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第22話 邂逅と説明

ちわ~す。作者です

今回の話には色々細かい説明を突っ込みました

ぶっちゃけそこら辺は適当に流してもいいです

 目が覚めると、見知らぬ天井だった。

 流石に何回もやると目新しさがなくなってくるな。新しいフレーズを考えるか……って何考えてんだオレ?

 薄目を開け、なんとなく高級感漂っている感じのする天井を見つめながら物思いにふける。大したこと考えてないけど。

 まあ知らない場所でいつまでも寝ているわけにもいかないので、とりあえず起きることにする。

ぐいっ

「………あれ?」

 なんか、腕引っ張られる。

 心の奥底になんかイヤ~な予感を抱えながら、そっとサイドを確認。そして、

「ぶっ!」

 噴き出した。

 そりゃそうなるでしょうよ。両腕にフィナとアリスがしがみついてんだもん。ビックリするじゃない健全な男子なら。

 いやぁ、それにしてもこうしっかり腕を抱きしめられるとさ、その…ね、まあ何と言いますか、なんか……当たってんだよね。

 あ~キツい。ナニコレ拷問?青少年にはキツイよ。二人とも心配してくれててなんやかんやでこういう状態になったんだろうけども。これはかなり精神がヤバい。急速に煩悩が増殖している。だがしかし、二人とも俺のことを心配してくれたのであって全くそういう気が無いのだからここで手を出したりなんかしちゃったら俺はもう男としてといいますか人として終わるような気がするしああもうイイ匂いだなクソッタレ。

 いや、しかしオレよ。これはよくよく考えたら結構な幸せ状態じゃないか?フィナはもちろんだしアリスも無いように見えてたけど寝間着みたいに薄い服だとちゃんとあることが判明する。何があるとは言わん。むむむ、これは今度からアリスのことを女の子扱いしよう。

 まあ何はともあれとりあえずこの状態を長く楽しもう。こんなこと一生に一度有るか無いかだろうし。いやぁ役得役得。

ガチャ

「フィナー、アリスー、トモヤの具合は…っていないわね。どこに行ったのよあの子達ったら」

 ラスボス登場。

 マズい。マズぞ。こんな状態エルナに見つかったら確実に()られる。ケガとか激戦の後だとか関係なく腹にドロップキック食らう。今度こそ死ぬ。

 この状況を打破する為の何かが無いか。そう考えた俺は顔は動かさずひたすら眼球だけを動かし、

「…………」

 いつの間にかパッチリ目を開けていたフィナと視線がぶつかる。

(フィナ!この状況どうにかならない!?)

 俺は必死にアイコンタクトを送る。それを受け取ったフィナは小さくコクリと頷き、

ぎゅっ

「…………」

 どこで伝わり間違えたのかやや頬を赤くして胴体にしがみついてくる。ホワイッ!?

「(ちょ、ちょっとフィナ!?何してんの離れて!)」

 小声でフィナに懇願する。これ以上密着していたら見つかったときの俺の苦しみがハンパじゃなくなる。

「(イヤ……)」

 小さな声でそれだけ呟くとさらにキュ~っと抱きついてくるフィナ。クソぅ。この天国の後には地獄しかないのか!

 待て落ち着け俺よ。まだ諦めるな。どんな状況でも諦めなければ希望が見えてくるって誰かが言っていたような気がする。まだ…逆転の発想が…。

 諦めが悪い俺はさらに視線を巡らし、

「……………」

 何故かほっぺたをぷくっと膨らませているアリスを見つける。てかコイツも起きてたし。

「(…何、どしたの?)」

「(フィナお姉ちゃんばっかりズルい…)」

「(え?)」

「(えいっ!)」

「(ぬぉぅ!)」

 アリスまで抱きついてくる。本格的に意味が分からん。状況説明求む。

 ていうかこれ完全に身動きが取れない。ええい、顔を摺り寄せるなこそばゆい!

 くっ、俺は一体どうしたら―――

ガバッ

「…………………」

「…………………」

 宙を待った布団の向こうからエルナの顔が出現。とても素敵な笑顔だ。まるで一輪の花のよう。……こめかみに青筋が浮かんでなければもっと可愛かったろうに。

 あれ?俺、着替えさせられてる。誰がやってくれたんだろ?

