ!!!
5:2013/2/11 2:58:32 ID:hk+48bn/efu
3>>
坂下ミクの御倉入って、確か完全プライベートはめ撮りだったよな?
確かはめ撮りの相手が映っちゃいけない誰かだったんじゃ?
2:2013/2/11 2:59:05 ID:E+R26W8/N3
3>>
4>>
5>>
部外者は少し黙ってろ!!
1>>
俺はアイツを知っている。直接は会った事はないよ。
1:2013/2/11 3:02:30 ID:B+g4k6/Tr
あなたと是清はいつ接点を持ったんですか?
2:2013/2/11 3:03:45 ID:E+R26W8/N3
1>>
ドラゴンレジェンドっていうオンラインゲームの中田。
俺たちはパーティーであいつはコロッケって名前でいつも来てた。
俺がエッシェンであいつはコロッケ、他にもリーダーのヨッキ、ももぞ、キースがいつものメンバーだ。
俺や他のパーティーのメンバーは多分ニートか引きこもりだろ。
一日中、ゲームの世界にいる。コロッケだけはいつも18時くらいに来てたな。
こいつは職持ちだなぁって思ったよ。
ゲームしていない時はドラゴンレジェンドのスレでカキコしていたよ。
アイツはなんて言うんだろうな・・・・・こだわりが強くてさ、自分とはスタイルのプレーヤーを結構ディスりまくってたんだ。
1:2013/2/11 3:10:59 ID:B+g4k6/Tr
ディスる=中傷するで良いでしょうか?
是清は見た目は気の弱そうな神経質な男で周りからも無口なやつ呼ばわりされてましたが、彼の狂気や衝動性はネットの世界では常習だったんですね。
2:2013/2/11 3:14:45 ID:E+R26W8/N3
1>>その解釈でいい。
なんか最近、あいつが溜まっている感じがあったかな。ディスりもひどくてさ。正直、俺たちもあいつについていけなくなってパーティーから外したんだ。
そしたらアイツの味方がいなくなっちゃってな。周りから集中放火よ。
ネットって顔も見えないし、正体も解らない。だから普通に話しているよりも残酷な言葉を投げかけるんだ。
それで、しばらくしたらあの書き込みがあったわけよ。
1:2013/2/11 3:18:59 ID:B+g4k6/Tr
亜死た。同豚ボリでミナ殺死。蛭ノ時間煮ミナ殺死。お前らタヒブタ共が!!
きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
きゃきゃきゃきゃきゃ
きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
きゃきゃきゃきゃきゃ
6:2013/2/11 3:19:29 ID:Z+k0rek1o/desu
1>>
これこれ、マジで背筋凍ったわ。
7:2013/2/11 3:20:11 ID:K+k4r3k7o/d321
今北産業
2:2013/2/11 3:30:45 ID:E+R26W8/N3
1>>
この時はさすがにビビッたよ。けど、どうせネットの上だけだろうと思った。
翌日、ネットのニュース見て驚いたよ。まさか本当にやるなんて・・・・・。
1:2013/2/11 3:35:23 ID:B+g4k6/Tr
なぜ、是清は凶行に及んだと思いますか?
2:2013/2/11 3:50:45 ID:E+R26W8/N3
1>>
ここに書き込んでいる奴ら、オンラインゲームを一日中やっているやつなんて、現実社会では自分の居場所が無いんだよ。だから、ネットの世界に逃げ込んでるんだ。ネットの世界では男にも女にもヒーローにもモンスターにもなれる。俺もアイツもネットっていう異世界があるから精神を保っていられた。
けど、あいつはそのネットでも居場所を無くしてしまった。
世界が嫌になったんだろうな・・・・だれも理解してくれない、全ての人間が理解してくれない。だからこの世界を壊してやろう。そう思ったんだろうな。ここにいる誰がそうなっても不思議じゃない。ここが俺たちの最後の居場所なんだ。
1:2013/2/11 3:42:21 ID:B+g4k6/Tr
つまり社会からの孤独、ネット世界での孤独によりあのような凶行に及んだという事でよろしいでしょうか?
