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第56話゛散兵戦術。

 俺が考案したのは散兵戦術である、敵は多勢で攻めてくるだろう。古来から小国の軍隊が大国の軍隊に勝つ方法はいくつか考えられてきた。その多くに当てはまるのが敵部隊の各個撃破である。

 

 世界各国で平原のような広い土地では大規模な軍隊展開を展開できよう、だだっ広く、真っ平で、障害物のないところでは勝敗は兵士の数で決まると言える。

 小さな軍隊が平野で勝つ方法は敵に囲まれないように、小さく部隊を分け、互いに囮となれ。小さく小さく極小に部隊を分けることで、敵は密集して殲滅することが出来なくなる。一対一の一騎打ち戦法を双方が行使しなければならないのだ。


 歴史的には英仏百年戦争でフランス軍が多用しイギリス軍を錯乱、撃破こそしないもののイギリス軍の作戦の遅延や不安感を煽り、フランス軍を勝利へと導いた。

 時代が進んでもナチスドイツ占領下で不満を持つ民衆がパルチザンとして奮戦し、ドイツの軍事研究の妨げとなった。


 つまりだ、小さな軍が沢山そこらじゅうにいることはとてもウザイことで大軍対策の常套句という訳である。


「それが最善の策かニャ〜?」

 アーサーはあくびをかいて身体を伸ばす。

「最善の策ではないかも知れない、だけど最速の決断が必要だと俺は思う。」

 もう現実時間で8時を回っている、策を講じるなら手早く行いその策が一番効力を発揮する状態を構築しなければならない。

「そうだな、敵が先に策を打ってくる可能性もある俊敏に動き相手の計画を乱さないといけないしな。」

 米内が提案した策に敵の計画破壊と進軍の遅延、それと敵情視察がある。中規模部隊で断続的に要所を攻撃、交通機関の麻痺、小規模部隊の撃破、敵陣への先行偵察などが含まれる。

 

 俺の案と似ているが、違う点は2つ。第一に部隊規模だ、俺の考えた策では一部隊2人と最小規模なのに対し、米内の策では4から5人と比較的大規模化している。

 第二に目標としているものが違う。米内の策では小規模部隊の撃破という項目があるがそれはオマケみたいなもので、負傷させるだけでも結構だとのことだ。それに対し俺の策は敵の各個撃破のみを目標にしており、敵の首をもぎ取ることを義務化している。


「よし、米内の策と山本の策をミックスしよう。敵が攻め込んできた時に゛否゛敵が攻めてくる前でもいい、むしろ米内の策は早めに講じた方が効果的だろう。ある程度敵に損傷を負わせ偵察が済んだら離脱し各部隊二手に別れ事前に用意した部屋に退却、攻め込んで来たのと同時に各所で戦闘、撃破というのがいいんじゃないか?」

 納得の案だ、これなら勝てる見込みが40%くらいはある。


「ま、まって下さい!各所で戦闘って負けそうになったら、どうするんですか?!最後まで戦うとか言うんですか?」

 各所で戦う、それは各所で必ずしも勝てるという訳ではない。もしかしたら全箇所で敗北するかも知れない、一部隊づつ破壊されたら大惨事である。しかし伊藤は待っていたと言わんばかりに挙手をした。

「そういう盲点を潰す策が俺にはある、アーサー……アーサーさん……いやアーサー様そっちの方のサーヴァントである金剛さんを呼んで欲しいです。」

 米内、俺の作戦をミックスしたものに伊藤が補填を行い、やっと作戦案が出来上がった。この作戦はアーサーによって『逃げる稲妻作戦』と命名された。逃げながらも敵に感電させるかの如くバチバチ攻撃を加えるその様子から命名された。

 ドイツ語に直すとカッコよくなる可能性があるので訳しておくと『オペレチオン・エスケープライトニング』となる、カッコいいけど長いので、やはり逃げる稲妻作戦の名で呼んでいこう、略して『逃げ妻』いや夜逃げか?




