第十一話゛俺、朝食を嗜む
俺は再びに襲われることになる、もっとも次は俺達であるが。
テルマエに浸かった後はホテル内の各自の部屋へと帰っていった前にも言った通りアーサーはプライバシーを守る主義らしい。
そして日が明けた。
訓練をたんまりやった後なのでとてもぐっすり眠れた寝ている間は俺のがポケットに証を入れていた。
城の中にテルマエがあってよかった俺は大のユニットバス嫌いなのだ足を伸ばせない程の湯船になんとかして浸かりトイレを見せ物のように見ることになる。
ユニットバスはとにかく嫌いだ、寮には共同の風呂部屋があり交代制だったのである程度充実した入浴環境だったが、この格安ホテルはもちろんユニットバスである。
補足説明になるが、長門高校の寮は全部で3棟あり、なくなったのはそのうちの一つA棟である、米内はうちのクラスで学籍番号が最後だったのでギリギリB棟になったので住処を失っていないまったく運の良い奴だよな。
そして日が明けた、その日は土曜日だったつまり学校は休み休日である。
この日はサーヴァント一同で朝ご飯を食べることにした。
一体感を強めるためというのもあるしアーサーが登下校に関わらず集団で動くことを心がけるように推奨されていたからというのもある。
朝食会のまとめ役は有栖川だった、俺の部屋に朝8時にノックの音が響き渡る。
「お〜い!起きているか?」
朝から元気なやつだ昨日みっちり訓練したのにまだ体力有り余ってんのかよ。
昨日聞いたことだが彼はアーチェリー部に所属しているらしい彼の武器が弓になったのは必然といえるだろう。俺は寝起きなこともあり生返事を返す。
「今起きたところだちょっと待っていてくれ、」
俺は鍵を開けて有栖川を部屋の中で待たせた。
俺はまだ歯磨きもしていないしジャージのままだった。
朝支度を終え有栖川と机を挟んだ向かい側の席に座る。
「で、何朝から押しかけてきて?」
「朝ご飯一緒に行こうぜそうだなコメダとか!」
コメダは全国的に知られていると思うが一応説明しておく喫茶店だ。
愛知県発祥の喫茶店、温かいパイにソフトクリームを乗せたデザートが名物の、因みにモーニングセットはメインのパンを二種類からおかずを3種類からパンに塗るものを3種類からそれぞれ一つ選べるというセット内容で最安460円である。
もちろん飲み物も付いてくるというか飲み物にモーニングが付いてくるのだ。
つまりドリンク代を払えば無料でモーニングが付いてくるということになる。
で有栖川は、その愛知県民の朝食の定番コメダに行こうというのだ、このホテルにはビュッフェすら付いていない。
連続カップ麺は嫌なのでコメダに行くことにした。
「いいぜ、あと2人も誘うよな?」
「あったりまえよ!」
「江戸っ子か!」
有栖川は笑顔で答えた。
俺達は10階に降り先に永野の部屋へと向かった。
俺達の後からアーサーも付いてくる。永野はノックをされるとすぐ出てきた。そして有栖川がさっき俺に提案した通り朝食会に誘ったのだが永野らしい回答が待っていた。
「私もう朝ご飯食べたんだけど他に用がないなら帰って頂戴休日は一人で過ごす主義なの。」
まったく可愛げのない奴だてか、こいつもう朝飯食ったのかよ朝かよ!
しかし有栖川は引き下がらない。
「シロノワール奢るから、ね来ない?」
自腹を切ってまで来て欲しいかこの冷徹たる辛辣女に、 因みにシロノワールこそコメダの誇る温かいパイにソフトクリームを乗せた名物である。
そこそこ高いので財布に痛手、にも関わらず有栖川は奢るというのだ。
「シロノワールにドリンクまで付けるならいいかしら。」
この女なにか有栖川の弱みでも握ってんの?ただでさえ高いシロノワールにドリンク付けたら1000円超えちゃうよ。
シロノワールでも十分じゃん!しかし交渉を仕掛けた有栖川は引くに引けずこれを了承してしまった。
「わ、わかったドリンクも付けよう!」
永野は満足げになって言った。
「心遣い感謝するわ。」
終始ムカつく野郎だぜ野郎ではないのだが、その後永野の部屋を出ようとした時有栖川が俺の耳元で囁く。
「奢り代割り勘な。」
こいつもこいつだ〜!交渉仕掛けたのに傍観者に払わせるな〜!俺はすぐさま有栖川の耳元で囁く。
「それはないだろう?」
それを聞いた有栖川は悲しげに自分の財布を取り出し眺めるのだった。
この時には俺達は完全にすれ違ったので言い返されることはなかった。
「あら、まだ古賀さんはいないのね誘いに行くわよ。」
有栖川は財布にダメージを受けた上に俺にも見放されたことでさらなるダメージを受けてうなだれている、永野は有栖川を横目にスタスタと通り過ぎて行った。
俺は有栖川の肩を持って永野に付いて行く。
最後に行き着いたのは古賀の部屋だった。古賀は永野と対照的に朝は激弱だ。
「古賀さん!起きてる?」
永野が呼んでも出てこない、次に声の大きな有栖川が声を掛ける。
「お~いいるか古賀!」
それでも出てこないので俺はドアノブを引いてみるドアの鍵は空いていた。
「きゃあ!」
永野が悲鳴を上げる、床に古賀は倒れていたのだ永野の悲鳴でやっと目覚めたのかその声がしてすぐ古賀は起き上がった。
「私は寝相が悪いのですよ。」
全員が少し安心した、その後俺と有栖川は古賀の部屋の前に放り出された。
古賀は着替えをしているのだ、 しかし朝は激弱だと感じた永野はできるだけ早く支度を済ませられる用、中で手伝っている。
それでも時間がかかったようで廊下で30分程待たされた俺たちは猫と戯れて暇潰しをしていた。
古賀と永野がやっと出てきた。
「遅くなってごめんなさいなのです。」
「大丈夫よそもそも朝いきなりコメダに行こうだとか言う有栖川君が悪いんだから。」
再び有栖川の心にダメージが、ここでアーサーから声がかかる。
「なんかお前たち朝食食べに行くみたいニャけど国の中で提供できるニャよ。」
せっかくの有栖川の提案がここで崩れ去る。
なに今日は有栖川を徹底的にサンドバッグにする日なの!?まぁ誘ってきた有栖川の責任でもあるから肩は持てんが。
こうしてサーヴァント一同は国内で朝食を頂く流れになったが、永野が待ったをかけた有栖川に約束させたシロノワールのことらしい。
国防のこともあり有栖川と永野は国を護衛しながらコメダへと向かって行った。
俺と古賀それとアーサーは国内で悠々と朝食を嗜んだ。
国内の料理も中々でフランスパンに、手のひらサイズの大きなチーズ、具材盛りだくさんのサラダ、それと大きな金属のマグカップに容れられたアメリカンコーヒー。
これがサーヴァントは血税を払っているつまり兵役に就いているので無料だという。
アーサーによると魔力から有機物を作って食べ物を構成しているとのことだ。
その頃有栖川は永野に奢るため朝食は水のみとなっていた、本当にいたたまれない。
テスト期間中のためしばらく連載停止、次の連載は12月13日を予定。