 現実逃避気味にそう考えながら、腹部に迫るエルナの両爪先をただただ見つめた。



「……まだ腹痛い…」

「ふんっ。あんなことしてるアンタが悪いのよ」

 エルナ(加害者)が俺(被害者)に冷たく言い放つ。だから違うと言ってんだろ。

 まだキリキリと痛む腹を押さえながらものっそいキレイな廊下を歩く。俺が腹を抑えて転げまわっている間に説明されたところによると、なんとここはお城の中らしい。……フィナはエルナに止められてました。

 詳しい理由はエルナも知らないらしいが、俺がバッタリ倒れた後、残った四人は丁寧にお城へ通された。そこで三人はおばさんと別れ、ずっと俺の傍にいてくれたらしい。

 ただいま俺たち四人は国王様のもとへ向かっている。先導してくれているのは王様直属の秘書――リアさんというらしい。黒のタイトスーツをピシッと着こなした出来る大人の女性という感じだ。………あれ、タイトスーツ?

 ちょっとした違和感が頭を横切ったが、それを頭の隅に追いやる。これから一国の王と会うんだ。それなりにちゃんとしていないとな。

「ここです」

 大きな扉の前でリアさんが立ち止まる。凛とした落ち着きのある声だな。

 俺たちが止まったのを確認すると、リアさんはその白い扉に手を掛ける。取っ手のとこまで細かい装飾が施されている。ものすごく緊張する。

 ゆっくりと開かれる両開きの扉の向こうには、

 一面に広がる―――畳。

「近代和風建築!?」

 思わず声を荒げてしまう。畳の床と大理石の壁と天井まったくと言っていい程あっていない。

「かっかっか。そんなに驚いてもらえるとこっちも造った甲斐があるってもんだ」

「へ?」

 不意に渋い声が聞こえてくる。声が聞こえた方に目をやる。部屋の奥、よく社会の教科書とかに載っている絵の…あ~、勉強は嫌いなんだよな。教科書読むのは好きだけど。

 まあいい。何時代かは忘れたというか知らんけども、ちょっと一段高くなってすだれ的なアレで姫だかの顔が見えないようになっているあれ。あんなのがあって、上のほうにすだれ?が巻き上げられているので中が見える。んで、そこに座っていたのは、茶髪・青目・ムキムキ・よく日に焼けた、というステータスの、

 ―――着流しを纏った男。

「………………もう、どこからツッコんでいいやら」

 ついつい頭を抱えてしまう。ていうかなんでこんな和風なものがこの世界にあるんだよ…?

「この世界には結構な頻度でお前のいた世界のものが来るんだよ。影響を受けるヤツはいっぱいいるぜ?俺もその一人だ」

「あれ!?心を読まれた!?」

「王様だからな」

「一国の王スゲェな!?」

「ま、冗談だ。思いっきり顔に出てたぞ」

「あ……そうすか…」

 一気にテンションが下がった俺を見て、王様はカラカラと笑う。ああ、とりあえず敬語だけは使おうと思ってたのに…。

 何はともあれ、一応王の御前なので礼儀正しく正座する。俺に続いて座る三人は畳をじっと見たり触ったり、珍しいんだろう。

「という訳でだ、自己紹介が遅れたが、俺の名はユアン=レパーラ=ウィリス。名前に国名が入っているのはそういう仕様だからだ。んで、こっちが――」

「改めまして、リア・ウィリスと申します。以後よろしくお願いします」

 片やふんぞり返って、片や腰を折って、対照的な二人だな。……………………おう?

「ちなみに俺のワイフだ」

「今度は米国!?」

 かっかっかと笑うユアン王。しまった、つい反射的に…。

 自己嫌悪に陥る俺に、ユアン王が話しかけてくる。

「そんなに畏まろうとしなくいていいぞ」

「え、でも…」

「いいんだって。もともとお前はこの世界の人間じゃないから王に礼を尽くす義理なんてないし、なにより俺がそういうのは苦手だからな」

 そういってニヤリと笑うユアン王。この人は……いい人だな。

「――俺の名は篁 智哉です。よろしく…ユアンさん」

「ん~、まだちょっと固いが…まいっか。よろしくトモヤ」

 快活に笑うユアンさん。きっとこの人はすぐ他の人と仲良くなれるんだろう。

「んで、そっちは?」

 ユアンさんがエルナ達三人に眼を向ける。いくらいい人そうとは言えやはり王。三人は少し萎縮しているようだ。そう考えると軽く接せた俺って何?