2:2013/2/11 3:54:15 ID:E+R26W8/N3
1>>
そうだな、あんたもこの事件を追うのは止めな。深追いしたら変死するってネットでは噂だぜ!
<事件発生現場・半径20m以内>
「津久茂さんでよろしかったでしょうか?」
「ああ、そうだ。俺様が津久茂だ。」
「今日は話したい要件があると事づけをあずかりましたが、一体なんですか?」
「そう焦るなって、道頓堀の件だよ。聞きたいか?」
「ええ、よろしくお願い致します。」
「じゃあまず、出すものがあるんじゃないか?最近、組を辞めちまって身入りがねーんだわ。」
「・・・・わかりました。このくらいでよろしいでしょうか?」
「どれどれ1、2、3・・・・・。記者さんてのはずいぶん儲かる職業なんだな。」
「要件を話してください。」
「おうおう、そんなに焦るなよ。俺はその日道頓堀にいたんだけどな。まあ、何をしていたかって言うと違法DVDを裏で卸してたわけだよ。まだ俺が文殊組に属していた時なんだけどよ。文殊組って知っているよな?関西の指定広域暴力団だ!すげーだろ、その頃は俺も文殊組の構成員だったんだぜ!」
「その文殊組の話はいいです。その後、貴方はどのようにあの事件と関わっていくのですか?」
「なんだよつれねーな。まあいいや。んで、午前中にDVD卸して文殊組の若頭の鉄兄貴と道頓堀で待ち合わせてたんだ。
鉄兄貴が最近羽振りよくてな。なんかゆすりのいい鴨を見つけたって言っていたな。
その日もテッサと女をおごってくれるって言ってたから意気揚々と道頓堀に向かったわけよ。」
「そこで貴方は事件に遭遇した?」
「そう焦るなって、約束どおり兄貴と道頓堀で落ち合ったよ。兄貴の横にけっこーマブイ女がいてな。話によるとなんか例のゆすりのパートナーらしい。兄貴がタバコを切らしたんで俺がコンビニまで走っていったわけよ。一件目のコンビニに兄貴のタバコの銘柄が置いていなかったからバイトにメンチ切って二件目まで走っていった。そこでタバコを買って急いで兄貴の元に走っていったんだが、道頓堀の方から人が我先にと人の波が押し寄せてきた訳よ。まるでスペインの牛追い祭りみたいだった。何があったのか解らなかったが、道頓堀まであと一歩だったから俺は怖いもの見たさで道頓堀に走っていったわけよ。
そしたら、兄貴が橋の真ん中で首から血を流して倒れていた。兄貴の左腕が少しはなれたところに落ちていて兄貴はピクリともうごかねぇ、こりゃあまずいって思ったね。
で、兄貴の連れのマブイ女がスカートめくれた状態で仰向けに倒れて、男が馬乗りになってたからレイプでもされてる?って思ったんだけど違った。
その男が馬乗りしていた女から立ち上がった時、女の体に日本刀が刺さっているのが見えたんだ!」
「それが、是清ですね。あなたは是清が殺人を起こした瞬間を見た。」
「待て待て!それだけじゃあんたを呼ばない。女に日本刀を刺した女とは別の男がいたんだ。」
「別の男?」
「そいつも返り血を浴びていてひどく不気味な感じだったな。そいつの奧にも何人か人が倒れていたみたいだし、そっちの男の方があんたの言う是清っぽかったな。」
「つまり犯人は二人いた?」
「そう、俺は見た。間違いなく犯人は二人いた。日本刀を持った男と日本刀を持ったオタクっぽい男。」
「あなたはその後、どうしましたか?」
「必死で逃げた。さすがの俺も日本刀持っている人間には敵わないし、兄貴も生きている様には見えなかったしな。気がついたら船場センターの非常階段に隠れていた。別にビビってた訳じゃないぜ!!
翌日のニュース見たら驚いたよ。犯人は是清ってやつ一人になっていやがる。なんでだ?って思ったけどその後、組長に呼ばれてよ。兄貴を見捨てて逃げたって事で組を追い出されてたってわけよ。」
「二人・・・・・是清の他に犯人がいる?」
「わかんねーよ。あんたが事件を嗅ぎ回ってるって聞いてよ。なんか知ってるのか?」
「いえ、初耳です。」
「そうか・・・・まあ、俺が知ってるのはこれだけだ。じゃ、俺は失礼するぜ。」
「なんだあんたか、どうした・・・・・!?
