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怪文書

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 これは僕の気分が良い時に度々書く【怪文書】の断片だ。

 夢心地でキーボードを打鍵した時の、浮遊感が文字となったものだ。

 都合のいいように改竄された、過去の思い出と妄想の続きを綴った産物だ。

 未だ無秩序な記憶の隅々を、時々狂ったような速さで駆け抜けていく言葉がある。

 語感が面白くて、つい頭に残った単語たちが、意味も分からず走りだすのだ。

 息巻いて、語気を荒げて、他のどの言葉とも関連性を持たずに、ただ唐突に脳裏を過ぎり、脳髄を引っ掻いていく。

 思えば僕は、そんな愉快な言葉たちと共に無意識を過ごして来た。

 悩み事を嫌い、常に頭を空にするよう努めていた僕にとって、小気味良いリズムを奏でながら意識を程よく濁してくれる言葉たちは、いつでもユーモラスな友であった。

 創作に於いて、過剰なまでに独自性を求める僕の姿勢の、起源はきっと此処なのだろう。新鮮な程、言葉は面白みを増す。使い古された刀は血と肉と油に晒され鈍らと化し、対して密かに研ぎ澄まされた剣は、人の心の奥深くまで突き刺さる。剣戟で競うのは洗練された太刀筋だけではない。鋭利な白刃の一撃は、癒えない傷痕を残すのだ。

 取るに足らない僕だけど、一生を賭けて、一振りの小太刀を、一生懸命研磨し、此の身果てる前に、世界に一太刀だけでも浴びせられたら、それは何と喜ばしい事だろう。

 

 僕は、こんな怪しげな声明を三月の頭に記す。

 きっと、数日後には書いたことなど忘れてしまうのだろうけれど。

 それでも、書きたかったから書いたのだ。

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