第53話゛尾張連合。
入国時には各国の代表がざわめいているのが目立った。そして俺の両隣は揃いも揃って知人だ、左が伊藤で右に米内。俺達はしばらく談笑した、知らない土地で仲間と言える人物とは話が弾むものだ。
「で、どこのルーラのサーヴァントになったんだ?」
横並びなの少し話しづらさがある、左右に首を回さなければならない。
「あぁ、それなら俺はルーラそのものになったんだ。えっへん、君主様なんだぜ。」
「えっ、人間もルーラになれるんだ。伊藤はどうなんだ?」
「あぁなんか、8歳くらいの女の子が俺のルーラだ、会議に行きたくないだとか駄々をこねられて今ここにいる。」
「幼女か会議は退屈だろうな。」
話に弾みがついてきたところで、この国のルーラらしき人が壇上に上がり、しばらくすると場が静まり帰った。ヒトラーの話術と一緒で静かになって話を聞く空気が流れてから、それまでは一言も話さず、そのルーラは口を割った。
「皆さん、今!安心感を抱くことが出来ていますか?」
会議場がより静寂につつまれる、隣に座っているのは敵かも知れないのだ。すぐにでも自国へ帰りたい気分でいっぱいだろう。
「私は『安心感』!そして皆さんの身の安全を確保する『方法』!を知っています。」
あまりの静けさに周りを見渡す、会場に居たのは殆どが我が校の生徒だった。
「そっ、それはどういうことだ!」
一人が突っかかる、話者としては格のいいチャンス。
「それでは、お教え致します。連合を組むのです!近辺のルーラで力を合わせればどんなに強くて強大な勢力が迫りくる状況であっても我々にとって無力と化します!」
力強いセリフに拍手がまばらながらも起こった。だが伊藤は何かに気づいたようだ、あいつは感が利く。
「もしかして、あの信濃守の偵察隊とやらを送ってきたのはお前らか?」
確証は持っていない、だから伊藤は確認を取るかのように質問した。
「そんなことする訳ないじゃないですか、この尾張地域に来訪して暴れていると言う話を聞いて今こうして連合設立を考えているのですから。この中で勝利できた国の者は手を挙げてみて下さい、殆どが敗北または引き分けでしょう。」
手を挙げたのは100人近くいる代表の中で二人だけだった。俺と屈強そうないかにも豪傑という巨漢の二人だ。
「ほら、この通りですよ。連合を組めばそういうことはなくなる、私はそう確信している。怯えることはありません!少なくとも貴方達は生き残った、それだけで英雄じゃないですか!」
会場が歓声に包まれ、伊藤も迫力ある演説で引っ込んだ。
「さて、本題です。皆さんの机には連合加盟書がある筈です、サーヴァント契約同様皆様に多少の制約をかけることはご了承頂きたい。盟主はこの私、塩沢幸雄が務める予定です責任を持って務める所存です。あぁ塩沢は今の人間としての苗字です、母親の旧姓が勅使河原。」
相槌を打って聞く者が多かった、さっきの演説で納得しちゃっている。再び書面を確認した伊藤が異論を主張する。
「おい!武器の回収及び貸与、並んで武器開発を禁ずる、とはどういう事だ!この武器泥棒!」
塩沢は手で顎をなぞりながら余裕げに答えた。
「連合に入ることは任意です、入らなくてもいいし、入ってもいい。あぁ、あと選択肢を与えるなら同盟という方式もありますよ、双方の不可侵は確約しましょう。勿論!連合にも入らず同盟関係も築こうとしないなら敵と見なします!」
伊藤は少し考えてから、力強くも負け犬を感じさせる言い草で言い放った。
「俺は同盟関係という選択を今ここでする!」
向かいのおばさん曰く塩沢って言う人は信用しない方がいいと助言された、それに古くからの友で同じ部活仲間の伊藤が宣言したなら心は決まった。向かいのおばさんの話は聞くのが吉だ。
「俺もだ!俺も同盟関係、そしてこいつの肩を持とうと思う!」
「こいつら二人がそうするなら俺も同盟だ!」
米内と一緒に共同声明を出した。
「はぁ〜ん、そうしたいならご自由に、さぁさぁ連合に入ることをお望みの皆さん、提出期限は2時間後です。しばし、お考えを!」
現実に帰ると俺と伊藤は君主にかなり怒られた勝手に交渉破綻させたんだ、でもそれでいい。