おい・・・・まじかよ!!よせよ!!・・・俺は元文殊組の・・・・・ぐっ!!・・・・ぐああああ!!頼む・・・・・殺さないで・・・・・殺さないでくれよ・・・・ころさ・・・・・・・・。」
<凶器=狂気>
「いくら名刀でも5人を切り殺すのは無理ですよ。」
「そのようなモノなんですか?」
「ええ、私も刀のコレクターをやっていて長いものですから刀の知識は人より豊富です。日本刀は時代劇の様に何人切っても切れ味が落ちないというわけではありません。2人ほど切ったら人間の脂で切れ味は落ちるし、切った時に骨にぶつかれば日本刀が曲がったり折れたりします。
それにズブの素人が日本刀を振り回せるとは思えない。日本刀の重さを知っていますか?1Kg前後あります。そんな鉄の固まりを振り回すだけども相当な体力を消耗しますよ。」
「なるほど。今回、犯行に使われた刀は幕末の刀鍛冶・近衛週次の作、梔子丸だそうですね。一体どのような刀ですか?」
「・・・・・梔子丸は週次の後期の作品でまさに人を切る為に生まれてきたような刀でした。刀身が普通の刀より重く振り下ろすだけでも相手に相当の手傷を負わせる事ができます。それに・・・・。」
「それに?」
「梔子丸はいわくつきの刀で、妖刀として忌み嫌われてきた刀でした。近衛週次は幼い頃に強盗に両親を目の前で惨殺されそれ以降復讐の為、犯人を殺す為の刀を作ってきたと言われています。」
「怨念から生まれた刀と言うわけですか。」
「ええ、その昔、とある村に吉栄という若者がいたそうなんです。吉栄は貧しい農民でしたが働き者の勤勉で真面目な性格と村では有名でした。
吉栄はある時、村の庄屋の娘・お系という女性に恋をしたそうです。
吉栄は決して裕福な農民ではありませんでしたが、宴会で庄屋の家に招かれた時にお系に想いを伝えました。
しかし、お系は貧乏人の吉栄を蔑みひどい振り方をしたそうです。怒りに震えた吉栄はお系の家の居間に飾ってあった刀でお系の首をはね、お系の家族や使用人、さらには宴会に来ていた村人を皆殺しにして自らも命を絶ちました。
その時の刀が梔子丸だとされています。吉栄はお系の首をはねた時点で逃げる事も出来た。しかし、罪もないお系の両親や使用人、村人までも殺した。どういう事かわかりますか?」
「どういうことでしょうか?」
「吉栄は梔子丸に精神を乗っ取られたのですよ。もともと梔子丸も首なし丸がなまって伝えられたとも言われております。人の精神までも乗っ取ってしまう妖刀・梔子丸、おそらく今回の事件もそんな梔子丸の怨念があったんじゃないでしょうか?」
「なるほど、そして今回の事件であなたのコレクター仲間である今井裕人さんも亡くなられていました。あの時はショックでしたか?」
「ええ、彼は大阪、私は長野でしたがお互い剣道で知り合いよくここで日本刀の談議に華をさかせていましたよ。まさかあんな事になるなんて・・・・・。」
「そうですか、今井さんはどんなお方でしたか?」
「現代にタイムスリップしてきた侍と言った感じでした。剣道も相当の腕前で何度も名のある大会で優勝する腕前でしたね。けど、彼は最近どんな大会で優勝しても満たされていなかった。
彼は言っていましたよ。もし俺が幕末に生まれていたら、この剣の腕で時代を切り開いてやったのに。本気で悔しそうに語るんですよ。」
「そうなんですか、しかし、それほどまでに剣の腕に覚えのある今井さんも殺害された。是清はなぜ今井さんを狙ったんでしょうか?」
「解りません。しかし・・・・・あの人も幸せな最後だったんじゃないですか?」
「?どういう事ですか?」
「梔子丸の斬撃を受けて死んだんですよね。おそらく切られたら足や腕、胴体や首が真っ二つだ。それも綺麗な切り口で・・・・・・。」
「言っている意味が良く解りませんが・・・・?」
「わからないのですか?梔子丸が市場価値が高いのはいわくつきの名刀だけではない。その美しさ、切れ味どれを取っても人知を超えた芸術品だ!そんな美しい芸術品で人を斬る。そして、梔子丸を使い自決まさに最高の最後だったろうな。
