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第45話 二度目の次は三度目だ

ふう……最近ヤバいぜ…

マンガを読んで小説を読んでアニメを見てゲームをやって。なんだかんだしていたらいつの間にか凄いレベルアップを果たしていた…

なんと、今までよりも多くの属性に寛容になってしまったんだぜ!

…………………………………………………………どうでもいいよね。

 また向こうの世界の夢を見た。ホームシックなのだろうか。

 とは言ってもめちゃくちゃ小さい頃の、多分五歳くらいの頃の事だったと思う。よく覚えてたな俺。

 色褪せていて詳しいことは分かんないけど、俺と鈴と柚葉、それに名前も覚えていない女の子。四人で鬼ごっこしたり蝶々を追いかけたりして遊んだ。

 女の子とは偶然会ったんだっけ。何か寂しそうにしていて、子ども心にも何かしてあげたいと思って誘った筈だ。日が暮れて、鈴も柚葉も先に帰って、それでもお別れしたくないから俺とその子はいつまでも遊んでいた。

 でもいつしか女の子のお迎えが来て、行かなくちゃならなくなって。泣きながらさよならした。

 う~ん、別れ際になんか約束した気がするんだけど……憶えてないなぁ……。

 こっちに来て結構経つけど、あっちの方はどうなってんのかな…?皆元気にやってるのかな…俺は元気です。

 親父は心配ないだろ。あの人の生命力だか免疫力ならエボラだろうがエイズだろうがガンだろうが白血病だろうが、しばらく寝れば治るだろうし。

 心配なのは母さんと鈴だ。母さんはショックを受けても親父がいい感じにフォローしてくれるだろうから大丈夫とは思うけど、やっぱり鈴がな……あいつお兄ちゃん子だし、塞ぎ込んでたりしたらどうしよう。まあそこは家族の絆ってやつを信じるか。

 学校とかは、そこまで交友関係は広くないし。一部のメンバーも強いやつらばっかだからそこまで引きずることもないだろう。

 もしかしたら葬式とかしちゃったかもしれない。遺影に仕える写真なんか撮ってたっけか。式にはやっぱりじいちゃんとばあちゃんも来たのかな。父方の二人は技術力を買われて某国の特殊工作班で講師まがいのことしてるし、母方の方はヒマラヤ山脈の中腹で遭難者の救助やってるからそう簡単にはこれないと思うけど、あの二人はこの親にしてこの子あり、ってのを見事に体現してるから案外すぐに来るかも。最悪ヘリかジェット機をジャックするかもしれない。怖い怖い。

 以上。今日は雲がないなー、と考えながらぼけっとしている俺の回想でした。

 ふはー、と息を吐いて、目を背けていた現実に目を向けて、はー、とため息をつく。

 何でかって言うと、周りからメッチャ見られている。自意識過剰ってワケじゃない。実際にこっち指差してひそひそ話している方たちが何人かいるし。

 聞こえてきた声から判断するに、どうも俺が女の子をとっかえひっかえしているという噂があるらしい。そりゃまあ二日連続でここで待ち合わせて、相手が別々っていうんだからそう思われても仕方ないか。

 しかし、落ち着かない。この英雄を見るような敵を見るようなゴミを見るような視線の波は嫌になる。ヤメテ見ないで。プレッシャーに弱いんです俺。

 時間が経つにつれて、なんかどんどんかったるくなっていって、もうどうでもいいやーって感じになりかけていたら、ようやっとフィナがてくてく歩いてきた。

 ふむ。水色のオフショルダーに白いプリーツスカートか……肩と太ももが目に眩しいぜッ!

「お待たせ」

 てこてこと寄ってきたフィナは周囲からの視線に気付いているのかいないのか、いつも通りの無表情。とりあえず「おう」と返事を返すとそこでくるりと一回転する。

「?何してんのフィナ」

 分からず聞くと、再びくるりと一回転し、

「似合う?」

 ああ、なるほど。服が合ってるか聞きたかったのか。

「似合ってる似合ってる。超カワイイよ」

 とりあえずは本心を包み隠さず暴露すると、少しだけ嬉しそうに顔を綻ばせた。

「それじゃ、行こう」

 待ちきれないといった風に俺の手を引っ張るフィナ。慌てて足を動かすが、それに釣られて笑ってしまう。

 そうだよな。フィナがこんなに楽しみにしてくれてたんだ。俺も思いっきり楽しんで楽しませないと悪いしな。

 おし!周りの目なんか気にしないで、思いっきり行くぞ!




