表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/62

第三話゛俺、武器を持つ

猫は確かに愛でることの出来る可愛らしい生物のひとつだと思う、

しかし愛らしいという表現はどこか間違ってる様に感じる。

そんな言葉を俺は高らかに選手宣誓をするかのごとく叫んだ全ては家を失った余波としてこの結果を招いたどこぞのファンタジーキャットによって、

そういえば……あの猫の名前を俺はまだ知らない、故に名前というか呼称が俺の中ではまだ猫としか認識できていないと脳内で語りつつもファンタジーキャットとたまには言い換えてみる俺であった。

そんなことを考えながら目の前に広がる壮大な国家の光景を思い浮かべるが予想に相反した場所に送られた単純に言えば6畳程の個室、石造り、小さな窓と花瓶、シングルベッド………………



そこにドアを叩く音が耳に入る。

「この国の近衛隊長オルドであります。サーヴァント様、ご入室よろしいでしょうか?」


俺は一度も会ったことのない人間?に声を掛けられた正直眠かったが対面すらしてない相手に「様」をつけて話しかけてきた彼の態度に免じて話くらい聞いてやろうかとどこかあの猫に似てしまった心ゆきで返答をする。


「入っていいぞ……」

ドアのギィという音とともに現れたのは全身に板金鎧を身にまとったまるで中世の騎士のような出で立ちをしたファンタジー引きずってそうなまぁ予想通りの人物だった。


「サーヴァント様、始めましてでございましょう、第二近衛隊長兼第一サーヴァント世話役オルドと申します今後宜しくお願い致します。」

「あんた人間じゃないだろたぶん、」

「はい、私共は領域の証の管理者たるルーラ様とその家臣たるサーヴァント様のお世話をするために魔法で具現化された存在スレイヴであります。」

「その魔法って誰が発動してるんだよ、」


「それはルーラ様が無意識のうちに魔力を供給してるのであります、供給してるだけなのでスレイヴは個性豊かであります。」


「到底そのようには思えないがあんたは一番スタンダードな感じがするし、それより今は眠いしばらく寝ていいか?てか明日学校あんじゃん早く寝ないと。」


「ご安心くださいサーヴァント様、こちらでの2時間は向こうでの1時間となります、

こちら側の8時間後に起こしに来るのでお休みください。それと名前をうかかがってもよろしいですか?」


なにをそこまで急いでいるかはわからなかったがとりあえず名前を教えればすぐ寝れることは確実と見たので即答した。


「山本だ、山本磯だ。」

「ありがとうございます山本様それではお安みなさいませ。」

そうして睡眠についたのは現実時刻で11時37分、平日だってのに不幸だ。



再びノックの音が響く、俺は目覚める。

「起こしに申し上げました山本様!」

ドアがひとりでに開く。

「あれ?さっきは入室するときに俺に聞いてなかった?」


「ルーラ様からのご命令です本日の現実時刻午前6時までに武器選びを済ましておいて欲しいとのご要望です。」

「あぁ、なんか戦う?とか言ってたな、」

「ついてきてください」


俺はまだこの国?城?の構造を理解して

ない、それにいくら半ば無理矢理にあの猫に仕えることになったとはいえ主君は主君、

その命令と言うならついて行くこと尽きる、それに俺も男小さい頃から武器というものには多少憧憬の念があった。

「はーん現実では夜だったのにこっちでは逆なんだな、」

「いえ、そういうわけではありません魔力と証によって再現されているこの世界には夜とか雨や曇りというものがないと聞きます。」

「聞きます?お前らはずっとここに閉じ込められてでもいるのか?」

「はいそうなんですよ、出ることができないんですスレイヴはだから外にで起こることはすべてルーラ様とサーヴァント様から聞いたことしか分からないのです。」


悲しい存在だ彼らはただのシステム上作られたコントローラーやリモコンのようなものでプレイヤーはあくまで俺のようなサーヴァントや猫ことルーラ達であると認知した。

「何故ないておられるのですか?山本様、」

「お前らスレイヴのことを思うと悲しくなってきてな、サーヴァントになって1日も経ってない俺が泣くのも変かもしれないけど、」

泣きながら石造りの螺旋階段を降る。


「別に変ではありません、これまでスレイヴの話をしたサーヴァントはみんなそう言って涙を流しますさっきまで人間だったので仕方ありません

、だけど就寝前にも言った通りスレイヴは自分たちなりの生活の中で毎日楽しく過ごしてます、私なんかさっき暇だったのでプラモデル作ってたんですよ、」


意外なことを聞いたこの世界にプラモデルがあるのか?

