ひだまり
告白の日から、ずいぶんと時がすぎた。
あれから、レイとマリーナはたびたび施設内や、施設の敷地内を一緒に散歩したりして、恋人らしいといえば恋人らしいような、他者から見れば今までとあまり変わらない日常を送っていた。
しかし、それでも幸せだった。マリーナには笑顔が増えたし、レイの表情も和やかなことが多くなった。
そんな二人の姿を、クーゲルとフルが眺めていた。
フルはあれから精神が安定し、チルの管轄で……つまり、レイたちと同じチームで働くようになった。
管理する魔女の人数が増えたチルの胃は暫くの間荒れたが、チームとしては安定して討伐ができるようになった。
リーフィアの調子も良い。最近は掠れ声ではあるが、徐々に声が出るようになってきた。
「……幸せそうだね、あの二人」
「ええ、そうね」
しゃがんで花を眺めるレイとマリーナを見ながら、クーゲルは目を細める。
「マリーナも最初はすっごい偏ったかんじの性格だったんだけど、やっぱ根っこはいい子だからね。レイくんが徐々にこころをとかしていってくれたおかげなのかな」
穏やかな風が頬を撫でる。風はくすぐるように花を揺らした。
「あの子、最初はそんな感じだったの?」
マリーナの昔を知らないフルがそう聞くと、クーゲルは懐かしそうに微笑んだ。
「そうだよ。話は聞かないし、ひとりよがりだったし……まあ、レイくんと会うまで一人だったみたいだから、仕方ないところはあるんだろうけれど」
「今はすっかり、すてきな女の子ね」
「うん。本来はああいう性格だったんだろうね。運命ってのは相当嫌な性格をしてるみたいだ」
花に触れようとして手を引っ込め、摘むこともしないマリーナの背中は、年相応の少女のそれそのものだった。
昔だったら、花を眺めることすらせず、踏んでいただろう。
「……レイが、もう一度愛を教えてくれたのね」
フルはリーフィアの髪を優しく撫でながらそう言った。
リーフィアの表情は分からないが、きっと優しい笑みを浮かべているだろう。
「そうかもね。あの子が失ったものを、ちょっとずつ分けてくれたのがレイくんなのかもね」
マリーナとレイは立ち上がって、こちらへ振り返った。
マリーナはこちらに向かって手を振る。その笑顔は春のひざしのようだった。
「幸せそうな二人を見てるとなんか嬉しいな」
クーゲルは珍しく素直に言いながら、手を振り返した。
「奇遇ね、わたしも」
フルとリーフィアも手を振り返した。
穏やかなひざしが、レイとマリーナに注ぐ。
二人の笑顔は、陽の光に照らされて、明るく和やかに見えた。
めでたしめでたし
よかったね