梔子丸に精神を乗っ取られた吉栄の様に・・・・考えただけで身震いします!!」
「待って下さい。今井さんは被害者で犯人は是清です。なぜ、今井さんが犯人の様に言われているんですか?」
「だから!!何ども言っているではないですか!!素人なら日本刀を振り回して何人も殺すなんてできません。今井さんの腕があれば5人くらい殺せるでしょう。そして切れなくなった梔子丸で自決・・・・素晴らしいではありませんか!!」
「貴方は・・・今井さんが是清の共犯者だとおっしゃりたいのですね。」
「ええ!!私には解る!!今井さんはつねに血を求めていた。そして最高の舞台が整った。彼は梔子丸を使い、道頓堀に血飛沫を舞わせた。最高の瞬間でしょう。
ああ・・・・私も人を斬ってみたい!血に染まる梔子丸でみずからの胸を貫いてみたい!!ふふふふふ・・・・・ははははは・・・・・・ふははっはははっはははっははは!!!!」
「・・・・・・・・。」
<両親>
「康晴は本当は優しくて気の弱い子なんです。犯人なんかではありません!!」
「落ち着いて下さい。是清康晴さんはどんなお子さんでしたか?」
「はい・・・・・・主人を早くから交通事故で亡くして、私と康晴は二人で支えあって生活していました。
確かに康晴は無口で口数も少なく誤解させる事も多かったですが、本当は優しくていい子なんです。」
「しかし、なぜそんな優しい子があのような事件を起こしたんでしょうか?」
「私にもまったく理解できません!あの子は本当にやさしくて捨てられら犬や猫をかわいそうだからと言って何匹も拾ってきては部屋で飼っていたんですよ!!
本当に大人しい子で休日は部屋で読書や勉強をする真面目な子です!!そんな子が殺人なんて起こす訳がないでしょ!!」
「しかし、あの事件は息子さんが起こした事件です。それについてはどうお考えになりますか?」
「あの子はとても優しい子なんです!!世間は誤解しているだけなんです!!あの子がそんな事をする訳ないじゃないですか!!昔から人としゃべる事が苦手だったのは認めます。しかし、それを理由に工場の勤務なんて・・・・私は反対しました。けど、康晴は定時で終われるからとその職を選びました。なんて優しい子!!私との時間をつくる為に定時で終わる時間を選んでくれるなんて!!」
「質問に答えて下さい。貴方は息子が起こした事件についてどう思われますか?」
「あの子はとても優しい子です!!いつも静かで、家でおとなしくしていて・・・・・」
「解りました。質問を変えます。貴方は最近、康晴氏に会っていますか?」
「・・・・・・?どういうことでしょうか?会っているって?当たり前でしょう?家族なんだから。」
「では質問を変えてお聞きします。最近、康晴さんと会話をしたのはいつですか?」
「それは・・・・・あの子は大人しい子だったから・・・・・。」
「何匹も犬や猫を拾ってきていたんですよね?この家にはそんなに大量に動物がいたとは考えられませんが?」
「それは・・・・・。」
「休日は部屋で読書や勉強をしている。その場面を目撃したのですか?」
「・・・部屋にいる事が多かったので・・・・その・・・・・・。」
「康晴さんは仕事が終わると会話もせずに部屋に引きこもる生活をおくっていた。貴方も最近の康晴さんの行動を把握していない。違いますか?」
「けど、あの子は・・・・優しい子でして・・・・・その・・・・。」
「ちょっと、部屋を覗かせて頂きます。」
「そんな!やめて下さい!!あの子は悪い子じゃないんです!!だから!!」
「失礼します!」
「やめて!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
「・・・・・・・優しい子が犬や猫をこんな無惨な姿にしますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「優しい子がネットの掲示版にこんな残酷な事を打ち込みますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「是清はここで狂気を増幅させていたのですね。」
