第35話 再会
どうも作者です
先日、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』を観てきました。すごく面白かったです。
内容を出すのはネタバレになってしまうので控えるとして
ここではひとつ、皆様にお願いがございます
映画の上映中は、あまり喋らずお静かに映画を見ていただきますようお願いいたします
面白い映画であるなら観ている最中、一緒に来た人に話したいという気持ちは分かりますが、あまりにも話しすぎると周りの人に不快な思いをさせてしまうことがあります
何も話すなとは言いません。ただ、ある程度は自制してください
ちなみに作者は隣の席の方たちがとてもオタクチックで、その隣の席の友人であろう人と終始感想を言い合っていてとてもとてもイラッとしました!思い出すだけでもムカムカします!
なのでみなさん、気をつけてください
「…………」
馬車の外の景色が流れていく。見たことの無い景色はいつもなら多少は気にしていたけれど、今はどこか上の空だと自分でも分かる。窓枠に頬杖を付きながら外を見ていても、考えているのはまったく別のこと。
「…………」
「…………」
どうやら他の二人の同じようなことを考えているらしい。
「……はぁ」
ため息も吐きたくなる。一体何度目だろうか。
アイツ――トモヤが消えてから、すでに一週間が経過した。
消えた原因が転移魔法陣の事故というものなのでどこに行ったのか見当もつかない。魔法陣自体の性能がそれほどのものではない為、それほど遠くではない。最低でも、レパーラ国内であることは間違いないと言っていた。
ある程度場所の目処が立たないと捜索隊を出すことも出来ない、と謝罪とともにユアンは言っていた。
トモヤが消えてしまったそもそもの原因を作ったのはユアンだが、本人が故意にやったわけではないのであまり責めるつもりはない。それはフィナとアリスも同意見のようだった。……その代わりといっては何だが、彼は彼でこのことで自分の娘達にかなり泣かれたようで大分堪えていた。
………一体いつの間にそこまであの二人に懐かれたのだろうか?そんな事を考えていれば、多少は不安も安らぐ。
それからというもの、日がな一日部屋にいて、トモヤが早く見つかるようにと祈るばかり。不安で食事もろくに喉を通らない、そんな毎日を過ごしていた。いつの間にかトモヤはアタシの中でそれほど大きな存在になっていたようだ。それほどまでに長い時間一緒にいた訳ではないのに。
気付いたら傍にいるのが当たり前になっている。そんな気にさせるのだ、アイツは。そんな才能でも持っているのだろうか?そうだとしたらなんて傍迷惑な奴だ。そんな風にさせるなら、ずっと一緒にいてくれればいいのに…。
二人も似たり寄ったりの行動をしていたらしく、見かねたリアさんとおばさんが気晴らしにとユアンの視察に付いて行ってみてはどうかと言って来た。なんでも北西にある小さな村でこの国の新しい特産品になりうるものが出来たという報せがあったので実際に見に行くらしい。国王自らが行く必要はないと思うのだが、そこはユアンの主義らしい。
馬車に揺られること数日、目的の村に到着した。この村は広大な森の外周に沿ってに拓かれていた。名前は聞きそびれてしまった。
「――――」
「――――」
向こうでユアンと村の代表らしき壮年の男性がなにやら話し合っている。ユアンの格好はいつも城内で着ている変な服――トモヤは『きながし』と呼んでいた――ではなく、ちゃんとした立派な物だった。
「――――」
「――――」
二人は話しながらどこかへ歩いていく。きっとその特産品とやらを見に行くのだろうが、アタシ達は付いて行こうとはしなかった。誰からともなく、誰が言い出すでもなく、ぶらぶらと村の中を歩き始めた。村には人気がない。みんな向こうに行っているのだろうか。
理由はどうあれ丁度いい。今は誰の目を気にすることなく、ただ歩いていたかった。
考えなしに歩き続けていると、ふと気付くと森の中にいた。
すう、と大きく息を吸い込む。街とは違うどこか爽やかで涼しい空気が体に染み渡り、続けて大きく息を吐き出すと胸の中のモヤモヤも一緒に出て行くような気がした。見ればフィナとアリスも同じように深呼吸している。
「…いい気持ち…」
つい言葉が口をつく。思えばまともに言葉を出したのはしばらくぶりだった気がする。今まではおばさんやリアさんの問いかけに曖昧な返事をしていただけだった。
一回言ってしまえば、あとはするすると言葉が出ていく。
「あのバカ…どうしてんのかしら…」
「「………」」
その言葉に二人は押し黙る。
一週間。十分に生きていることが出来る期間であり、同時に何かあってもおかしくない期間。それに加え、アイツはこの世界に来てからあまり時間が経っていない。ということは、アイツにはこの世界は分からない事だらけということになる。
『………』
誰も何も言わない。せっかくややスッキリした気持ちもまたすぐに曇ってしまう。
――トモヤに会いたい。
認めるのはとても癪だが、アタシの頭の中はその事で一杯になっている。それはきっとこの二人も同じなのだろう。
――バギッ!
