第40話゛フードコート
「あら山本君じゃない奇遇だわね、大変不快だわ。」
学校の同級生に会ったと同時に不快だと言われた、ちょっと前までの俺なら心が大変痛んだことだろう。
しかし、永野のそういう態度にも、だんだん慣れてきた。あれは個性だ、そういうキャラなんだ、きっと。そっちの方がいい、生半可なツンデレキャラの方が接し方がわからん。
「さっき別れたばかりだから感動的再開という訳でもないしな。」
30分前に会った相手だトイレに大便しに行ってから帰ってきたら、だいたい同じ時間別れたことになる。
そんな一瞬の間だ。
しかし我々の母達は初対面だった。
「はるちゃん?お友達?」
非常に羞恥心がある呼ばれ方だ、その呼び方家の中だけで済ましてほしい。
ただ今日が学校の生徒引き渡し日で、永野の母も永野と同伴だったのが……まだ救いというものだった。
だがその条件がまた違う災害をもたらした、それが「お・や・の・た・ち・ば・な・し」だ。
いかにも爆発しそうな響きだが、実際これが起こっている時の子供の脳内は爆発している。
「あら始めまして〜、え〜とお名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ〜望がいつもお世話になっています。私その母、永野珠代と申します。」
「いえいえ、こちらこそ陽希がお世話になっているんじゃないかと〜、あぁすいませんね。お名前尋ねておいて私、陽希の母山本典子です〜、これからもよろしくお願いいたします〜。」
うざったくて仕方ない、これこそ平和な地獄絵図だ!俺も永野も目を背けて耳と心を閉ざした。
マザー達による長き立ち話はたわいもない話であるにも関わらず、その後20分以上かかった。
スマホをいじればすぐ終わる時間だが親が目の前で話している中触れる気になれず、より長く時間を感じてしまった。
「それじゃあ、また機会がありましたらね〜!」
こうしてやっと解放されたのだ。
「はるちゃん?なんか食べたいものある?」
現在時刻は11時43分、買い物を終え食料品袋とユニクロ(もうすぐ衣替えだから夏服を買った)の袋を持たされている俺に食事のリクエスト権が与えられた。
「あーん、焼肉丼かな。」
「それじゃあ、フードコートにしようか。」
フードコートに移動した俺と母さんは席取りに苦労した、平日だから空いていると思ったが、まさか「関取」のお相撲さん率いる団体がいたということや。
長門高校の生徒とその親が多くいたので席が埋め尽くされていたのだ。
なんとか席を取ることのできた我が家族は
荷物を置いて、それぞれのご要望の店舗へと足を運んだ。
「あらまたまた奇遇ね山本君、反吐がでるわね。」
なんでこんなに縁があるんだよ、と永野に再開してしまう。
「俺たち本当、縁があるよな。」
「気に入らないわね。」
「そんなに嫌いなのか俺が!なら何故俺が視認できた段階で同じ店を選んだ!」
「仕方ないじゃない、ローストビーフ丼食べたかったんだもの、店を変えるというなら
山本君が変えるべきよ。」
ほんと強気な奴だよ。
仕方なく並んでそれぞれの注文と会計を済ました。席ではまたマザー達が立ち話ではないが、座り話
をしていた帰る気になれん。
永野と店の前で立ちながら待っていると有栖川それから古賀と遭遇したサーヴァントは
サーヴァントを呼ぶ……か。
「おぅ心の友よ久しぶりだな!」
「さっき会ったばかりだろ!」
「お二人は何を頼んだのです?」
古賀が注文について質問した。
「焼肉丼だ!」
「ローストビーフ丼よ!」
俺と永野は仕草が揃って店舗にデカデカと貼られた注文の品を指差す。
「へぇ〜うまそうだな!俺は長崎ちゃんぽんにしたぜ!」
「私は皿うどんなのです〜!」
二人は揃ってリンガーハットの方向に指を差した。
その頃我ら四人の母親は同じ席に固まり、話も最高潮に達していたため、俺たちは帰らず四人で食事をした。