「うっ、ううう・・・・・違うんです・・・・・・・・あの子は本当は優しい子なんです。人と接するのが苦手なだけの・・・・・・・優しい子なんです。・・・・・信じて下さい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
<事件発生現場・半径10m以内>
「今日の雨は厳しいなあ。」
「ええ、よろしければ近くの喫茶店にでも行きましょうか?」
「いや・・・・ここでいい。儂みたいなのが店に入ったら店の人間も嫌がるだろう。」
「・・・・・・・・こういった生活を続けてもう何年になるんですか?」
「ホームレスかい?そうだね。会社が潰れてからだからかれこれ20年近くなるかな・・・・年は取りたくないもんだよ。」
「事件があった当日、貴方はどこにいましたか?」
「丁度、橋のたもとにある便所の前に座っていたよ。もう、何ヶ月もそのあたりで空き缶を拾ったりして日銭を稼いでいた。腹が減って動けなくてな。しゃがんで人の往来をみつめていたよ。儂もひょっとしたらまともな人生を送れたのかなぁなんて思いながら。」
「・・・・・・。」
「今となっては遅いんだけれどな。眠くなって少し仮眠してふっと頭を上げるとちょっと橋の上が妙な事になっていたんだ。」
「妙な事とは?」
「普段、たくさんの人が行き交っている戎橋の上に数人しかいなかったんだ。まるで早朝みたいだったよ。するとその中の二人がいきなり黒い筒のようなものから日本刀を取り出したんだ!」
「その中の一人はこの男ですか?」
「どれどれ、最近老眼がひどくてね。・・・・そうだ、一人はたしかこの男だ。がっちりとした体格で、日本刀も使い慣れた感じだったな。」
「彼は今井裕人(35)剣道の有段者で日本刀の経験もあります。今回、表に出てきていない犯人の一人でしょう。今井ともう一人が日本刀を取り出してから貴方は何を目撃したんですか?」
「・・・・・・・今でも思い出したくもない光景だったよ。いきなり二人が橋の上にいた人に切りかかったんだ。日本刀を持ったがっしりした男が橋の中央にいた男女のカップルに襲いかかった。カップルの男の方は筋者のような感じだったな。いきなり左腕を肩から斬り落とされた。人ってあんなに血が出るんだな。男の左腕からホースから水を出した様に大量に血が飛び散った。男の悲鳴がこだまする中、今度は首から斜めに切りつけた。首が皮一枚つながっている様な状態で、大量の血をまき散らしなが男が二三歩ふらついて前のめりに倒れた。
連れの女が腰を抜かして狂った様に悲鳴を上げてると、日本刀を持った男は女に馬乗りになって何度もその女を日本刀で刺していたよ。身の毛もよだつ光景だった。女は悲鳴も挙げなくなって死んでいるのに男は刺し続けている。刺しすぎてヌチャヌチャ粘りけのある音が聞こえたよ。」
「他には何を見ましたか?」
「もう一人の日本刀の男は近くにいた初老の男性に切りかかった。首を切られた男性はおびただしい出血を止めるべく自分の首を抑えていたが、うずくまったまま動かなくなってしまった。その後、逃げようとした女子高生の体を後ろから日本刀で貫いた。制服から突き出た日本刀が今でも脳裏に焼き付いて離れない・・・・・。がっしりした男と違ってもう一人は淡々とすばやく二人を殺した感じだったな。そしてがっしりした男の背後に向かうとその男はがっしりした男を日本刀で貫いたんだ。」
「仲間であったはずの今井氏を殺害した。そうおっしゃいたいのですね。」
「ああ、刺したあと男はがっしりした男が持っていた日本刀を回収してその場を走り去った。」
「それが犯行の全てですね・・・・・、このリストは道頓堀通り魔事件の犠牲者5名のリストです。何か相違点はありませんか?」
