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第9話 二人目

遅れまして、申し訳ございません。

内容は、サブタイのまんまですね。

ま、読んでやってください。

 窓の外の風景は、最初の頃とは違ってきていた。最初は、畑や田んぼが多かったが、今は建物の方が多い。都市部に近付いてきているのだろう。

 ・・・お!牧場だ。何あれ?馬と牛を足して2で割ったような姿だ。うまいのかな?

 ・・・うわ~、なんかデカイ鳥っぽいのが飛びながら戦ってるよ。縄張り争いかオイ。

 うん。ダメだ。頑張って気を逸らそうとしてもダメだ。現状は変わらんし、周りからの視線も別に移ってくれない。

 なんで!?おばさんを助けに行こう!って決めてさ、準備整えてさ、アレフさんに説明に行ったらさ、『そうなると思いました。コレ使ってください』って書いてる手紙と一緒に結構な量のお金が置いてあって、アレフさんカッケエー!と思いながら国境近くまで行くためのデカい馬車みたいのに意気揚々と乗り込んだじゃん!なのになんで!?

 なんで俺・・・


 エルナに膝枕してんだよ!!!


 俺がしてもらうならまだしも、なんで俺がしてんの!いや、こんなとこでしてもらってんのもあれだけど。

 乗り込んでしばらく経ったら眠たくなって、気づいたら眠ってた。ふと起きたら、膝の上にエルナが寝転んでたんです。決して俺がするように言ったんじゃありません。

 だから乗客のみなさん。こっちをみてヒソヒソ話さないでください。お願いします。

「ぅ…ん…」

 エルナが呻く。

エルナの顔を見ると、悲しそうな表情をしていた。

 一気に心が冷める。

 当然だろう。実の両親が殺されていると言われ、育ての親がその犯人に仕立てあげられているとまで言われた。たった一晩の間にこの少女はどれほどのショックを受けたのだろうか。

 俺はエルナの頭をなでた。少しでも安心出来るように、せめて夢の中でくらいは楽しくいられるようにと、出来るだけ優しく手を動かしした。

 エルナの表情はいつのまにか穏やかなものになっていた。



「国境都市ボーデルに到着致しました。忘れ物のございませんようご確認ください」

 乗員の人の声が聞こえる。周りの人たちは下車の準備を始めている。

「おい、エルナ、起きろ。着いたぞ」

 膝の上で気持ちよさそうに眠っているエルナに声を掛ける。

「ん~」

 エルナが薄目を開ける。

「もう着いたぞ。さっさと行くぞ」

 声を掛け続けると、次第に眼の焦点がはっきりしてきた。

「分かったわよ」

 手で眼をこする。すると、不意にエルナの動きが止まる。

 俺の顔を見つめ、周りを確認し、自分の体の向きを確かめるといった動作を何度か繰り返すと、顔を真っ赤にして、すさまじい勢いで体を起こした。

「え、あ、その、な…なんで?」

 顔を耳まで赤くしながら聞いてくる。

「いや、なんでって言われても、気づいたらお前が膝の上にいたんだよ」

 ボンッ!

 そんな効果音がピッタリな勢いでさらに顔を赤くしたエルナは、そのまま走っていってしまった。

 残されたのはボケッとしている俺と、二人分の荷物(ほとんどエルナの物)。そして、冷めた眼で俺を見る数人の乗客達。

 思わずため息が出た。


「あ、ご苦労さん」

 馬車(?)から荷物をもってでると、エルナがいつものように話しかけてくる。どうやら、さっきのことはなかったことにしたらしい。ま、蒸し返しても何一つ得をしないので、それのに合わせることにした。

「ったく、自分の荷物くらい自…分……で…」

 俺は言葉を失った。

 目の前の光景に心を奪われたのだ。

「デッケェ…」

 そう、とてつもなく大きかった。街の奥に見える、砦といっても差し支えの無い建造物。

「あれは検問所。不法に国境を越えるのを防ぐためのものよ」

「へー」

 町並みを見ると、しっかりした建物のほかに、結構な数の露店があった

 どんなものなのか観に行こうと、俺は走り出した。


 ガッ!


