第24話 お城にて
どもども、ダメ作者です
投稿遅れました
だってしょうがないじゃん!モンハン面白いんだよ!新モンスターやりがいがあるんだよ!エロゲだって積んでんだよ!
………失礼しました
では、どぞ
やめてくれ。
頼む。もうやめてくれ。
耐えれない。耐え切れないんだ。
俺には出来ないんだよ。だからもう許してくれ。
俺は悲しいのも苦しいのも痛いのも泣きたいのも気持ち悪いのもだめなんだ。見ていてイヤになるんだ。
心が弱いんだ。心が痛いんだ。自分がどうにかなってしまいそうなんだ。
なあ頼む。許してくれ。
誰か助けてくれ。助けてくれたらなんでもするよ。
身が切られそうなくらい辛いんだ。『死にたい』とさえ簡単に思ってしまう。
俺は弱いんだ。決して強くなんかないんだ。
だから…………だから頼む。
もう……もう俺に―――
「―――陵〇系のエロ本なんて見せないでくれぇぇぇぇ!!」
「……いやまあ確かに見ていて気分悪くなるけどさ…」
そう言って本を後ろに戻してくれるユアン。そうそう、あんなの百害あって一利なしだ。
「んじゃ、コイツはどうだ。SM系なんだけど?」
「問題ない。むしろバッチこい」
「…もうお前がなんなのか分からん……」
ユアンがなにか言っているが、そんなものエロ本に集中している俺からしたら瑣末なことだ。…むむ、ここ縛りが甘いな。…いや目隠ししなくていいだろ。
――さて、
どうして俺がユアンと一緒にえっちぃ本を読んでいるのかというと、まあぶっちゃけ朝飯の後にちょっと部屋に誘われて行ってみたら机の上に十数冊ほど積んであったのよ。これらも向こうの世界から流れてきたらしい。しかもどう見てもカラー印刷。外国のはやっぱりきわどかったです。
ちなみに。この部屋に来てエロ本を閲覧。それが丁度ストレートど真ん中だった俺は、無言でユアンとハイタッチし、続けて固い握手を交わした。ここまでのタイムラグは一切無く、その瞬間だけは阿吽の呼吸だった。そして『漢同士の間に遠慮はいらねぇ!』とのユアンの言葉に俺は一も二も無く賛同。以降タメ口で喋るようになった。
「…しっかしまあ、おまえがそんなだとは思わなかったな。女と一緒に宿に泊まって手の一つも出さないから、てっきりそっちの方には興味が無いかとばかり」
「俺も人並みの青少年だからな。興味が無いわけないさ。でも流石に女子の比率の方が多いところでそういうこともアレかなと思って考えないようにしてたんだ」
「ああ分かるぜそれ。俺も欲望のままに城の雇用を女だらけにしたはいいけど、おかげで気兼ねなく猥談出来る野郎がいなくなっちまってな。ちっとばっか辛かったんだよな」
「………そうですか。それは大変でしたね」
「まあな。でもその代わりに城に女が多くなって目の保養に……………なあトモヤ、ちょっと声高くないか?」
「………オレじゃない」
ギギギ、と間接部分が錆びたロボットのようなぎこちない動きで見ていた見開きから目を離すユアン。移動した視線の先には絶対零度の気を放出するリアさんが佇んでいた。
「………リア、いつからそこに…?」
「ユアン様が欲望の赴くままに城の雇用枠を改竄したという発言の辺りからです」
はいアウト。
一応上下関係はあるんだろうけどリアさんの気迫と、なによりユアンの脅えた表情から、今だけは逆転可能なのだろう。
俺は音を立てないように椅子から立ち上がり、扉へ向かう。一瞬ユアンが視線で援護要請を出してきたが、受信拒否にして逃走を開始する。
「………トモヤさん」
ビクゥッ!!