「どれどれ、武井亮司(大学教授・68)、一ノ瀬陽子(高校生・17歳)、吉村鉄二(暴力団員・36歳)、岩下舞花(AV女優・23歳)、今井裕人(警察官・35歳)・・・・違う!これは違う!!」
「何が違うのですか?」
「もう一人いるはずだ。殺された人がもう一人いた!犯人が逃げる時に斬りつけて殺した一人が!」
「ちょっと待って下さい!どういう事ですか?!警察の発表では確かに犠牲者は5人だと」
「いや、確かにもう一人いた。あんたが今、手に持っている写真の男だ!」
「そんな!ありえません!だってこの男は・・・・・是清ですよ!!」
<犯行現場・半径0m以内>
「あんたかい?週刊グローブ・社会部の記者さんってのは?」
「はい、高峰博さんでよろしいでしょうか?今日はお忙しい中でお時間を作って頂き誠にありがとうございます。」
「別に忙しくはないんだけれどね、最近物騒だね。こないだ東成区でホームレスが殺されただろ。怖いもんだね眉間を拳銃一発で撃ち抜かれていたみたいだ。」
「・・・そのようですね。それよりもご要件は?」
「クールなもんだね。まあいいや。あの道頓堀事件の真相聴きたくないか?」
「真相と言うと?」
「あの事件はマスコミに捻じ曲げられて報道されたって事だよ。」
「・・・・・どういう事でしょうか?」
「その前に渡すものがあるんじゃないか?」
「・・・・・・このくらいでいかがでしょうか?」
「どれどれ・・・・・・・まあいいだろう。
まず、犯人は是清ってやつが一人でやったっていわれているがそうじゃない。犯人は二人だ。どうだ、驚いただろう?」
「犯人が是清だけでないのは我々も情報を入手しています。」
「なんだよ・・・・・まあいい。それだけじゃないんだ。実は犯人は是清じゃない。むしろあつは被害者だ。まず、二人の男が道頓堀に現れて日本刀を抜き去った。俺も橋の上にいたから見た瞬間に背筋が凍ったよ。けど二人は俺をすり抜けて他の通行人を斬り付けた。そう、まるでターゲットがあらかじめ決まっていたかの様に。俺もあまりの突然の出来事で呆然としてしまった。
その後で犯人二人のうち一人がもう一人を後ろから日本刀で刺した。あっという間の出来事だったよ。その直後ひっかけ橋のふもとに大きめの黒いバンが止まったんだ。おそらくどこかでスタンバイしていたのだろう。日本刀の男はそのバンに乗り込もうとした。
そこで俺は見たんだよ。」
「何を見たんですか?」
「犯人が逃げる時に腰が抜けて動けなくなった男を切りつけてバンに無理やり乗せた。それが犯人とされている是清だったんだよ!」
「ちょっと待ってください。あなたの話だと是清は加害者ではなく、拉致されており濡れ衣を着せられて殺された?と言うことですか?報道とはまったく違う事実なのに貴方はなぜマスコミに訴えなかったんですか?」
「そこが今回、あんたを呼び出した理由だ。犯人が一人でないのは俺だけじゃなくその周辺にいた人間が皆見ている。バンで一人連れ去られた事も俺以外の人間も数名見ている。
しかし、誰も声を挙げなかった。なぜだと思う?」
「・・・・・・解りません。真相を教えてください。」
「実は事件の直後、現場の状況を教えて欲しいと周辺にいた人間がパトカーに乗せられて警察署に連れていかれた。警察署に到着して俺は取調室の様な個室に連れて行かれたが、俺の前に座ったのは警官じゃなくスーツを着た如何にもエリートの様な男だった。警察とはまた違う異質な感じの男だった。
男は鞄から一枚の書類とペン、そして朱肉を机の上に出して言った。
今日見たことは決して他人には言わないで欲しい。テレビの報道が間違っていたとしてもマスコミなどに他言しないで欲しいと、そして俺に白い封筒を渡した。その中を見て驚いたよ。50万円だぜ!ここの誓約書に他言しないと一筆書けばこの50万円はくれるって言うんだ!俺は直ぐ様一筆書いたよ。」
「なるほど、事件の真相が未だに見えて来ないのはそう言った陰謀があったからですか・・・・・。」