 バタン!

「痛いっ!」

 なんかにつまづいて勢いよく転んだ。

 鼻に激痛が走る!

「うぅ~、何だよ一体」

 足元を見ると、人一人分はあるであろうでかい布の塊。

「なにコレ?」

 好奇心に駆られて、恐る恐る触れてみる。

 ぐにゅ

 ・・・・・・・・・・・・はい?

「なにしてんのよ?」

 エルナが寄ってくるが、ひとまず置いておく。今はこの手のひらに感じる感触が最優先だ。

 これは…もしや…

 手を放し、布ををめくる。

 眼を惹いたのは鮮やかな銀色の髪。白いワンピースのようなのを着ている。うつ伏せで前は見えなが、それは間違いなく女の子だった。

「・・・」

「・・・」

 思考がフリーズする。頭の中には大量の疑問符。

「あの…、大丈夫ですか?」

 一足先に正気にもどったのであろうエルナが話しかける。

 が、返答は無い。

 これはいよいよ死んでるんじゃないかという考えが脳裏をよぎった。

 が、


 ぐぎゅるるるるる


 突然鳴り響くなぞの音。というか俗に言う腹の音。

 俺ではないのでエルナを見る。が、首を横に振られる。

 そして、目線は目の前の少女へ。

 少女はうつ伏せのまま一言。

「おなか、すいた」

 俺とエルナは思わず顔を見合わせた。



 がつがつがつがつ かちゃかちゃかちゃ

 食べ物を食べる音と、皿を重ねる音が響く。普段は喧騒に包まれているであろうこの食堂もいまは不気味なほどに静かである。

 原因は現在俺の隣に座っている少女である。

 先程の空腹発言を聞いた俺たちは、そのまま放置することも出来ず、近くにあった食堂に連れて行った。まあ、俺たち自身も飯はまだだったのでそのついでだった。

 道に倒れていた少女はとても綺麗だった。

 透き通るような碧眼は見ていると吸い込まれそうになる。スタイルは結構いい方だと思う。エルナよりも出るとこは出ている。

「ねぇ、なんか今失礼なこと考えなかった?」

 ジト目でエルナが睨んでくる。図星だったが平静装って首を横に振る。こういうのを考えるのはよそう。

 そして、無表情だ。全くと言っていいほど感情を窺わせない表情は、その細い体のどこに入るんだと言うほどの量の食べ物を食べている間、微塵も動かなかった。

 なんて事を考えていたら、いつのまにか少女は食べるのをやめ、コーヒーを啜っていた。

「ねぇ、あなた、名前は?」

 エルナが尋ねる。

「…フィナ」

「フィナ?」

「(コクン)」

「そう。アタシはエルナ。よろしくね」

「俺は智哉だ。よろしく」

「よろしく」

 無表情で関わりにくいかと思ったけど。存外コミュニケーションがとり易いな。

「さて、自己紹介が済んだところで、本題に入るわ」

エルナが真剣な面持ちで切り出す。そう、今一番気になるのは

「ここの支払い、どうする?」

 フィナが食べた飯の代金だ。

「フィナ、あなたお金持ってる?」

「(フルフル)」

 エルナの質問に首を振るフィナ。やっぱりか。

「今の手持ちで代金が払えないこともないわ。でも、そうすると、ほとんど一文無しになっちゃうのよ」

 金。金が無ければ、宿にも泊まれないし、食べ物も買えない。どうしたもんか。

「お金、ないの?」

 ここにきて初めてフィナが自分から口を開いた。

「そう、ここの支払いでほとんど消えるだろうから」

 エルナの言葉に自分が食べた皿を見ると、フィナは申し訳なさそうに俯いた。すっごくいたたまれない。

 俺がとても居心地が悪い思いをしていると、フィナが突然立ち上がった。

「着いて来て」

「どこに行くんだよ?」

「お金、稼げるところ」

 そう言って、フィナは歩いていく。俺とエルナは慌てて立ち上がり、後を追った。もちろん、懐が大分寒くなった状態で。



 フィナがやって来たのは、まるで酒場のような建物だった。

「何ここ?」

「ギルド」

「ギルド…って、あの依頼を受けてそれを達成して報酬をもらうっていう奴?」

「(コクン)」

 首肯するフィナ。ん~、モン〇ン?

