第七話゛俺、訓練する
説明と自己紹介が終わったあと我々一同はてんでんばらばらとなった。
敵に襲われる心配もあるがアーサー言わく
プライベートは守るべきなのだと、それで俺はレストランというものがない簡素なホテルなので、仕方なくスーパーまで行き、カップ焼きそばを買ってホテルに戻ってきていたわけだ。
お湯を入れて待っている間にアーサーにいくつか暇つぶしとして質問をしていた。
「というか、ルーラってなんで戦ってんだみんな一つづつ証を待っているなら争う必要なんてないんじゃないのか?」
アーサーは首をこちら側に回して答える。
「領域の証をいくつか集めると国家の証に進化というのかニャ?う〜んと、パワーアップするんだニャ!」
国家の証……領域と国家……俺は国家の定義を公民の授業で習ったことがある…確か国土、国民、主権からなると…つまり領域の証が進化するというのならば国家ではなく国土の証と言うべきなのではないだろうか?
「国家?国土の間違いじゃないのかアーサー?」
より詳しい補足説明が入る。
「領域の証ではスレイヴを召喚できるのに限界があるんだニャ一つあたり100個と言ったところだニャ国家の証ならスレイヴ同士で勝手に増殖できるようになるニャ。つまり国民となるニャ、主権はそもそも領域の証の時からルーラにあるし、まさしく国家となるんだニャ要はだニャ領域の証に足りないのは国民なんだニャ。」
「国土はどうなんだよ!」
俺は怒鳴ってしまった。
「そこは色々面倒くさいニャから、また説明することもなきにしも有らずニャ。」
まぁどうでもいいか。
人間というのは不思議だ法というものを好み自分たちで作るにも関わらず自由意志を尊重したほうが良いという主張もしてくる。
その中で文化というものは特に不思議なものである強制されるわけでもないのに自らその理に従おうと努力しようとするようになるそれが文化。
そして文化の一つとしていいのか分からないのだが国民という括りがある括りが大きいだけに様々な属性を持つ人間集団であるがその国民というものにスレイヴがなるというのだ。
スレイヴが国民となった暁に俺達サーヴァントはどうなる?どういう扱いだ?
全ての戦いが終わったその時ルーラやスレイヴによる不要になったサーヴァントへのジェノサイドが起こるとでもいうのか?
そうであるならば俺達がやるべきは証集めなどではなく君主を見限り力を結集し君主を抹殺するべきなのだとおもうのだがアーサーとその前に外交的手段というか決まっていない仮定条件に対して疑問を投げつける。
「なぁアーサー?スレイヴが国民になるというのは分かったんだけど領域の証が国家の証になった時サーヴァントはどうなるんだ?死ぬのか殺されるのか?!」
猫は少しあとずさりしていたそれほど俺は強く問いかけたそりゃあ生死、将来に関わる問題だ。
これからの俺にとっても俺達にとっても重大…君主が家臣を見殺しにしないよな?そう願う。
「まぁそんなに心配しなくていいニャ、サーヴァントはいわば助っ人、仲間少なくともうぬはそう思ってるニャよ。」
安心させるためかかなりふわっとした回答だった。
しかし生殺与奪をかけている話もっとくっきりそれこそ法律や物理法則くらいに固定された答えを言うべきだぞアーサー!!
「アーサーそんなことじゃないどうなるんだよ短刀直入に行ってくれ!その抽象的な表現が逆に怖いんだよ!」
アーサーはまたあとずさりをした。
「もう青いもんはすぐ熱くなるんニャから…短刀直入に言うにゃ死なないニャ!というか国家の証でもまだ終わらないニャ、通過点だニャだからそのまま戦うことになるニャ「」
こいつが始めておじさんぽい事言ったというかおじいさん?頑固ジジイ!青いもんだなんて今どきこの令和8年の時代において言う人はいない。
十年前のアニメでやっとでてくるくらいだこいつ以外と年寄りもしくは40代くらいだけどアニオタ?
まぁ日本アニメは世界中で人気だと言うので変ではないのだが、とにかく俺はアーサーのその一言に衝撃を受けた。
アーサーは通過点だと言った、ならその先にあるのは?世界大戦……
「アーサー通過点というのはどういうことなんだ?」
アーサーはカップ焼きそばを見つめて言った。
「山本、カップ焼きそばができてるみたいだニャ一度食べてうぬの話を聞くニャ。」
俺はアーサーの驚きの連続といえる回答で熱くなっていたみたいだ。
俺はカップ焼きそばのお湯をシンクに捨ててソースとマヨネーズをかけて割り箸でよく混ぜた。
「続きだがニャ、かつて国家の証を手に入れたことのあるルーラは6人いるんだニャ、だけど国家の証を全て手に入れたことのあるルーラはまだいないニャつまりはだニャ最終的にどうなるなんかは分からないんだニャ。」
俺はサーヴァント辞めようかと思った住処は失ったが学校がホテルを手配してくれたことだし問題などない。
「俺、サーヴァント辞めようかな学校がホテルを手配してくれたことだし。」
アーサーは営業職のようにサーヴァントであることの利点を並べだした。
「サーヴァントでいれば普段できない非日常体験できるニャよ!道端で人を斬ったら捕まるニャけどサーヴァント同士の戦いなら合法だニャ、それにうぬ魔力で食べ物、飲み物、だいたいの物は再現できるニャもちろん食べれるニャ。」
「食べ物出せるなら早く言えよ!」
俺はまた熱くなる、飯出せるならステーキでも寿司でも出してもらいたかった。
「悪かったニャ、でも辞めてほしくないニャ!」
「だいたいお前が家壊したからこうなってんだろ!」
「もぅ仕方ないニャ、君主命令だにゃやめることは許さないニャ!」
労働法違反だしガッツリパワハラである。
しかしサーヴァントに対しては法の力が効力を失うのだルーラにもその理通りだった、仕方なく辞めることは諦めることにした。
「わかったよアーサーどこまでもついて行ってやる。」
アーサーはほっと一息をつく。
「よかったニャ、これ以上逆らったら他のサーヴァントでと一緒に捕らえて拷問するしかなかったニャ。」
こいつもおっかねー!いろいろコンプライアンス的に具体例は挙げられないが、この猫なにするつもりだっんだ!?
まぁ永野が拷問するのなら少し許すこともできるのか?別にそういう癖があるわけではないしかし猫に弄ばれるのは嫌だというだけだ。
「わかったならサーヴァントとして振る舞うニャもうそろそろ初心者設定解除するニャよ。」
えー!こいつ俺達がなにかするたび拷問するつもり!?なに責め!?初心者設定ってなに!?聞いてないだけど。
アーサーは一息着いたけど俺はより一息つけない状態へと追い込まれたのであった。
俺は焼きそばを食べきりゴミ箱に焼きそばのカップを捨てる、すると猫はあることを勧めて来た。
「山本、訓練するニャこの前のは完全に新兵だったニャだから勝てたニャ。」
俺は拷問されたくないので素直に命令に従う。
「わかったよ、猫は愛らしい!」
こうして俺は訓練をすることになった。