「どうやらそのようだ。俺もこのまま黙っていようと思ったんだがな。50万円も競艇であっというまに水の泡さ・・・・・・だから、今回告白する気になった訳よ。」
「結局、ギャンブルで使うお金欲しさに私に密告したわけですか?」
「そう言うなよ、あんたはスクープが欲しい。俺は金が欲しい。ギブ&テイクってやつだ。そうだろ?」
「確かにこれでこの事件が単なる通り魔殺人じゃなく計画的な犯行だと解りましたね。」
「そう言うことになるな。まあ、誰が犯人とかは俺には関係無いけどな。じゃあ、俺はこれで失礼するな。」
「本日は貴重な情報ありがとうございました。」
「こちら、No214。高峰博に接触致しました。高峰博は情報を漏らしました。
・・・・・・・規定通り処分致します。」
<一年後・ニュース24>
「皆様今晩は、司会の安倍正広です。今晩は先月の府知事戦で見事に勝利した溝口誠三大阪府知事にゲストに来て頂きました。溝口知事、よろしくお願い致します。」
「ええ、よろしくお願い致します。」
「まずは溝口知事、先日の府知事戦の勝利おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「知事が目指した大阪安全都市構想、それの実現に向けて実行した事はなんですか?」
「まずは大阪市内全域に防犯カメラを設置し、街の状況を観察する事です。そうすれば警察官の人数を増やさなくくても事前に犯罪を防止する事が出来る。私が府会議員時代から日々皆様に向けて発信していた事です。私の提案がもう少し早く通っていれば・・・道頓堀通り魔殺人事件の様な悲劇は起こらなかったでしょう。」
「そうですね。あの悲劇は今でも記憶に新しい事件です。1年前、白昼の道頓堀で是清康晴容疑者が日本刀で次々に人に襲い掛かり5人を殺害、その後、難波の路地裏で自らの首を切って死亡している所を発見された事件ですね。」
「そう、あの事件は現在の若者の闇が生み出した事件だと考えています。私のマニフェストの一つに若者の更生と心のケアを目的とした施設の運営があります。現代社会によって心に闇を抱える若者は犯罪を起こす傾向が非常に強い。そういった若者達を一同に集めて施設での更生をはかる。第二の是清容疑者を出さない為の防衛策だと私は考えています。」
「そうですか、一方で同じ若者でも知事の娘さんで秘書でもある溝口恵理さんは現役の大学生でありながらお父様をしっかりサポートされていますね。」
「理恵には溝口家の長女として恥じぬ様、何事も一番を取る様に常に厳しく教育してきました。そのおかげで理恵は父親の私が言うのもなんですが、才色兼備の立派な女性に成長しました。あの菫が丘学園を主席で卒業し、私の秘書として今も尽力してくれています。まさに私の自慢の娘です。」
「一方で知事のマニフェストには現実的ではないと批判していた武井教授が道頓堀通り魔事件で亡くなられたのは皮肉ですね。」
「武井教授のご遺族には心よりおくやみ申しあげます。しかし、一方で現実的では無い私のマニフェストが現実を帯びている今、二度とあのような事件が起こらない事を願うまでです。」
「おっしゃる通りです。一方で知事選挙の際、相手陣営が知事のネガティブキャンペーンを強く押していましたね。女性関係などで揺すられている事やマンションデベロッパーとの癒着などとの脅迫を受けていたようで。」
「まったく根も葉も無い噂です!しかし、どの選挙でも良くある事です。まず、私がやったという証拠が無い。それは、私の政策に勝つ事が出来ない哀れな相手陣営の抵抗です。
私はそんな卑劣な手段には負けない!」
「なるほど、ネガティブキャンペーンは知事を陥れる為の作戦だった訳ですね。」
「ええ、もし私の政策が間違っていたのならそれは今後、府民の方々が判断を下すでしょう。私は安全で快適な大阪の街を作り上げて行きたいと思っております。」
この小説を読んで頂き誠にありがとうございました。
私事ですが先日、大学の後輩の結婚が決まりました。
心からその方の幸せをお祈り致します。