「ギルドか…。そうね、入っておけば後々楽かもね」

 エルナも賛成のようなので、木製のドアを開ける。

「酒くさ…」

 思わずそう呟いてしまうほど、建物の中は酒気に満ちていた。

「うっ…」

「くさい」

 後から入って来た二人もあまりの臭いに顔をしかめている。といってもフィナは相変わらず無表情だが。

 入り口の近くのテーブルに座っていた男達がこちらを見ている。ほとんどがエルナとフィナを見ているようだ。そりゃそうだろう。二人とも美少女なのだから。

残りの何人かは物珍しそうに俺が持っている《飛鳥》を見ている。こっちの世界では刀なんて珍しいからな。

 ぐるっと中を見回す。男が多いようだが、中には女性も何人かいる。たくさんのテーブルの先に、カウンターらしきものが見えた。カウンターの中では、給仕服の女の人が書類の束をまとめている。

「フィナ、あそこか?」

 カウンターを指差しながら、尋ねる。フィナは首を縦に振る。

「じゃ、行くか」

 二人に声を掛けて、歩き出す。テーブルの間を通ると、周りからジロジロと見られる。少し腹立たしかったが、ひとまず無視する。

 カウンターに近付くと、中の女性は手を止めてこちらを見る。

「こんにちは。本日はどんなご用件でしょうか」

 貼りついたような笑顔、いわゆる営業スマイルを浮かべた受付嬢はどことなく事務的な口調で聞いてくる。

「登録をお願い」

 勝手が分からない俺とエルナに変わって、フィナが応答してくれる。

「かしこまりました。では、こちらの紙に、お名前、性別、魔法の系統をお書きください」

 差し出される3枚の紙とペン。適当にウソでも書こうかな、なんて魔が差したが、押し留めて、無難に『篁 智哉、男、装身系水・風』と書く。書き上げて、前に差し出す。同じようなタイミングで隣の二人も差し出した。

 紙を受け取った受付嬢はカウンターの奥へ消えると、数十秒後に戻ってくる。

「こちらが登録証となります」

 渡されたのは免許証くらいの大きさのカード。

「こちらがあれば、どの国のギルドでも依頼を受けることが出来ます。他になにかご用件はございますか」

「依頼を受けたいんだけど」

 登録証を見ていた俺の横でさらに話が進んでいく。

「どういった依頼がよろしいですか」

「討伐系で」

「かしこまりました。では、こちらが一覧になります」

 そう言って受付嬢がカウンターの上においたのは紙の束。受け取ったエルナとフィナは目を通していく。どの依頼を受けるかは二人に任せて俺は受付嬢にいくつか質問をすることにした。

「依頼って、討伐以外にどんなのがあるの?」

「討伐系のほかには、捕獲や採取、変わったところでは人探しのようなものがございます」

「ギルドにランクとかってある?」

「はい。ランクは十段階に分かれていて、ランクが高いほど難しい依頼を受けることが出来ます」

「どうやったらランクを上げれんの?」

「一概に基準はありません。その方の力量が十分だとギルドが判断すれば、ランクは自動的に上がります」

 ふ~ん、と感心しているうちにどうやら依頼が決まったようで、一枚の紙をカウンターの上に置かれた。

「え~、クロウウルフ10匹討伐ですね、承りました。馬車は3番のをお使いください。では、お気をつけて」

 何か知らんけど、依頼も決まったようだ。

「行きましょう」

 そう言って再び歩いていってしまうフィナを、俺とエルナはさっきと同じように、慌てて追いかけた。


どうでしたか。

更新が遅いですね。他の人たちはなんであんなに早く投稿できるんでしょうか?

コツがあるなら是非とも教えていただきたいところです。

次回、智哉たちが狩りに出ます。

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