『!?』
突然、森の奥からなにやら音が聞こえてくる。まるで木を無理やりへし折ったような音が。
連続して木が折れる音がし、被せるように鈍く低い足音がする。おまけにその音は徐々にこちらへ近づいてくる。普通に考えて、あの足音の主が木々をなぎ倒しながらここへ向かっていると考えるのが妥当だろう。
生まれてから森の近くの家に住んでいたからか、足音とその間隔でその生き物の大体の大きさが分かる。足音から察するに四足歩行。おそらくその体勢で高さ二メートルになるだろう。
体の大きさはそのままその生き物の生命力の高さを表していると言っても間違いではない。今ここにいる面子では太刀打ち出来ない。
「…逃げるわよ!」
そこまで考えてアタシは二人に声をかけた。二人は戸惑いながらもそれに従い、村に戻ろうと体の向きを返す。
その時、
「グォォオオオオオオオ!!」
「――!」
前方の茂みが裂かれ、その奥から姿を現したのは黒い毛を揺らして闊歩する大熊。
マズい。獲物を見つけたことで興奮して二足歩行になった。すでに体高は五メートルに届きそうになっている。
どうする。どうするどうす――
「グオオオォォォォ!」
雄叫びを上げながら黒い巨体が疾駆する。向かうは格好の標的であるアタシ達!
「くっ!」
苦し紛れに、咄嗟に火球を撃ち出す。仕留めるまではいかなくとも足止めくらいはしたい。
「グルァッ!」
ただそれも、奴の腕の一振りで霧散してしまう。
「………ッ」
「グルルル…」
今の一撃で多少は警戒しているのか、ゆっくりと、だが確実に近づいてくる。
背を向けて逃げようとすれば一瞬で追いつかれる。かと言ってこのままじりじりと後退しても、向こうは四足で歩いてくるためこちらよりも速い。いずれ距離は縮まる。
「きゃっ!?」
「アリス!」
耳に届いた小さな悲鳴に反射的に振り向くと、アリスが足を滑らして転んでしまっていた。そのことを把握すると同時に、致命的なミスをしたことに気付いた。
「ガァアアアアアア!」
振り向いてしまったことで背中を向けてしまった。そのことをきっかけにその巨躯を弾ませて飛び掛ってくる。のしかかられてしまえば、最悪圧死。なんとか助かっても数秒後には食われる。
絶対的な死の恐怖に身がすくみ動けなくなった瞬間、
「――――キィィィィィィックッッッ!」
「ブルァッ?!」
横合いから飛来した人影によって、大熊は吹き飛ばされ地面を二転三転していく。
「あたたたた……硬ってぇなチクショウ…」
見事に熊の横っ面を蹴り飛ばしたその人物は、蹴った足をさすりながらぼやいている。
「ア…アンタ…」
その人物は、
◆ ◇
シルフィアとともに出発して早一日。一日で森を抜けることは叶わなかった。森の中で野宿するなんて初めてだったからかなりビビった。だって寝てる間に襲われたら一たまりもないんだよ?おまけに昨日寝てないから死ぬほど眠いし。
でも流石に寝ずの番とかをシルフィアにさせるわけにもいかなかったから頑張った。寝なかった。黙ってると眠くなるから焚き火の灯りを頼りにシルフィアの本を読んでたんだけど、けっこう面白かった。
てかこの世界スゴいよね。ドラゴンが一杯いるんだって。種類は炎獄龍、緑地龍、海碧龍、雷光龍、真空龍の五種類。どれこれも馬鹿デカくて、最大で全長五十メートルはあるらしい。もう笑うしかないよ。あっはっは。
「? どうしたんですかトモヤさん。いきなり笑い出して」
やべ、声に出してたみたいだ。「何でもないよ」とポーカーフェイスで告げ、「それよりも」と話題を逸らす。
「あとどれくらいで森から出られる?」
「あ、はい。えっとですね…」
地図を取り出していそいそと確認するシルフィア。俺が地図を読めかったため、シルフィアに地図を預けている。
「…もう大分歩いたので、あと少しで小さな村に出られると思います」
「そっか。じゃあもう一頑張りだな」
そんなこんなで、てくてくと歩を進めていると、
『――グォォオオオオオオオ!!』
どこからか、決して遠くない距離から獣の雄叫びが聞こえてくる。
「トモヤさん!」
「ああ。行ってみよう」
小走りで声が聞こえてきた方へと向かう。走っている間も雄叫びが聞こえてくる。もしかしたら人が襲われているのかもしれない…!
「シルフィア、これ頼む!」
「あ、ちょ、ト、トモヤさん?!」
併走していたシルフィアに《飛鳥》を放り投げ、足元にトランクを転がしてそのまま全力ダッシュ。
少しずつ開けてきた視界にはかなり大型の熊が誰かににじり寄っている光景があった。
それよりも襲われている人は、まさか!? いや、俺が見間違う筈がない。でもどうしてこんな森の中に?
