第一話゛俺、家を失う
本作は結構途中書きなのでまだ含まれてない要素や期待していた展開に未だ到達していないこと、あるいは話の流れの都合上あらすじがときおり変わることがあります。
それにいつ新しい話を出すかは気分次第なところがあります。そんな無作法で気まぐれな不束な作品ですが配信している話を一つずつ最後まで読んで頂いたら幸いです。
ゆっくりでもいいですので読者の皆さんも気分が良ければ寄っててください。
それは普通に平日すなわち木曜日こと4月5日に起きた。
いつもと変わらない筈だった、その筈だった日はこの事件というか事故によって変わったのは5時11分……そう帰宅したことで発覚した。
俺の家(もちろん俺は学生なので一軒家ではなく学生寮なのだが)は見る影もなくなっていたのだ。
他の学生も唖然としていた、そりゃあ入学というか中学校からの持ち上がりと言えどたった4日で自分の住処を失ったら、開いた口が塞がらないのも納得だ。
その分、少なくとも俺は愛着もないわけだから、とりあえず気持ちを落ち着けるために近所にあるイタリアンレストランへと走った。
俺がイタリアンレストランに入ると中学時代から仲のよかった同じ寮に住まう伊藤を見つけたので相席することにした。
注文として半熟卵のカルボナーラとセットドリンクバーを紙に書いて店員に提出した。先に口火を切ったのは伊藤だった。
「山本、お前は家を失ったが、このあとお前はどうする?」
「あまり他人事みたいに言うな!お前も家を失ったというのは変わらないだろ、逆に何故お前は平然としてられる?!」
「あんまり興奮するなよ、まぁ俺はビジネスホテルに予約を入れたから問題ないんだけど」
まったく嫌味なやつだと心底思った、しかしこいつは立て続けに、
「今、検索したけど予約埋まったって」
と言ってきたが?
丁度店員さんが料理を持ってきたので一旦話は終わった。
ドリンクバーを頼んでいたということもあり、飲み物を結構飲んでいた伊藤はトイレへと走った、
俺は目の前のカルボナーラを食べようとしたがフォークが麺を絡め取ったその時、俺は足元に違和感を覚え、気を逸らしたためフォークを落としてしまった。
「ちょっと、痛いんニャけど」
男性の声よりも少し高い声で文句を言い、訝しげな顔をした生物?がソファーの上へと登ってきた、ぱっと見猫、
「あぁ、店員さん!」
と言いたかったが仕草で何を言おうとしたのか分かったみたいで太ももを思いっ切り引っ掻かれた。
「これで、おあいこだニャ」
振り返ってよく見てみると猫らしき生物にはフォークが思いっ切り刺さって血がドバドバ吹き出ていたのだ。
「血でてる!血でてる!お前大丈夫なのか?!」
「うぬが何者か分からんようだな、うぬはただの猫ではない!人間で例えれば王様ニャ!」
なにを言ってるかよくわからなかったし、猫が喋るのも現実で起こるとは思っていなかったので、困惑と面白さ要は好奇心が込み上げてきたが、そこでお手洗いから悠々と出てきた伊藤の姿が目に写り込んだので注文用紙のうらに
「話は後で聞くから今は机の下でじっとしていて」と書いたメモを猫に渡し猫を机の下に落とした。
「おぅ、どうしたそんな渋い顔して?」
俺は太ももを負傷していた故に渋い顔をしていたのだろう、「あぁ、懐が寒くて」と、はぐらかす。
「会計分はあるんだろうな?払ってやってもいいが貸しとして」
実際には俺の財布の中身は2476円ある、伊藤は借りた金は記録する。
借りパクという訳もいかない、そもそも俺の良心が訴えかけているので現代日本の社会通念上普遍的な回答をした。
「会計分はある安心していい、それよりそろそろ店を出よう、店の人に悪い。」
「お、おぉ」
割と早口で言ったので伊藤がたじろぐ
そんなわけで店を出た俺は伊藤と別れた、猫は伊藤が見えなくなったところで道の脇から飛び出てきた。
「おい猫、机から落としたあとすぐいなくなっただろう?」
「入店できたんニャから、出ることニャんてできるに決まってるニャ」
確かに入ることができれば出ることはできるという理屈は間違ってないように見える、
まぁ空き瓶に入れた手が抜けないだとか、入国した国から出国できないとか例外は多いのだが猫が飲食店に入ったり出たりするシュチュエーションでは間違ってない様に感じる。
「それより人間!失礼ニャ、このビジュアルでも王様だと軽く説明したはずにゃ!」
「俺というか普通の人間なら猫が王とは信じられん詳しい説明をしてくれと言うまで喋らないでくれ猫が喋ると不自然だ!」
「よもや人間うぬの器を試しておるな、よかろうそうしてやる。」
まったく偉そうな猫だ、しかし一時的に黙ってくれるなら問題ないので器だとかは無視して言及しないことにした。
ご愛読ありがとうございます。
これが初投稿です、投稿速度遅いかもしれないけどできるだけ頑張ります。これからも宜しくお願いします。