第六話
「懐かしいな、姿は変わったけどお前はずっと変わらない」
「・・・そう」
「冷たく接しないでよ、フィオナ。俺は何千年もお前を待っていたんだぞ?」
人間の世界の一日は、悪霊の世界の十日ほど。
ロマーノを元の世界へ戻し今日になるまで、人間基準の時間で300年。
悪霊基準の時間では大体3000年だろう。
わたしがソフィアとして転生する前の、フィオナとソフィアの間の時間は、無意識だったから何も感じないけれど、ロマーノは、ずっと悪霊の世界で耐えていた。
そして彼は、帝国全域に貼った結界が弱くなったときに破壊してやってきたのだろう。
それもあって皇宮が火事になった。
そしてロマーノはきっと、前のように世界を消してでもわたしと結婚しようとするはず。
・・・絶対にそれだけは駄目。
「何年経ってもわたしの答えは変わらないわ。あなたの気持ちには答えられない」
「俺の事が好きなくせに?」
「・・・いいえ、違うわ。この世界に悪影響を及ぼすの。わたしは、あなたが諦めるまでずっと同じことを続けるわ。」
「ははっ、ははは・・・。」
「ソフィア!全員の避難終わったぞ!」
「そう。ザカリー、ありがとう。」
「フィオナ、こっちに来い。じゃなければ全てを消して、危害を加えてでもお前を手に入れる」
「なにがあろうとも、あなたの方へ行くつもりはないわ。・・・オールクリア」
腹を括ったわたしは、ロマーノがやる前に世界をつくり変える魔法を放った。
「ソフィア、一体何を・・・?」
「ごめんね、ザカリー。またいつか、何らかの形で会おうね」
「ソフィ・・・」
かつてのように全てが無くなり、世界が虚空に包まれる。
「ロマーノ、これがわたしの意思よ。諦めて」
「嫌だ。3000年も待ったんだそ・・・少しぐらい俺の方を見てくれよ・・・」
「本当にごめん、わたしがいけないよね。」
「分かってるなら・・・」
本当に、心からもう二度とロマーノを苦しめたくないと思っている。
でも、何度そう思って、どうしたらいいか考えても、結末は変わらない・・・