第三話
それから数日後。
ついに夜会の日になった。
「最後に、王太子妃であり聖女の、フィオナ・シュディア様のご入場です」
・・・やっぱりね。
わたしの方が身分が高く正室なのに、王太子はわたしをエスコートせず、男爵令嬢と先に入場する。
これは、王家とわたしとシュディア公爵家への侮辱に当たる。
・・・まあ、一時間後にはもうこの世にいないと思うけど。
会場の中央へ進むと、王太子と男爵令嬢が抱き合って立っていた。
「フィオナ・シュディア!今ここに、お前との結婚を解消する!」
「何故でしょうか?」
「お前は、俺の大切なヴィリアに嫌がらせをしただろう!」
「具体的に述べて頂かないとどこを反省するべきか分かりませんわ」
このお馬鹿王太子は、正しいかの判断もつかない状況証拠だけを頼りに断罪と国外追放に踏み切っただろうと思い、少しかまをかけてみた。
「え、えっと・・・。ヴィリア、こいつに何をされたんだ?」
案の定、王太子は言葉に詰まり、男爵令嬢に助けを求めた。
「ううっ、ぐずっ・・・。フィオナさまはっ、わたしが汚いといっていましたわ・・・うう、酷いですっ・・・」
「まあ、令嬢は演技がお上手ですのね。こんな関係でなければ、演技のご指導を賜りたいぐらいです。残念でなりませんわ」
「なんて酷いことを言うんだ!極悪非道な貴様には国外追放を命じる!」
うわぁ~、この王太子、本っ当に馬鹿だ。
この程度の皮肉ならよくあるし、彼らの最強カード「男爵令嬢を階段から突き落とそうとした」(それも状況証拠に過ぎないけどそこそこ強い)を出さずに断罪しようとするだなんて!
どんだけお馬鹿なんだ!!
むしろ、こんなのに好かれてる男爵令嬢が可哀想になってきたな。
「・・・王太子殿下、貴様という代名詞は、敬っている人に使うのですよ?最後まで聖女を敬ってくださって、神様も喜んでいますわ」
「と、とにかく、目の前から消えろ!」
「・・・そっちが消えろよ、馬鹿」
「な、なんだって、フィオナ!お前今・・・」
ロマーノを出すのは、彼らの罪をしっかり暴いてから・・・つまり、もう少し後にしたかったんだけど。
「ロマーノ、出てきて」
「やっと俺の出番か、フィオナ。」
「だ、誰だこいつは・・・?」
「あら、王太子殿下、知らないのですか?悪霊ですわよ、悪霊。」
「あ、悪霊・・・?!」
「じゃあロマーノ、わたしと王太子と令嬢以外の全てを無くしてくれる?」
「分かった。・・・ダークリア」
空に突如現れた黒く丸い物体に、全てが飲み込まれていく。
その光景は、良く言うと幻想的だった。
建物から人、草木まで全て・・・