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第九話゛俺、毒舌を浴びる

そして訓練が始まった、と言っても最初なので武器の使い方や注意事項だとかそういった超基礎的初心者レッスンと言ったものだった。


まずゲンさんからの開会の言葉的なのから始まった。


「皆さん武器は持ったと思いますが、できるだけ大切に扱ってください。それと何か武器に不具合があったらすぐに武器庫に持ってくるように、武具の不備は命取りとなりますので万全の状態にしておいてください。」


まるで校長先生の話しを聞いているようだ、酒を飲んでいる時のゲンさんとは見違えるほどちゃんとしていた言葉も格好も、そしてゲンさんだけは鎧をしていても兜は付けていなかった。

アイデンティティを守るためだろうか?と思っている間に次は副校長のお話と言わんばかりにオルドが戦闘中の注意事項を説明してくれた。


「戦闘時間は限られています、初心者の皆さんなら15分程度でサーヴァントとしての力を失うでしょう、そうなれば敵から格好の的このことには十分に気をつけてください。

熟練のサーヴァントと接敵したときは交代しながら戦うか集団戦で素早く決着を付けてください超熟練者ともなれば2時間以上戦えるサーヴァントもいる可能性が十分にあるので戦闘時間を念頭に入れて戦うようにお願いします。」

戦闘時間は限られているのか、この前は俺と同じ初心者サーヴァントだったから5分で倒せた武器として有利だと言うのもあった。

そもそも名乗りを上げて戦うのに暗殺用の武器で戦うのはどうかと思うのだが幸い俺含め仲間たちは刀、弓、魔法の杖、と言った多分この世界ではかなり強力な部類だ。

心配ないな、何故彼は苦無という武器を選んでしまったのか本当にいたたまれない。



こうして注意説明は終わったその後は基礎練習と言ったところだった俺と永野はオルドに連れられて稲掛けの少し背の低い……高さでいうと80センチぐらいの稲掛けの真ん中部分に畳をぐるぐる巻きにしたもの。


その前に並んでオルドから説明を受けた。

「あなたたちの武器は近接戦用に作られています。この刀の練習用ダミーを何度も斬って訓練を行います、このダミーは魔法によって何度も修復されますからご安心ください、

それと持ち方や打ち方が悪い場合は私が注意しますのでそのときは素直に聞き入れて欲しいです、これでも前にサーヴァントがいたときは100人の門下生がいましたから刀の講師としては自信がありますよ。」

どうやら講師となるスレイヴは必ずしも自分のスレイヴというわけではなく実力で選ばれるというなかなか合理的な手法だった。


そしてオルドから掛け声が入る。

「それでは戦闘モードに切り替えてください!」

それを聞いた俺は武器コードを叫ぶ。

「明治維新!」

ほぼそれと同時に永野の武器コードが聞こえた。

「陸奥平泉!」

陸奥平泉……奥州藤原氏の本拠地として有名な土地つまりは舞草刀というのは奥州藤原氏に伝わる刀ということだろう。

刀に関して多くの人は専門的な知識を持ち合わせていない、もちろん俺も一緒なので薩摩拵えと舞草刀の違いはよくわからないが

分かる違いでいえば刃先と手持ちの間の部分、柄というらしい部分は薩摩拵にはあったが、舞草刀にはなかった。


これは作られた時代によるものらしいがそもそも製作された時代がまったく違うのに何故どちらも武器庫にあったかは未だ謎だ、というか魔法の杖がある地点で時代の違う武器があっても不思議ではないのだが。


俺は永野の方を見てみる、ゴリゴリ甲冑だった甲冑と言ってもオルドやゲンさんの着ているような西洋風のものじゃなくて日本風の鎧。


鎧戸のように重なりあった板でできている奴って鎧戸の語源が鎧からだからなんかこの例えは間違っているように見えるがとにかく鎌倉時代とかに見る鎧だ歴史の教科書には大鎧って書かれていた気がする視界を良くするためか兜は被っていないようだ鎧の下も和装になっているようで意外と似合っている。

「あら、山本君そんなにジロジロ見てまったくいやらしい人ね。」

この言葉とほぼ同時に少し遠くから声が聞こえる


「高句麗の良弓よ我が手に!」

おそらく有栖川の声だろう少し長めの武器コードだと思った。

さて永野の発言に関してだが別にそういう訳ではないだけれども同級生のしかも女子高校生の鎧姿なんてモデル雑誌でも見ることはできない、つまり希少価値が高いのだ。

にしても俺はそんな人付き合いが下手だとか性欲求の塊だとか思われているのか?だとしたら誤解を解かなければならない。


「お前女子高校生が鎧姿だったらな、男は誰でも注目間違いなしだぜ明治村とかに修学旅行に行っても女子高校生は鎧着ないし!」

それはそうだ明治村なんだから明治の格好つまり鎧が廃れたあとだ、。

にしても城とかでも衣装体験でも女の子は鎧じゃなくて着物を着るだろう多分。

「ふぅん、つまり山本君は希少性の高い私の格好に男としていやらしい目で見ているということね。」

この言葉とほぼ同時に次は有栖川だと思われる方向とは逆の方向から声が上がった。


「テューダーローズ!」

消去法的に古賀の声だ魔法というのは多分弓や刀と比べて複雑なのだろう少し時間がかかったように感じる。

気を取り直して立て続けの永野の発言についてだが誤解は解けていなかった。

希少性が高いというのは合ってるけど男という言葉はそういうニュアンスを持たせたいわけではなかった。


「そういう意味じゃない男というのはより一般化しているだけだ、なんなら人でもいい女の子が鎧着ていたら客観的に注目されるんだよ!」

これならどうだちゃんと一般化していると公言したし男という言葉以外にも同じニュアンスとして人という言葉を使ってみた。

誤解はないと思う。

「女の子が鎧着てたらだめなの?それならあなた男なら鎧着なさいよ。」 

多分誤解は解けたけれども、こいつ別の点で責めてきたこいつこそ人付き合いが下手なんだと思う。

もしくは俺だけに態度を悪くしているとでもいうのか?俺は新手のいじめに遭っているのか?


「俺の刀は江戸時代のものなんだよだから鎧なんて着る必要ないんだ時代的に!」

「そんなの分かっているわよ、ただあなたにもう少しモラルを持ってもらいたかっただけ女の子は鎧着ちゃだめなんてモラルのかけらもないわよ。」


こいつは本当は優しいのか?モラルを同級生に持たせようと注意する奴なんて見たことないんだけどな。


ここでオルドから声がかかる。

「お二人ともそろそろ練習をしましょう!」

俺にとっては助け舟といえるだろう膠着した会話程気まずいものはない。

この会話で古賀よりも俺達は出遅れていたそれはマズイと思ったオルドが止めに入ったのだろう。

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