 次の日、俺達はちゃんと学校に行った。単位数は普通に取りたいし、それよりもこの日はとても学校行事としてとても大事な日なのである。体験入部1日目なのだ。

「みんなで楽しくボードゲームできます!」

 終礼が終われば部活勧誘のため中1の教室の前でひしぎ合う。俺の担当場所は中1A組だ、でっかいプラカード持って全力アピールする

 

 そして中1の授業が終わった。上級生達は凶暴化し我先にと声を掛けていく、中には部活内容的な問題で異様な格好となり、化け物と呼ぶに相応しい人もいる。プラカードが見えなくなる程の人混み。我が部も負けてられない。

「ボードゲーム同好会どうですかー!部室に給湯器ありますよ!」

 変なアピールだ、予算の関係で冷暖房のない部室棟でボードゲームやると手がかじかんでしまうので去年、部費で給湯器を購入した。


 大声張り上げて呼び込んだ甲斐があり、A組からは4人が体験入部希望だ。長門高校は一学年A,B,C,D,E,F,G,の8クラスあるので、まぁ上出来だろう。


 その後部室まで誘引し、後は高校2年生の先輩方に任せた。高1がいると人数が多過ぎてしまうので、高1で部員の者は帰ってくれと言われた。また部費で新しいボードゲームを購入するつもりなので入部式には参加して欲しいなど注文が多くて頼り甲斐のある先輩達だ。


「ってなんで!永野、お前がここにいるんだよ!」

 以外だった、永野だから以外ということではない。長門高校には女生徒向けの部活がいくつか存在する。代表例は茶道部や園芸部などは女生徒人気度を三年連続で1位2位を競うのだが、この人気度を統計しているネット記事部もとい新聞部によると、ボードゲーム部はワーストの方に近いのだ。

 なお新聞部は長門高校が発足した時には存在したが人気のなさで一度は廃部になり、その後ネット記事部として再度復活したのだ。


 さて、なぜ永野は来たのだろうか?ボードゲーム部にも女生徒はいる。だけど陽気な人が多いイメージだ、永野の気性に合うのだろうか彼女は多弁だが陽気なイメージはない。

 

 もしかしたしたらアーサーに言われたから来たのかもしれない、あの猫は基本俺の近くにいることが多いからな、伊藤や米内それと俺がいるボードゲーム同好会に入ることを勧められた可能性が十分ある。

「永野ここの部のこと気になったのか?」

 さっきの発言で機嫌を悪くしているみたいで口を割ろうとしてくれない。

「あぁ別に悪いことじゃないんだ、むしろ来てくれて嬉しいよ。さっきの反応は非難するつもりじゃなくて、驚きというか。」

永野はやっとため息混じりで話してくれた。

「ちょっと気になっただけよ。」

 なんか煮えない言い方だった。だけどそれ以上は聞けなかった。

「ほら1年生は帰った帰った!また明後日よろしくな!」

少し悔しかった。


 その後も永野には会わなかった。第一作戦では第二中隊に配属され、第二中隊の編成は俺、比叡、八代、伊藤、である。

「伊藤、多分お前の武器って遠距離武器だよな。」 

 各部隊バランスのよい武器配置になっている筈だ。俺と八代が近距離武器なら比叡と伊藤は遠距離だろう。

「あぁスリングだ、手持ち投石機と言えば分かるか。」


 校門で第二中隊のメンバーで集まり、時を待つ。同じ電車に全部隊乗り込んだら作戦崩壊するからな、俺達は5時10分の豊橋行に乗るようにと命令されている。


「こちら第二中隊、検問所での荷物検査を終え駅のホームで列車を待っている、オーバー?」

 ここで始めてあのサーヴァント契約初回特典の肉球付き銀時計が役にたった。激しく動き回り被弾する可能性もあるサーヴァントがスマホなんか持っていたらすぐにスクラップにされちまう。

「オーケー、ドローンの異常はないか確認して。」

「異常なし。」

「そのまま次の列車に乗って敵地に乗り込むニャ!」

 本部は俺と八代の部屋にあり、第一中隊はオペレーターとして待機している。メンバーは炎火、アーサー、ロリ、金剛、米内の5人だ。いよいよ恨みのない敵さんとあいにくのところ開戦しそうだ。








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