第41話゛岐阜駅と中部国際空港。
フードコートで飯を平らげた俺たちは親たちに各自回収されていった。
愛知県ではメジャーというか世界的な企業であるワールドオブトヨタのアクアが我が家の自家用車である。
俺は助手席に座る。
母は車にキーを差しエンジンをかけた。
「それにしてもたいへんだったわね、すぐ迎えに行きたかったんだけどね〜。
学園特区っていつも入るのが大変なのよ、
まるで外国にでも行くみたいに荷物検査されたし国内なのに大仰すぎるわよね。」
言い終わると車を出し、地上に降りた。
長年在校していた長門高校中等部が車窓から見えた。
学園特区の出口ゲートまで行くと毎度お馴染み出区検査を受けることとなった。
主に荷物検査で研究データの紙資料やデータ資料、あと火薬物なども許可がないと持ち込み、持ち出しができない。
「はい、こちらに止めて下さいね。」
ここにいるのは名古屋市の公務員なのでこの検査を断ると公務執行妨害になってしまう。
車内やトランクの中身、俺と母さんのスマホのデータ内まで調べられた、慣れているから何も怖くはない。
そして制服を着ている俺とその母親だと見ればわかる風貌だったのもあり、検査はすぐに終わった。
名古屋高速に車はタイヤを踏み入れ爽快に走る、名古屋駅のスパイラルタワーが見えた。
この辺は大きなビルも多い。
その次に清須城が見えた。
低層住宅が目立つようになる。
木曽川を渡る。
そしてやっと見えてきた金華山にそびえ立つという大きさでもないがくっきりと見えてきた岐阜市のシンボル岐阜城が。
市内に入りしばらくすると岐阜市のもう一つのシンボルがあるところまで来た。
「岐阜駅」である。
今日も金色に輝く信長像が輝く、晴天の夕焼けに照らされながら光る信長公のハゲ頭。
もう少しで家だ。
俺の家は岐阜駅から程近いところにある。
梅林公園のすぐ近くだ、そこに今は珍しい 木造の日本家屋がある。家の裏側に車を入れる。
正面に回り引戸をガラガラと右から左に引いた。
「この橋、海の上を通っているのね。管理……大変そう。」
永野が乗る車は愛知県民からセントレアと親しまれているらしい中部国際空港へとタイヤを回していた。
「お母さん私が乗る飛行機は全日空だったかしら?」
永野の母、永野珠代は右手でハンドルを握りながら左手で航空券を永野に手渡した。
「ありがとうお母さん、お母さんはすぐにまた海外に行ってしまうのね。次はどこなの?」
親子似ていて珠代は素っ気なく答える。
「シンガポール。」
珠代の運転する車はレンタカーだった。レンタカーを返し二人は送迎バスで中部国際空港の正面玄関までたどり着いた。
「手続き、自分でできるわね?」
永野は自信げに言った。
「大丈夫よ、私もう高校生なんだから。」
珠代は再び頷き、紙袋を前に突き出した。
「それじゃあ、じっちゃんとばっちゃんの家着いたら電話をすること!あとこれカナダ土産じっちゃんばっちゃん分もあるから全部食べちゃわないように!」
永野は受け取ると国内線の方へ手続きをしに行った。
国内線と国際線のターミナルは違うため、
永野はゲートで珠代と会うことはなかった。
「えっと、全日空475便は8番っと。」
「あいたっ!」
永野は航空券を見ていたので前方不注意で、誰かにぶつかってしまった。
「あぁすいません、ってあなた古賀さんじゃない?」
「そうなのですよ。」
永野と古賀は椅子に腰掛け談笑をした。
「奇遇ね、光栄だわ。」
「光栄だなんてちょっと気恥ずかしいのですよ。」
「7番が佐賀空港行でよかったわ、こうして古賀さんに会えたのですもの。
ところでお母さんは居ないのね、私のお母さんはそのまま海外へって今飛んでった奴ね。」
シンガポール航空のマークをつけた飛行機が離陸するのをちらっと横目に見て永野は言った。
「いえいえお母さんは今お花を摘みに行ってるだけなのですよ。」
永野には残念なことにすぐ呼ばれてしまった。
「全日空474便今からエコノミーの搭乗を始めま〜す!」
永野は残念そうな顔をして立ち上がり、去り際に言葉をかけた。
「楽しい時間はすぐ過ぎるものね、それじゃまた会いましょう古賀……奈々ちゃん。」
永野は搭乗したあとも少しドギマギしていた。