 ……まあ、世の中そんな上手く行かないワケでして。

 あれからしばらく歩き、フィナのお腹から可愛らしい音が鳴った辺りでお昼にしようということになった。顔を赤くしたフィナに殴られたけど気にしない。

 ジャンケンの結果、俺が買い物、フィナが場所取りということになったので、最寄のベンチにフィナを座らせ適当に屋台を巡って食いもんを調達したとこまではよかった。

 でも、戻ってきてチャラい男数人に絡まれているフィナを発見してからが問題だ。

 う~ん、どうしよう。殴りかかるにも俺の手は今食べ物で一杯だし。どうする俺?

 あ、そうだ。こういう時のために分け身の術を習得したんじゃないか。んじゃとりあえず一人…いや二人出して、食料を持たせて……よし!それじゃあ今「いいじゃん、ちょっとくらいさ~」とか言いながらフィナの腕を掴もうとしている男に、

「おらぁっ!!」

「ぶぼっ!?」

 しまった。勢いあまって顔面にドロップキックしてしまった。あちゃー。男、面白いくらい転がっていったよ。

「タカちゃん!?…テメェ、よくもやりやがったな!」

「すいません、間違えました」

「どういう間違いだ!」

 いや、間違いっていうかその場のノリっていうか…なんていうんだろうなこういうの。

「とりあえず……えい」

「モグッ!?」

「ジュンくん!?お前いきなりなにしてんがぁっ!?」

 目の前の男の顔に膝蹴りを叩き込み、吼えてきた男にヘッドバット。三人もやられて流石に黙っちゃ入れないのか残りの男が拳を構えて殴りかかってくるが、

「(ガシッ)ちょっと君たち、何してるのかなー?」

 にこやかな笑みを携えた街の衛兵と思われる人達に肩をつかまれて停止を余儀なくされる。そのままいい感じに関節を決められて連行。俺がのしたやつらは引き摺っていく。

「ご協力感謝します」

 敬礼に敬礼で返し衛兵の皆さんを見送り、改めてフィナを見る。良かった。特に乱暴とかはされなかったみたいだ。

「ゴメンな。俺が離れてたせいで嫌な思いさせちまって」

 フィナの隣に座って分身から預けていた飯を受け取り、御役御免となった分身を消す。見ていた犬連れのおじいさんがぎょっとしていたが無視した。

「別に。あんまり強引じゃなかったし。……でも」

 そこまで言って、フィナはむすっとする。何か思い出したのだろうか。

「何か言われたの?」

「…あの人達、トモヤのことを『女をとっかえひっかえする最低男』だって…」

 んー、噂通りっちゃ噂通りだな。そう思われても仕方がないことにしてるんだけど。

「ま、あながち間違いじゃないし。いいたい奴には言わせとけば「違うっ!」……フィナ…?」

 割り込むように叫ばれたことに一瞬唖然とし、ぽつりと名前を呼ぶとフィナは昂ぶった感情を沈めるように深呼吸する。

「…トモヤは最低なんかじゃない」

「………」

 …なんかじ~ん、てきた。嬉しいよ。俺のために怒ってくれるなんて。

 妙にほっこりしながら、とりあえずは買ってきた野菜入りのクレープを渡す。まず食って落ち着け、見たいな感じで。

 受け取ったフィナはゆっくりと、小さな口でちまちま食っていく。それを確認してから俺も大口を開けてクレープにかぶりついた。

 もっさもっさ咀嚼していると、食べる手を休めたフィナが呟く。

「トモヤは最低なんかじゃない。トモヤは私をあそこから連れ出してくれた」

 ……ああ、やっぱりこういうのは嬉しいな。

「…別に俺は、最低でも構わないけどな」

「どうして?」

「最低だろうとなんだろうと、お前たちと一緒にいられるのには変わらないからな」

「………」

「だから、フィナもあんまり気にするなよ。むくれたままだと、可愛い顔が台無しだぜ」

「かわ……ッ!?」

 顔真っ赤にして俯いちゃって、ほーんとカワイイな~。反応が楽しいお陰で、こっちも本音を暴露する甲斐があるってもんだな。

 ――しばらくしてフィナの赤面は収まったけど、それでも俺たちは何を話すでもなく、何をするでもなく、ただそこに座り続けた。やがて辺りが橙色に染まり始めた頃、俺たちはようやく腰を上げ、城への帰路をたどった。

 ………さて、明日で―――最後だ。



今期のアニメが面白すぎて小説を書くのが遅い

アニメをとるか小説をとるか……悩みどころだぜ

いや、さらに積みゲーもある……………………………

……仕方がない、睡眠と勉強の時間を削るか……世知辛いな

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