ええい!そんなことは今はどうでもいい!あいつ等を助けるのが先決だ。
さらに加速する。もっと速く速く。速く――! あのバカデカい熊に会心の一撃を与えるために!
「歴代ライダーよ、俺に力をッッ!」
ただひたすらに足を動かし、直感が示す地点にたどり着くと同時にジャンプ。今までの速度を攻撃力に変換し、全てこの一撃に籠める!空中で体勢を整え、そして、
「ライダァァァァァ……キィィィィィィックッッッ!!」
最高の一撃が熊の顔面にクリーンヒット。シュタッと上手く着地する。……って、
「あたたたた……硬ってぇなチクショウ…」
膝を伸ばしたり足首を回したりして痛みを和らげる。
「ア…アンタ…」
さっきまで襲われていたうちの一人がゆっくりと俺を指差す。
「……久しぶり。エルナ」
「…トモヤ…」
「ト…モヤ」
もう二人が信じられないような顔をしながら名前を呼ぶ。幽霊でも見たような顔だなおい。
「フィナとアリスも。久しぶ「トモヤッ!」ぐはっ!」
弾丸並みの速度でアリスが飛びついてきやがった…。目で捉えられないだと…?バカな…。
「本当に、トモヤなの…?」
いつの間にやら正面に来てぺたぺたと顔やら体やらを触ってくるフィナ。いやなんでそんなリアクション?一週間ぐらい会わなかっただけじゃん。死んだと思ってた人が実は生きてた的な反応はやめてよ。
「トモヤ…なのよね?夢とか幻じゃなく、本物なのよね?」
エルナまで。止めて。ホントに止めてそういうリアクション。地味に傷つくんだよそれ。
と、内心でぶつぶつ言っていると。ぎゅっ。
エルナが抱きついてくる。ついでにフィナも抱きついていた。一体いつの間に。
「どこに行ってたのよ…」
「…心配したんだから」
「…でも、生きてて良かった」
…ああ、そっか。俺としては飛ばされてからも結構楽しかったし、結果的には良かったと思ってるんだけど、エルナ達はそんなこと知る由もなかっただろうから、やっぱり心配してくれてたんだろう。
「…心配かけて、ごめんな」
謝罪と感謝の気持ちを込めて、俺からも三人をぎゅっと抱きしめる。「嫌がられるかな?」とも思ったけどそんなこともなかったのでちょっと嬉しい。
「グルオオオオオォォォッ!!」
「!」
ふっ飛ばした熊が起き上がって叫び声を上げる。くそ、気を失わせるくらいは出来たと思ったのに。
「マズい!トモヤ、早く逃げるわよ!」
「まあ待てって」
すっと手を前に伸ばす俺を奇異な目で見るエルナ。一方で猛スピードで走る熊の前方の地面が円状に凍る。そして熊の体が完全に円の中に入ると、円は輝き、光が収まるとそこには巨大な氷の柱が空高くまで伸びていた。
初の舞・白連。円に架かる天地の全て、ってのは無理でしょさすがに。そこまでイメージすんのもかったるいし。
氷の柱を見て、まさかという表情になって、エルナが俺を見る。
「何…これ。トモヤ、アンタがやっ――」
「トモヤさ~ん、どうしたんですか~」
「あ、ゴメンなシルフィア。荷物全部預けちゃって」
『(ピキッ)』
後ろの茂みから荷物を引き摺りながらシルフィアが出てきたので、慌てて駆け寄って荷物を受け取る。
「どうしたんですかって、わ~、キレイな氷像ですね」
「いや氷像て。確かにキレイだけどさ」
氷に入り込んだ太陽の光が内部で乱反射してキラキラと光ってるから見てて面白いけど。この光景を見てキレイだで済ませられるのがすごいね。
「あれ?トモヤさん、そちらの方たちは?」
「ああ、紹介するわ。紅いのがエルナで、銀色なのがフィナ。獣耳生えてんのがアリスだ。全員俺の知り合い」
「…………」
なんかシルフィアがぶすっとしてる。何が不満なんだろ?
ああ、そっか。エルナ達にもちゃんと紹介しなきゃいけないよな。
「んで、エルナ。こちらはシルフィア。俺が世話になった人で」
くるりと振り向いて紹介しようとして、視界を埋め尽くしたのは靴底と思しきもので。
「えっ?」という暇もなく、俺はさっきの熊に自分がしたように、蹴り飛ばされた。
この前の放送で仮面ライダーの放送が通算で1000回を突破しました
ぶっちゃけますとその話を見て今話でライダーキックをさせようと魔が差しました
ていうかあれ、なんでハリセンボンが登場したんでしょうかね?
私程度では理解できません
おっと、気付いたら仮面ライダーの話しかしていないな
でも、後悔なんてしません。だって好きだから