「エ、エルナ・コーレインです」

「…フィナ・レノウド」

「ア、アリスでしゅ!」

 …噛んだ。ヤベ、カワイイ。

「ほう…」

 なにやらユアンさんがエルナをじっと見ている。

「あ、あの…何か?」

 気弱な問いかけ。十数分前、俺に大ダメージを与えた相手とは思えない。

「いや何、父親と母親の面影があるな、と……。それにどっちかといえば母親似だから将来有望だな……どうだ、今からでも俺と―――痛っ!」

 いきなり前のめりになるユアンさん。どうやら後ろから叩かれたらしい。後ろにいるのは…

「おばさん?」

 どうみても蹴りを繰り出した後の体勢で固まっているおばさん。え、あの、その人国王…。

 軽く絶句している俺たちを尻目におばさんは呆れたように言う。

「まったく、嫁をもらって少しは落ち着いたかと思ったら…変わらないねアンタも」

「そっちこそ。その王に対して礼儀を一切尽くさないその態度。相変わらずのようで」

「くっ……」

「ふっ……」

 はははははと笑いあう二人。そこで俺はおずおずと手を挙げる。

「あの~、一つよろしいでしょうか?」

「ん、どうした?」

「先ほどから親しげに話しておりますが…お二人はどういったご関係で?」

 おばさんがこの国の軍隊の体長的なポジションについていたことは知っているが、それにしても国王を足蹴にしたりそれを笑いあったりするなんて…と、素朴な疑問をぶつける。

 すると二人は数瞬顔を見合わせ、そして、

「「姉弟」」

『………………………………………………………………へ?』

 衝撃発言キタコレ。



「―――いやな、姉弟っていっても腹違いでな。前国王って言うか俺の親父が正妻との間につくったのが俺で、愛人との間に生まれたのが姉貴なわけよ」

『………………はあ』

 ユアンさんの説明に俺たち四人は生返事をする。ビックリが一周まわってもう返しが平淡だよ。

「今まで姉貴が名乗ってたベルティっていうのは母親の方の姓でな、愛人との子といえど我が子だからそれなりの暮らしをさせてくて魔法部隊の隊長にしたんだとさ。ま、姉貴にはちゃんとそれだけの能力はあったけどな。まったく、親父の女好きにも困ったもんだな」

「アンタが言うな」

「うっせ」

 二人の軽いやり取りを見ていると、ホントにおばさんは国王の姉だというのを呑み込めた。

「ああそれから、ロト・ドヘムの屋敷を捜索したらいくつか証拠が挙がった。ロト本人も犯行を認めたことからコーレイン夫妻の殺害の犯人をロト・ドヘムと断定。めでたく姉貴の疑いは晴れたから心配すんな」

 うん、なんか今結構重要なことをさらっと言われた気がするがもう気にしない。いちいち考えてると疲れる。

「他にも幾つか言いたいことはあるが、とりあえず…リア」

「はい」

 ユアンさんが呼びかけると今まで黙っていたリアさんが音も無く俺の前に出てきて、後ろから何かを差し出してくる。これ……

「《飛鳥》?」

「ん?これは《飛鳥》って言うのか。気になる点があって少しばかり調べさせてもらったが…コレは古戦器(オーパーツ)だな、珍しい」

「…………え、何だって?」

「いやだから古戦(オーパー)…ああ、知らないか。もともとこの世界にいるヤツでも知らないのがほとんどだしな」

 言われてみるとエルナやアリス、フィナも首を傾げている。

「説明は少々専門的になるが…まず「待った」…どうした?姉貴」

 説明しようと言葉を続けようとしたユアンさんをおばさんが遮る。

「トモヤには魔法の仕組みすら説明してない。いきなりそのことを説明しても分からないだろう」

「む、そうか。……じゃあちょっと面倒だが…」

 ユアンさんが指をパチンと鳴らす。すると、

 ――― 一瞬で周りが本棚だらけの明らかに別の部屋に。座っているのも畳ではなく木製の椅子に。

「んじゃ、これから授業を開始する」

 いつの間にやら白衣を羽織ったユアンさんが黒板の前に立っていた。

「すいません。いろいろツッコミたい所があるのですが」

「トモヤ…お前な……突っ込むとか、そういうのは夜ベッドで言いなさい」

「そのつっこむじゃねえよ!」

 下ネタ言われるとは思わなかったよ!…ってあれ?三人娘は分かってない。過剰反応しすぎたか。いいやおばさんとリアさんは呆れたように息をついてるし、この三人が疎いだけか。