「…………なんでしょうか?」
「今後、また同じようにユアン様に誘われた場合、すぐに私に伝えるようにして下さい。お願いできますか…?」
「……かしこまりました」
この時俺は知った。『お願い』という名の命令があるのだと。
全く音を出さない動作で扉をくぐり一礼とともに扉を閉める。そして全速力で走りだした。
『トモヤァァァァ!!テメェ後で覚えてやぎゃああああああああああああああああああああ!!―――あっ…………』
………何も聞こえない。
全速力で走ること数分。息を整えがてら、ユアンの冥福を祈る。
「…にしても、ここどこだ?案内図なんか無いだろうし…参ったな」
流石に、来て間もない城の中を後先考えずに駆け回るのは無茶だったな。適当に部屋に入っていくっていう手もあるけど、ユアンのバカが城の雇用を全部女にしたって言ってたしな。もし着替え中の部屋とかに入ったら………
「…………人は時に、死すら厭わないことがある」
そうだ。たとえ後に社会的に精神的に肉体的に死のうとも、それまでの行いに悔いが無ければいいじゃないか。一度だけでも楽園が見れればいいじゃないか。
残念な開き直りをした俺は、しばらく先にあった他よりもやや大きめの扉に手を掛ける。
「我死すとも、我が魂はここに永遠に留まるだろう」
完全に遺言だが気にしない。こういうのはノリが大事だ。
俺は数度深呼吸をし、落ち着いた心持ちで扉の取っ手に両手を置く。
そして、
「…開け!夢の扉!」
ばっと勢い良く扉を開ける。
まず目に入ったのは――――大量のぬいぐるみ。
「は?」
犬猫猿鳥亀狐狸、他にもいろいろな種類のぬいぐるみがあった。
「ん?」
次に見えたのは本棚。それはもうギッシリと本が詰まっている。タイトルは……読めん。でもなんか小難しそうな雰囲気がある。それと大量のぬいぐるみとのギャップがスゴい。
「ねぇ、アンタ誰?」
「?」
どこからか声が聞こえてきたので辺りを見るが……人っ子一人見当たらな――
「こっちよこっち!」
「え?」
聞こえたとおりに視線を――下げる。そこにいたのは、
「なんだ幼女か」
「誰が幼女だ!」
お前だお前。つか身の丈が俺の太ももまでぐらいしかないのを幼女以外なんと言えばいいんだよ。
「…ラ、ランちゃん…やめようよ…」
「!」
なんと!幼女の後ろにもう一人の幼女が!しかもそっくり。スゲ、双子ってホントに似てんな。もう顔のつくりとか鏡映しみたいで―――あれ?なんかこの二人の顔、どっかで見たような…?
「何言ってんのよリン!勝手にアタシたちの部屋に入って来たコイツが悪いんでしょ!」
おいコラ。人を指差すな。あと年上の人に向かってコイツとはなんだ。
しかしまあ言ってることは正しいので、
「勝手に入ってすまなかったな。迷ったんで道を聞こうと思ったんだが…まさか中に幼女×2がいるとは思わなくてな」
「誠意が感じられない!」
目の前の幼女様は大層憤慨なさっているご様子。まったく、俺の謝罪のどこのに問題があったのだというんだ。
と、そんな感じで途方に暮れていると、
「お~い。何騒いでんだ。廊下まで声が聞こえてきたぞ」
扉からユアンが入って来た。
なんだ生きてたのか。
「なんだ生きてたのか」
「残念そうに聞こえるのはオレだけか……?」
妙なところに引っかかるなこの人は。まあ無視。
「でユアン、この幼女×2は何よ?」
「幼女言うな!」
性格的に騒がしい――ランと呼ばれていた方が噛み付いてくるが、これまたスルー。
「ああ、娘だ」
「…………はい?」
「いや、だから娘だって」
ばっと幼女たちのほうを向く。その勢いに二人はビクッ!としてた。ちょっと傷ついた。
でも言われてみれば顔立ちがどことなくリアさんに似ている気が……細部もユアンの面影があるようなないような…。
