第四話゛俺、登校する
戦いは人を興奮させる故に人は古代ローマの時代から戦いというものを道楽としてきた。
そしてそれは人を素体とするサーヴァントも同じ性質を持っているみたいだ、どれだけ身体の構造が変わろうと元の人間という性格は変わらない。
それは俺が登校するためにファンタジー世界丸出しの国というか城から飛び出し最寄り駅へと走る道中だった。
俺とは違う君主に仕えることになった元隣人と戦うことになったのは…
「遅かったニャ!」
「仕方ないだろ初回なんだからプロローグとして説明が多かったんだよ。」
「知ってるニャ、お前は実質8時間も寝てたのニャ。」
「なんで知ってる!?その場にいなかったじゃないか!?」
「入国しなくても中の人とは話せるニャ、オルドが報告してくれたニャ。」
余計なことまで報告しなくていいと思った、しかし俺には学校という義務(法律上権利だが親に払って貰った学費を考えると義務のように思える)がある。
「あ、ヤベ急がなくちゃ、」
「聞いてないニャ!?急ぐのはいいニャけど証を持ってくニャ、それとサーヴァントとしての態度をとるニャ。」
俺は証こと金印を拾い上げポケットに入れた。学生カバンは学校に置き勉をしてるので持っていなかった、そして走り出す振り向きざまに問いかける。
「話は別になるが、猫王の名前はなんて言うんだ?」
「さっきよりはマシになったかニャ、でうぬの名前ニャ?フルネームでは赤穂讃岐守義時、サーヴァントからはアーサーって呼ばれていたニヤ、名前を聞いたからニヤには名を名乗るニヤ!」
「山本磯だ、てかそれたぶんルーラとしての名前だよな?」
「感のいいサーヴァントだニャ、元の名はアレクサンドル=アルチュールだニャこっちでも縮めてアーサーだニャ!」
「アーサーお前日本人じゃなかったのかよ!」
「母は日系フランス人だニャ、祖父が先代のルーラだったニャ!」
「ルーラも代替わりってあるだな、」
「健康年齢は死ぬまで続くニャ!」
走りながら喋るのも疲れてきた、その時俺とは違う武器コードを唱える声が前方から聞こえた。
「万川集海!」
「うぬは、こんなサーヴァント契約してないニヤ即ち敵ニヤ武器を持つニャ!」
もう戦うのかよと思った、
しかしながら敵は忍者のような服装に身を包み黒い小刀を持ち待ち構えている戦いは避けられそうもない。
「来たれ明治維新!」
俺は武器コードを叫ぶすると薩摩拵えの重みが左腰に伝わってきた俺は制服を着ていたが和装になっていた胸には丸に十文字……
「服装も変わるニャよ!戦闘モードに入った警告としての役目ニャ。」
サラッと説明されたが難しいことではなかった敵が名乗りを上げる。
「我が名は…蒲生伊賀守氏宗様に仕えるサーヴァント…苦無の藤林国近!死生存亡をかけて戦う!」
グダグダだったし、パスポートをチラチラ見ている明らかに慣れていない。たぶん俺と一緒の学生寮に住んでいたんだろう、と考えていたが。
慣れていないのは俺も同じパスポートを見ながらグダグダと名乗りを上げる。
「我が名は…赤穂讃岐守義時様に仕えるサーヴァント…薩摩拵えの西郷吉盛!立ち塞がる者は切り捨てる!」
パスポートには名乗りの上げ方が書かれていたざっくり表すと仕えている君主のルーラとしての名前→武器の名前→サーヴァントとしての名前→名乗り上げの締め言葉というような感じだ。
因みにあとから俺は知ることになるが名乗りの上げをしないで戦いを仕掛ける即ち奇襲は証を巡る戦において、ご法度だというもししたら世界中のルーラから戦いを仕掛けられることになるとか、
まぁ俺と敵はちゃんと名乗りを上げたので問題はない。
「てか、お前山本じゃないか?」
名乗りを上げたのに馴れ合っていいものなのかそれはさておき俺は気づく彼は隣の隣部屋に住んでいた井上だと、
「そうだ山本だ、お前は井上だな?」
「元隣人だと思うと気が引けるが俺はもう姉貴に仕えるサーヴァントになったんだ!死ね山本!」
他のルーラも呼び方を統制してるのだと思うとなかなかルーラも面白い奴らなのだと感じた、と感嘆してる場合じゃない!
苦無は俺目掛けて飛んで来ているのだ。慌てた俺は脚に力を入れてジャンプする!
思いのほか飛んだ。
2メートルは飛んだ、人間なら考えられないがもう人間ではないので納得がいった、着地する井上いや、藤林は驚きつつも2本目3本目と立て続けに苦無を投げる。
「当たれ!死ね!」
がむしゃらになってゆく弾道、実質奇襲のさっきの苦無と違い避けることは容易になっていた、もはや当たる気もせず恐怖感の欠片もない、とまでいうと嘘も混じるが。
藤林まであと5メートル避けつつも素早く近づく
そして薩摩拵えの射程に入ると刀身を振り上げる。
「うぉ〜!」
藤林はビビって急いで苦無を顔面の前に構える。
「ひい〜」
先に攻撃を仕掛けてきたのに情けない声を出していた、
そこに俺の刃が落ちる苦無は藤林の手から
キーンと金属のぶつかり合う音とともにすり抜け天に舞い上がった。
そして刃はそのまま顔面へと落ち、藤林は真っ二つになるところを俺が未熟なばかりに不細工に切り分けてしまった。
血しぶきは上がらなかった死亡判定となった藤林は血を出す間もなく消えていったのだった。
「ハァ、ハァ」
「よくやったニャ、だけど振りが大きすぎるニャ敵がもっと強かったら切り裂かれていたニャ」
「それでも勝ったは勝っただろう?ハァ疲れた来たれ明治維新、」
俺は武器コードを言って武器をしまう。
「まぁいいかニャ、うぬ…もう眠いにゃ猫は愛らしい…」
そういえばうちの君主様はサーヴァント不足で寝れていないことを思い出した城の中で安静にしていてほしいものだ。
少し早くでといてよかった幸い学校には遅れず到着した。
もちろん学生寮が消えたことは大事件として緊急に朝令の時間に学園講堂に集まることになるのだが……その原因を知っている俺にとっては退屈な話になるだろう。
きっと、