「まあ青少年は放っておいてだ」

 誰が青少年だ、誰が。

「とりあえず大前提として、この世界には魔力というものが存在している。魔力には二つに分けられ、大気中に点在している粒子魔力、そして生き物の体内で精製・存在している固有魔力と呼ばれている」

 ………………………………………

「普段俺たちが使っている魔法はこの固有魔力を核とした粒子魔力の塊で出来ている。このとき魔法に属性が付与されるのは固有魔力の属性に粒子魔力が反応・変化するからだ」

 ……………ふぁ…ああ

「この粒子魔力ってのは世界中の大気中に点在していて、その総量は絶対に変わらんらしい。そして固有魔力は体内から出ると長くは保たない。核である固有魔力が消えるとそれに集まっていた粒子魔力はもとに戻るって寸法だ」

 ……………眠い

「んで固有魔力ってのは血液と一緒に体中を巡っている。いくらか消費してもまた体内で精製される。体内の魔力量は人によって違うが、多いからってあまり消費しすぎると意識を失う。ここら辺は血液と同じだな」

 ……………ZZZ

「一部の武術の流派では魔力の流れを制御して身体能力を向上させ――――、……おい起きろ!」

「…はっ」

 あ…ヤッベ。寝てた。

「ったく、人が折角説明してやってるってのに」

「ご、ごめん」

「…まあいい。気持ちは分からんでもないしな。説明を続ける」

 そう言って再び説明しだすユアンさん。悪いことしたな…。

「あ~っと、どこまで言ったっけか?ん~、まいいや。魔法についてはもうやめだ」

 前言撤回。

「じゃあ次は…そうだな。とりあえずちょっと昔話だ。今からおよそ千年前、この大陸は五つの国になど分かれず、人と獣人とエルフとドワーフが手を取り合って暮らしていたらしい」

 ん?今エルフとドワーフって言ったか?

「エルフはその聡明な頭脳を、ドワーフはその卓越した技術を、獣人はその特化した腕力を、そして人は三種族の和を取り持っていたらしい」

 やっぱり言ってる。この世界にはエルフとドワーフがいるらしい。

「ある時、友好と感謝の意を込めて、三種族が協力して人にしか扱えないものを造ろうとしたそうだ。獣人が材料を集め、エルフがその加工法を編み出し、ドワーフが技の粋を凝らして作り出したもの。―――それが古戦器(オーパーツ)だ」

 俺は手に握る《飛鳥》を見る。こいつがそれだってのか。

「人は贈られた古戦器(オーパーツ)の秘められた力に大層感動したらしい。悦び、魅せられ、酔いしれ、そして溺れた」

 語るユアンさんの言葉は悲しそうなものだった。

「力に溺れた者の末路はわざわざ言うまでもないだろう。人々は欲し、争い、対立した。力を手にするために醜い行いを繰り返した。エルフとドワーフは人のその姿に絶望し、姿を消した。獣人は最後まで戦いを止めようとしたらしいが……知っての通りだ」

 人々を救うために残ったのにこの扱い。…人間ってのは酷いな。

「三種族が別れ、もう古戦器(オーパーツ)は造られなくなった。そして残った古戦器(オーパーツ)も人から人へと渡り、散り散りになって今はもうどこに何があるかなんて分からなくなっている」

「…ふ~ん」

 そんな大層なものが、何の因果が俺の手に。世の中ってのは不思議だなぁ。

「それと、古戦器(オーパーツ)に使われてる金属は現在では精製不可能でな、それをつかった古戦器(オーパーツ)はかなりの価値がある。国宝級と言っても過言じゃない」

「え、マジ?」

「ああ。その鞘自体も『龍の胃石』っていう激レアな素材で出来ていてな、鞘と刀身合わせて大体城二、三個分の価値がある」

「………………………………………」

「……………売るなよ?」

「!い、いやそんなこと考えてねーし!」

 ホントだよ!別にそんだけあったらウハウハだなとか思ってないよ!