ありえない、なぜなら私が部屋の窓から見た感じこの世界はこの城が空に浮いているような感覚だった、

つまり国と言いながらも実際は城という表現に近いのだたぶん。


「なぁ、そのプラモデルどこから手に入れたんだよ、この世界にないだろ?」

「今からプラモデルを作られた方のところへいくのです。」

「武器を選びに行くんじゃなかったのか?」

「はい、そうですよそして今その方のおられる場所につきました。」


そこは両開きのできる鉄と木でできた扉の前だった。オルドは戸を叩いて勢いよく開けた。



「ゲンさんサーヴァント様を連れてきました!」

いかにも職人という出で立ちの50代後半と

見える男がに酒瓶を持ってバーカウターの

内側にある脚の少し長い丸椅子に座っていた。

「おぅ、さっきサーヴァントになったって言っとったもんか!」


酒で興奮しているのか大きな声だったと思っていたのだが、すぐに酒瓶に目を移して俺達には見向きもしなくなった。

「ゲンさんは酒と作ることそれと娘にしか目がないんです、だから武器については彼女が役に立ちますよ。」

「彼女?」


オルドはゲンさんの右側を指さした、

そこには華奢な金髪の少女が少し微笑んで座っていた。俺は圧倒的存在感のあるゲンさんと呼ばれていたあの男に気を取られて最初

あの小柄な彼女に気づくことができなかった。

その彼女が小さく頷いて話し始める。

「はい、もうすでに準備はできてます、そちらに腰掛けてお待ち下さい。」


俺は椅子に腰掛ける、するとゲンさんの力強い手で俺の腕は握られた。

「ほぅ、生粋の日本人じゃな年齢は16歳この年頃の男子として一般的な体つきをしているが、ちと力が足りんか頭は悪く無さそうじゃな。」

俺はどうやらこの一瞬で体力、知力、性格、血筋などの諸々の審査を受けたみたいだ。

「エル!あの武器がよかろう、ヒノキの杖を持ってきてくれ」

「はい!わかりましたお父様。」


この世界に血縁というものは存在するのだろうか確かにエルと呼ばれた彼女はお父様とゲンさんを呼んだ。

「ゲンさん!新しいプラモ入りました?」

「まだじゃわいちとまっとれこの第二の!」

だいたいここに来てわかっていたけどプラモを作っていたのはゲンさんであることが確定した。


「だいたいルーラ様がサーヴァントを失ったからこの国を守る為にもう永らく入国なさってないから遅れとるんじゃ!」

独り言のような文句だった再び酒に浸る

ゲンさんに見切りをつけたようでオルドは

俺に小声でひっそりと話しかけてきた。


「ゲンさんはあぁ見えても第一近衛隊長即ちルーラ様の世話役を兼任されてるということなんだ、少し寂しいんだと思うよ。」

「なかなか大変な人なんだなゲンさんって武器の管理もしてるみたいだし。」

「まぁ、あの人はルーラ様から最高のスレイヴと評されるお方だからね。」

そんな雑談を楽しんでいるとエルが武器一式を持って来た杖だけじゃないってのはまるわかりだ。


「おぅ!マントと魔導書まで持ってきてくれたか、さすがは我が娘。」

「当然ですわお父様!杖は魔導書がないと意味ないですもの。」

確かにロールプレイングゲームでも杖と魔導書を用いて魔法を使うことが多い。


「持ってみな!」

俺はマントを着て杖を持った。オルドが魔導書の火の章、炎弾を開いてくれた。

「この武器庫には試し撃ちできるように的を置いていますあそこに炎弾を撃ってみでください、」

書いてある呪文を唱える。

「炎よ弾となりて飛べナパーム!」

勢いよく炎弾が飛び出す、しかし的を大きく外し壁に当たった。


「駄目だな、こいつは頭は悪くないが性格が雑だ、エルよあれを持ってきてくれ虎のメリケンサック」

「はいわかりました!サーヴァント様使った武器は卓上に置いといてください!」


俺はマントを脱ぎ杖とともに卓上に置いた、「まぁ武器が合わないなんてことはよくあることさちと待ってな、」

貫禄のあるいいぶりだった、

しばらくするとギャング映画にでてきそうないかついメリケンサックがエルの手の上にあった。

「こちらが虎のメリケンサックにございます、つけてみてください」

俺はつけてみるがなんかしっくりこない感じがしたどこぞチンピラみたいで気に入らなかった。というか虎のメリケンサックってなんだよ全くわからん。

「これ射程短そうだし俺少し嫌いかなこの武器。」


「ほぅ気に入らなかったか?自分の気に入らねえ武器使って戦うことはできねぇな、うん?もう一度腕握らせてくれ!」

そう言ってゲンさんは俺の腕を再度握る。

「わかったぞこやつ先祖は薩摩藩士じゃ、あれしかない!エルよ薩摩拵えを持ってきてくれ」


ゲンさんは何故か興奮気味だった酒が入っているのもあるだろうけど、オルドの説明するような人物像ではなかった一瞬は。俺は再び武器を返して待つ、次に現れたのは日本刀のようなものであった。

「こちら薩摩拵えになります、大変鋭利になってるので注意してお持ちくださいね、」

回転寿司の大変お熱くなっておりますので

ご注意下さいを思い出した。

今度はしっくり来た重みのある刀身すぐに振りたくなった。

「振ってもいいですか?」

「いいぞ周りに気をつけてな」

鞘を抜き想いのまま刀を振る気持ちよかった。

「この武器で間違えないようだな!」

「こちら砥石と着剣用のベルトにございます、それと超近接戦用の短刀です。」

いろいろと追加特典がついて来た。


「でも現実でこんなもん持ってたら捕まるだろ、」

「大丈夫ですパスポートをご覧ください

武器コードがあるはずです」

確かにあった俺の武器コードそれは…

「来たれ明治維新」か

「はい、そのようですね」

俺の武器は瞬時に消えた。


「消えてる瞬間はこの武器庫にてお預かりしてますのでご安心ください」



「山本様、現実時刻で現在6時30になります」

俺に新たに相棒ができたと思いつつも学校へ行くため国から出たのだった。













薩摩拵えの読み方は、「さつまこしらえ」です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