第二話゛俺、公爵(サーヴァント)に封じられる
因みにこの猫は黒、白、茶色の三毛猫です。
気づけば俺はカラオケ屋にいた。
この猫のせいだ。というのもこの猫は喋ることができる。
猫と会話してるのを聞かれるのはまずい故に音を外に漏らさない様に設計されている宿泊所を考えた末に行き着いたのがカラオケというわけだ。
夜8時間パック3200円学割で、3000円ベットは無いし隣から音楽が絶え間なく響くがこの価格としては悪くない宿泊所だと思った。
「もう喋っていいぞ猫…」
「やっと喋れるニャ、」
と言って猫は軽快に地面からソファーへ、ソファーからテーブルへと飛び移った。
「まずは、謝るニャ」
意外だった、あれだけ王様だとか言って大きな態度をとっていた猫が謝ってきたのだ。
「あぁ、引っ掻いてきたのは許すよ俺も悪かったし。」
「違うニャ、そんな小さなことじゃニャイ。」
この猫は何のことを謝ってまているのだろう?
見当がつかなかった。だいたいほぼ初見だ謝られることなんてしていたら忘れるなんてことはない。
「君の住処を消したのは、うぬニャ」
なにを言ってるのかわからなかった確かに喋れる猫は普通ではないが、破壊したならともかく消滅あるいは撤去することなんてできるのだろうか?
「てか猫、本当は二人称が君なんだな。」
「話を逸らさないで欲しいニャ、よもや信じてにゃいにゃ?」
「信じれるわけないだろ!一体どうやって消滅させるなんて妙なことできるんだよ!?」
「だから、詳しく説明するニャから次はお前が黙る番ニャ!」
「いいよ黙ってやるよ!」
とにかく今は猫の説明を聞くことにした、
この珍事を理解するにはそれしか無かった。
「まずうぬが何者かということニャが、うぬあるいはうぬたちはルーラと呼ばれている、要は支配者王様ニャ!そしてうぬたちは共に領域の証を求めて争っている。」
猫がファンタジー的な話をしてるところにドアを叩く音が混ざった。
「ご注文のチャーハンとこちらレシートになります。」
猫は一瞬黙る。カラオケ屋の店員がでていくと話の鼻を折られたのが不満なようで不機嫌そうに話始めた。
「人が大事な話をしてる時に注文しないでほしいニャ、」
「そもそもお前人じゃないだろ!」
とつっこんでしまったのは間違いだった頬を思いっ切り引っ掻かれたのだ。
「黙ってやるって言ったはずニャ、」
痛がってる俺を横目に話し始める。
「ルーラはルーラになる時、領域の証を貰うニャだけど領域の証を全て失うと消えてしまうニャ、うぬは全て失いかけたニャ命乞いをしたニャ猫になって家来を全て譲るという条件で許してもらえたニャ…」
猫は少し涙目になっていた。
「ここまでで…質問あるにゃ…?」
「家来ってなんだよ?説明しきれてないぜ。」
猫はさっきよりもゆっくり喋りだした。
「家来はサーヴァントと呼ばれるニャ…ルーラに封じられて戦うニャ、奴はサーヴァントを持たないうぬを狙って戦いを仕掛けてきた
ニャ、ルーラも一応戦えるニャ負けたら消えるニャけどね、うぬは戦ったニャ。
なんとか撃退したのはよかったんニャけど、流れ弾が当たったのが君の住処だったニャ」
猫は説明してる間に心が落ち着いてきたのか涙が収まっていた。
「うぬの放った弾丸は強力で木っ端微塵に
なった君の家は空高く舞い上がって空中で燃え尽きたニャ、だから謝るニャ!もう喋っていいニャ!」
この猫どれだけ強いんだよ、てかその猫を屈服させた化物がいると思うと恐ろしくてたまらない。
「なんでそんな大惨事になってるのに近所の人は気づいていないんだろうな?」
人があまりいない時間帯であったとしても
すぐにテレビニュースになりかねない筈だと思っていた。
「ルーラとサーヴァントは戦闘モードになると人から認識してもらえなくなるニャ。
うぬたちの攻撃も同じでその結果だけが自然な形で残るニャ、だから人間にはまるで工事で撤去されたかの様に見えるんだニャ、」
都合が良すぎる設定だ、だけど確かに工事で撤去されたかの様に見えるのは事実。
「あのさぁ、そういう理屈は分かったんだけど、家を補償してくれるんだろうな?」
猫は困った顔で答える。
「方法がないわけじゃないんだけど、君にサーヴァントになってもらうしかない。」
と言って猫はおもむろに金印のようなものを出してきた。
親魏倭王とでも書いてあるんじゃないかというほど精巧に作られていた。
「これが領域の証ニャ、うぬのサーヴァントになればこれを使えばうぬの国に行ける簡単に言えばワープするニャ」
詐欺広告にでも引っかかった気分だ。
「それ以外で方法はないと?」
「うぬは金は持っていない無理ニャ!」
「てか俺以外の人はどうなってんの?まさかもうサーヴァントになったのか?」
「君のとの契約が終わったら他の人とも契約しにいくニャこうしてる間にもこのチャンスを狙って契約を迫ってるルーラがいるはずニャ、」
この猫、チャンスなんて言いやがって、だけど家を失ったんだから後が無い……か。
「だぁ!もう!仕方ないから契約してやんよ」
「話の早い人間改めサーヴァントでよかったにゃ」
「で、どうやって契約するんだよ」
猫が金印に触れると紙とインクパッドそれとボールペンが出てきた、どうやらこれが契約書らしい。
「この契約書に名前を書いて指紋の印を押すにゃ」
俺はすぐ名前を書き何が書かれているかはよくわからない条文はすっ飛ばしてインクパッドに指裏を押して印と書かれている枠に印押した。
「契約完了ニャ、これで君は王に封じられた要は公爵ニャ」
「公爵?そんなことより今すぐお前の国に行きたいのだが利用出来るか?」
「条文読んでなかったニャ?一応封じられたんだから口のきき方には気をつけるニャ、国はいつでも行くことができるニャ、」
主君は小さな本を渡してきた
「そこに入国の合言葉が書かれてるニャ、このパスポートを持ってその言葉を言えば行けるニャ、」
俺はすぐにカラオケ屋を出てその合言葉を言い放った。
「猫は愛らしい!」
月曜から平日なので第三編を出すのは遅くなるかもしれません。