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第43話゛妹。

 帰れば何時もとは言わないが、だいたい中学1年生の妹がいる。

 俺が長門高校中等部に入学した折に中学受験を志そうと考えていたみたいだが、明るく人に好かれるタイプの妹は小学校での友好関係がとても良好で5年の春には地元の中学校へと進学するということを決心していた。


「お兄ちゃん!お土産は!」

 早速お土産をねだるとは、きっと本当に欲しいという訳ではなく場を和ませようと言った言葉だろう。炎火(ほのか)はよくそういうことをする。

 いかにも大火災が起きそうな名前だと昔から思っている。しかし残念だったな我が妹よ粗品ながらお土産は持っている、喜ぶのかは不明だが。

「もちろんだ!ほら!」

 俺はバックの中から大きな包を出した、だがそれは土産用の包とは言い難いものだった。

「え〜これが土産〜?」

 その包には『お得用羊羹』の文字が印字されている、イオンで売れ余り半額になっていた上に5%オフの日に買ったもので税込308円で6個入りという安物の羊羹だ。

 さらにこの羊羹は賞味期限切れで仕方なく食べようと思って鞄に入れたが、その存在は帰宅中に気づいた代物だ。つまり在庫処分、大丈夫だ消費期限は切れていない。

 「もう、せがんといて貰わないのはバツが悪いから貰ってあげるけど次はちゃんとしたものをお土産にしてほしいなぁ。」

そこに母が入ってきた。

「あら、はるちゃん羊羹買ってきたの?お茶淹れるから、ちょっと待っててね〜。」

今いるのは身内だけだ、我慢しろ俺、我慢我慢。

「はるちゃん〜待ってましょうね〜。」

 気づけば俺は大人気もなく中学生の女の子を追い回していた。妹はセーフティーゾーン『じ・ぶ・ん・の・へ・や』に逃げ込み襲い来る獣から身を守った。

 すぐにでも初号機のように暴走しATフィールドを破るかの如く、妹の部屋のドアを破壊したい気分だったが俺は良識のある兄として年頃の女子の部屋に違法侵入はしたくない。

「やーい、やーい兄としての誇りなんか捨てて入ってこーい!」

 入って来いと言われちゃ仕方ない。兄としての誇りなど今ここで捨てる!

 しかし一応ノックぐらいはしてドアノブを引いた、もう俺を止めることは不可能だぞ我が妹よ!

「良いではねがぁー、良いではねがぁー。」

 お代官様風に行こうかと考えていたが、それはセリフですら半ばナマハゲと化していた。

「ぎゃあーナマハゲー!」

案の定、人ならざる者へと変貌を遂げていた。俺はナマハゲのお代官様という昔話にありそうな人物になっている。

 そしてナマハゲの必殺技ほっぺすりすりを攻撃表示で発動!

「ほ〜れ!すりすりすりすりすりすりすり」

「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」

 どうだナマハゲの鬼いちゃんに電気タイプの技をされる気分を。俺は本当に大人気ない。


 獣の化物の襲撃は母がお茶を淹れてから終着した我が家で使っているのは故郷納税で送られてくる知覧茶である。

「意外とこの羊羹美味しいのね。」

 お得用、消費期限切れ、在庫処分という割に甘みが絶妙でお茶と合い、いい買い物をしたと感じた。妹もご機嫌の様子だ。

「お兄ちゃん!学園特区って空飛ぶタクシーがあるんでしょ!あたし行ったら乗ってみた〜い!」

 学園特区には研究機関が幾つもある、その傍ら実験都市という側面を持ち、様々な実験が試みられている。その中でも注目されているのが空飛ぶタクシーでテレビ特集で取り上げられてから日本国民の憧れの対象になっていた。

「でもな、乗車料金が高いんだとても乗れたもんじゃない。」

 観光用、研究用として導入されたこともあり乗車料金は初乗り運賃で4800円と高額で俺は一度も乗ったことがない。

「え〜、じゃあ壁が登れるやつ!」

 それも注目の一品だ強い磁力で壁に張り付き体の動きを認知して自動で電気の強さを変えて登れるという代物、なお先月まで売られていたが防犯上の理由で販売禁止になっている。

「済まない!それは販売禁止だ!」

妹は足をばたつかせる。

「学園特区なにもできない〜。」

 今年は学園特区創立から五年目で6月から初の一般公開の学園祭りが始まる。妹も期待を寄せていたのだ。

「また来るときに実際に見て回ればいいよ。」

炎火はいじらしく家に画鋲で貼られている学園祭りのポスターを見て自室へと帰って行った。

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