「な、何よ。人の顔ジッと見て…」
「いや……その………お父さんに似なくてよかったね」
「そうだな―――ってどういう意味だコラァ!」
文字通りの意味ですけど。
いやぁ、それにしても。子供がいるとは思わなんだ。ユアンは女好きっぽいけど、リアさんがあんなだからな……てっきりそういうのは無いもんだと…。
「トモヤ…お前の考えてることは大体分かる。……だがひとつだけ言っておく!リアは…ベッドの中ではかなり甘えんぼばっ!」
赤裸々に語りだそうとしたユアンが奇声を上げて倒れてきた。俺のほうに来たので、ついつい条件反射でビンタして軌道修正。「テ、テメェ…」とかすれた声が聞こえた気もするが気のせいだということにした。
んで、ユアンの背後だった場所で握りこぶしを作っていたのはリアさん。いつもの冷静な顔が崩れている。
「アナタという人は………客人と娘の前で何を言おうとしてるのですか…!」
お。ユアンの呼び方が様付けからアナタに変わってる。普段はそんな呼び方なのか。
「…リアよ。追いつくのが随分早くなってきたな…」
「アナタの行動パターンは大体読めています。彼女たちと話していなければもう少し早く着きました」
?彼女たちって……お、リアさんの後ろに見慣れた顔と新顔が。
「ト、トモヤ…」
「…奇遇」
「あ、あはは…」
「…どうも」
あれ?なんで彼女たちは俺から目を逸らすの?なんで頬が赤いの?
「…リアさん、これは一体…?」
「分かりません。ただ彼女たちには私がユアンさんを追っている理由をすべて事細かに話しただけです」
「おまっ、バッカじゃねえの!?」
ついつい叫ぶ。全部話したってことはアレだろ?俺がいたことも話したんだろ?エロ本読んでたのも話したんだろ?オイオイ勘弁してくれよ。関係ギクシャクするよ。特にクレア――従者だから呼び捨てでいいらしい――は昨日会ったばっかだぞ。俺の印象最悪じゃん。
「そ、そうよね。トモヤも…男の子だもんね」
「これが普通…」
「う…うぅ」
「…私は専属メイドですし…そういうご命令とあらば従うこともやむなしですが…」
おーい、何考えてんの。特にそこのメイド。んな命令するかボケ。
くっ、だがマズい。このままでは彼女らとの距離感がおかしくなってしまう……話題を強引にシフトさせる!
そう判断した俺は刹那の速度でしゃがみ、今まで呆然としていた幼女×2と目線を合わせる。
「こんにちは」
「「ふぇっ…」」
急に話し掛けられてテンパってんな。後ろのほうは涙目だ。精神に多大なダメージを受けるが、俺は負けない!
「俺は篁智哉。そっちは?」
「え…あ…ラ、ラン・ウィリス…」
「………リン…です…」
ランとリン?安直過ぎるだろ父親!しかもリンはかなり内気ですね。声ちっちぇよ。これはいよいよ両親に似てないよ。
「……まあ俺別世界の人間だし、礼儀とかしらないけど、よろしく」
そう言って手を差し出す。友好の証です。
「…………一応、よろしく」
ゆっくりと俺の手を握るラン。一応ってなに?そしてリン、ランの後ろで縮こまるな。
だがまあしかし、この子どもとの邂逅という微笑ましいシーンを繰り広げたからには、きっと場の雰囲気も元通りに―――
「(ガシッ)…トモヤ、ちょっとお話があるんだけど…?」
「……来てくれない?」
ハッハッハ、ヤダなァ二人とも。断ろうにも脊髄を掌握されている以上、俺に拒否権なんかないだろう?仕方ない。ここは大人の余裕を見せて―――アレ?二人とも?俺まだ返事言ってないよ?なのになんで部屋の外に引き摺り出されてんのオレ?あとちょっと待って。首が、首の骨から変な音が!首を握ったまま引っ張らないでお願いだから!