「……まいいか。次はその古戦器(オーパーツ)―――《飛鳥》だっけか?その能力について説明する」

 話を再開するユアンさん。ふっ、どうやら誤魔化しきれたようだ。

「うちの研究者たちが詳しく分析した結果、どうやらその古戦器(オーパーツ)には魔法の中にある固有魔力を消し去る能力があるらしい」

「チートじゃね?」

「ちーと?意味分からんが…続けるぞ。さっきも言ったとおり魔法は固有魔力を核とした粒子魔力の塊。その核である固有魔力が消されるということは魔法自体が消えるということだ」

 おい、これオレ無敵じゃね?

「おそらく今調子のいい事考えているだろうが、現実はシビアだぞ」

 ああ、社会の荒波にもまれた大人の言葉。

「そうだな…トモヤ。戦っている最中、それに変化はなかったか?」

 変化?あー、変わったところ……あ。

「《飛鳥》の刀身が光ったんだよ。ピカーッ!って」

「そうか。じゃそれだな」

「?何が」

古戦器(オーパーツ)の発動だ。さすがに常にそんな反則技が使えるわけじゃない。古戦器(オーパーツ)は人の何かに反応して発動するんだ」

「何かって何だよ。そこが一番重要だろ」

「んなこた分かってんだ。それは心とも想いとも願いとも気持ちとも言われている、不確かなものだ。さらに古戦器(オーパーツ)を発動させるのは誰にでも出来るって訳じゃない。ここまで不確定要素があるんだ。簡単に分かったら苦労しねえよ」

 そういうユアンさんの表情はやるせなさが含まれていた。苦労してるんだな…。

「説明は以上だ。何か質問があるものは元気に手を挙げろ」

「は~い」

 ビシッ!と手を挙げる。

「はいトモヤくん」

「俺たちがここまで来たのも魔法ですか?」

「よい質問だ」

 そう言ってユアンさんはメガネをくいっとする。どっから出したそれ。いらんだろ。

「お前たちをここに飛ばしたのは俺の転移魔法だ。この転移魔法、魔法ではなく魔術だ」

「なにが違うんですか?」

「よい質問だ。魔法は固有魔法を核として形成されるが、魔術は……これがこうで………よし。このような魔法陣を媒体として成っている」

 そこら辺にあった紙に描かれたのは、これぞ魔法陣といった代物。ユアンさんはそれになにやら文字を書いていく。そいいえば俺こっちの文字読めないんだよな。

 ユアンさんは何かを書き終えると、紙を折って簡単な紙飛行機を作る。それをヒョイっと投げる。普通ならあっさり落ちてしまうはずなのだが、紙飛行機は一向に落ちる気配を見せず、それどころか数度旋回すると、ひとりでに扉から出て行ってしまう。

「このような魔術には属性がない。だからいろんな使い道があるんだよ」

 へー。魔法と魔術にそんな違いが。

「あ、ついでに言っとくと魔術による攻撃はそいつじゃ消せないから」

 相変わらずサラリと結構重要なことを言ってくる。

「あとさっきの訂正。魔術には属性がないって言ったけど描く魔法陣によっては属性も出るから」

「ホントにサラリと言うなアンタ!」

 声を荒げるも効果なし。むしろかっかっかと豪快に笑われる。

「いやいや。トモヤ、お前と話してると楽しいよ」

「………ども」

 くそ、そんなに真正面に言われると何も言えねえ。

 黙りこむオレに、それを見て笑うユアンさん。おちょくられてる。

コンコン

「失礼致します」

 戸を叩いて入って来たのはメイドさん。でもアリスと違って服のつくりがやや違うからか違う印象を受ける。

「ああ、さっき伝えたことか。早いな」

「いえ、それほどでもありません」

 よく通る声で喋るメイドさん。なんか有能そうだ。

「ユアン、何のことだい?」

 二人のやり取りに疑問を抱いたらしいおばさんが尋ねる。ユアンさんは何か楽しみでたまらないといった風な笑顔で答える。

「手配だ」

「だから何の?」

「今日のパーティの」

『……………………………………………………………………は?』


「…………………………………はぁ…」

 視界の隅でため息をつくリアさんが印象的だった。一番苦労してるのはこの人なのかも…。

どうでしたか

魔法・魔術の仕組み、痛々しかったら言ってください泣いて土下座するので

ではここらで

作者は積みゲーを解消するべく奮闘します

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