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黒雀姫  作者: 馬場悠光
4/5

雀荘にて

 幸いにも雀荘にはあの日、私やKと共に卓を囲んだ電脳が居た。に頼らない論理思考を基に麻雀を打つ電脳は、頭脳明晰な男と評判だった。そんな彼から意見を貰うのが最適であろうと考えた私は、彼にKの睡眠薬と時計を使ったアリバイトリックについて、語って聞かせた。


「……それって、本気(マジ)で言ってる?」


 麻雀の途中で無理矢理卓から引き剥がされたせいもあろうが、電脳の反応は恐ろしく冷ややかだった。


「そもそもさあ、キミの考えたトリックって、ボク達全員を眠らせないとダメじゃん。Kクンから聞かなかった? あの日()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。前の晩、徹夜でもして疲れてたんじゃない?」


 電脳の言葉に、私の推理はあっさりと瓦解した。


「どうしてもキミが起きないから、仕方なくボク達は三麻に移行したんだ。で、二時間位打ってたら、今度は年に勝てなくなった梅サンが根を上げてさ。そこで、その日の麻雀はお開きになったんだ。それが確か、二十三時少し前だったかな?」


 電脳は煙草を口に咥えると、ジッポで火をつける。


「それと参考までに。推理小説(ミステリ)によく出てくるアリバイトリックにこんなのがある。実は殺人現場は犯人とそのアリバイの証人が居る場所の近くで、犯人は手洗い等と称して席を外し、その僅かな時間で犯行に及び戻って来る。そしてその後、遠くの偽現場まで死体を持って行く……というのだけど、警察が言うには、死体は損傷が激しく、現場も凄惨故に、別の場所から来た形跡はないらしい。だから、このトリックもありえないだろう。とにかく、Kクンに元カノサンを殺すのは絶対に不可能だ」


「それなら……一体誰が黒雀姫を殺したんだ?」


 私の疑問を愚弄するかの様に、電脳は大量の煙を溜息と共に吐き出した。


「……キミさ、ホントに(なあんに)も知らないんだねえ」

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