「……痛ッ!ク、クレアもうちょい優しく…」
「これくらい普通です。男の子なら我慢してください」
「…はい」
エルナとフィナ、途中参加したアリス達からの肉体言語によるお話を受け、なんとか生き延びたオレはクレスにケガの治療をしてもらっていた。
「…はい。これでおしまいです」
「ん。あんがと」
礼を言いながら脱いでいた上着を着る。打撲傷のほとんどは腹と背中にあった。やりかたが陰湿すぎると思う。
そんな陰湿な女性達は、現在双子と歓談している。と言っても、話してるのはもっぱらランで、リンは時折曖昧な返答をしているだけである。
なにはともあれあんな女子が集まっている空間に入っていける程オレは勇者じゃないので、とりあえず静観を決め込むことにする。………あ、眼が合った瞬間リンが脅えてる。うぅ、泣きたい。
見ているだけで脅えられることが分かったので、視線を外してとりあえずダラ~とする。
……つか部屋汚い。ちゃんと片付けろよ。……お、紙見っけ。ここをこうしてああして……アジサイの完成。次は………カニ。いいねぇ、結構紙散らばってるから自由に折れるよ。……はいツル。これは結構自信作。
ツルの羽を広げて下から息を吹き込んでいると、不意に誰かが目の前に立っていた。顔を上げると、そこにいたのは、
「リン…?」
「(ビクッ)」
名前読んだだけでビビられた。ショックです。オレそんなに怖いかな…?
やや落ち込みながらふと疑問に思う。なぜ彼女は来たのだろうか。こんなに怖いならランのとこに戻ればいいのに。
そう思っていると、リンがじっとオレが作った折り紙を見ているのに気がついた。これはもしや…。
オレは近くの紙を引き寄せ、丁寧に折る。
「―――ほら、カエル」
「……?」
よく分からないといった表情のリンの目の前で、カエルが跳ねる。
「…!」
「すごいだろ」
続けて風船。パパッと折って膨らませ、手の上で弾ませる。――おお、目が輝いている。
「……作ってみる?」
「はい!」
紙を受け取るときの手にまだ少しの恐れが見えたものの、好奇心が恐怖心に打ち勝ったらしく、もう涙目になったりはしない。
「はい、じゃあまずこう」
「こうですか?」
「うん。次にこことここをこうする」
「…こう?」
「そうそう。んで、ここをこうして」
「…あれ?」
「あ、違う違う。そうじゃなくてこう―――はい完成」
うむ。紙飛行機は初心者にも優しい設計だ。
「んじゃいくよ……それ」
ひょいっと手首のスナップだけで飛行機を飛ばす。………あ、ユアンに当たった。しかも先端が頭頂部に。…どうでもいいか。
「やってみ」
「はい――それ!」
リンの手から放たれた紙飛行機は弧を描いて飛んでいく。……あ、ユアンに当たった。つか目に入った。でもま、リンが楽しそうでなにより。
「ねえ。アンタたちさっきから何してるの?」
お、ラン。むこうの方でエルナたちと話してたのに、いつの間に。エルナたちもこっちに来てる。
「見て見てランちゃん。これスゴいんだよ」
「? どうしちゃったのよリン。アンタがそんなにハッキリ喋るなんて。しかも会ったばかりの人とそんなに話せるなんて……で、なにこれ?」
ランも折り紙を知らないのか。
よし、いっちょ楽しませてやるか。
後日、流石に文字が読めないのはマズいと思った俺は、クレアに頼んでこの世界の文字の読み書きを教えてもらっているのだが、
「ねえねえトモヤ~、勉強なんかやめて遊ぼうよ~」
「…トモヤさん、次はどうするんですか?」
……なんか懐かれた。
「トモヤ~」
「トモヤさん」
「………………はあ…」
勉強にならん。
どうでしたか
今回はいつもより短い?気がします
内容も……どうかなぁ?
次の更新もこんな感じだと思います