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合理化の罠

作者: 本田立直

「先生。次の患者さん呼んでいいですか?」


「あぁいいよ」


 そう答える私は濱田志朗。しがない田舎の小児科医だ。


 看護師が患者を呼ぶと直ぐにドアをノックする音が聞こえた。


「どうぞー」次の患者のカルテに目を通しながらそう答えた。


「失礼します」


「こんにちは。どうです?お子さんの喘息は?」


 この子は3週間前に酷い喘息の発作で救急搬送されてきた5歳の子供だ。幸い喘息の症状自体はすぐ良くなったものの念の為再診に来てもらったのだ。


「退院した時に処方してもらった吸入と飲み薬で咳も落ち着いてヒューヒューとかゼロゼロした音も聞こえてません」


「吸入で症状収まってるんであればよかったよかった。胸の音だけ聞かせてもらいたいのでお子さんの服をあげてください」


「分かりました」


「ごめんねーちょっともしもしするよー。はいじゃあ息吸えるかな。そーそー偉いねー。はいじゃ今度は後ろ向けるかなー。またもしもしするよ〜。はいよーく頑張りました」


「お父さんね。胸の音聞いた感じだいぶ良くなってますね。今の状態だったらどっか個人のクリニックさんに引き継いでもいいと思うんだけど…どうします?」


「家に近い方が連れていくのも楽なので…出来れば」


「そうだよね。だったら。えーっとこれか?これだ。ここがうちの小児科と提携してる病院だからこの中で家から近いとこを選んでくれればそこに紹介状書くので」


「分かりました。えーっとそしたら…西村キッズクリニックが家から1番近いと思うので…」


「キッズクリニックさんね、分かりました。あそこは確か水曜の午後呼吸器専門の先生が来て外来もしてるからもしまた咳が治まらないようであれば見てもらってください。それで最後に今日薬はどうします?私としては飲み薬だけでもいいんじゃないかなーって思うんですけど…もし不安であれば吸入も出せないことは無いですが」


「吸入も一応…」


「分かりました。では紹介状書くので少しお待ちください」


「ありがとうございました」


「はいじゃあ元気でねー」


 紹介状を書き終えて次の患者を呼ぼうとした瞬間。突然診察室内の内線電話がなった。


「はい。小児科濱田です」


「あ、先生?子供の肺炎の受入要請なんですけど」


「容態は?」


「熱が39度で酸素飽和度は89%でチアノーゼも起きてぐったりしていることです」


 酸素飽和度とは体内にどれだけ酸素が取り込められているかという値で90%を下回るとかなり危険な状態なのだ。またチアノーゼは血液中の酸素が不足してつま先や唇が青紫色になることを指すこれが現れているということは十分な酸素が体内に行き届いてないということだ。


「分かりました。では直ぐに血液検査とレントゲンの用意を」


「分かりました」


 電話を切ると私は直ぐに診察室を出て二階にある小児科外来から階段をおり1階の救急処置室に向かった。


「救急車は?」


「まだです」


 3分後救急車が到着した。


「3歳女児3日前に肺炎と診断され在宅で治療中でしたが容態悪化との事です」


「分かりました。移します!せーの!」


「酸素マスクを院内のものに切りかえて!それから採血した後レントゲンで肺の状態を確認します!」


「分かりました!」


「ごめんねーちょっとチクッとするよー」


「血液採取できた。急速検査して!」


「分かりました」


「レントゲン室いきます!撮影室何番抑えてある?」


「3番です!」


「了解!」


「ベット動きます」


 レントゲン室に入ると既にセッティングが済まされていた。


「急患の子ですね。直ぐに撮影しましょう」


「移しますせーの!」


「撮影します!」


「OKです」


 撮影した画像がすぐモニター上に現れた。それを見た瞬間私は事態が一刻を争うことを悟った。見ると女児の肺は真っ白だったのだ」


 処置室に向かうと血液検査の結果が出ていた。


「結果見せて」


「これです!」


「これは…とりあえず抗菌剤の点滴投与したら病棟に上げていいよ!説明私するから」


「分かりました」


 女児の血液検査の結果では炎症が起きた時に上昇するCRPが異常値を示す1.3白血球の数が6000と明らかに異常な値が出ていたのだ。本来ならCRPの基準値は0.3。白血球は6000と正常時範囲の上限である9700より下ではあるがかなり高い値を示している。その事実を伝えるために私は母親の元へと説明に走った。


「お母さんですね。娘さんなんですけど。結論から言うと重度の肺炎です」


「本当ですか?」


「えぇ先程肺のレントゲン検査と血液検査をしたところですね、まずこちらがレントゲンで撮影したお子さんの肺です。右に比べて左が白くなってるの分かります?」


「…えぇ」


「これ肺に炎症が起きてる証拠です。次に血液検査の値なんですけど炎症が起きた際に値が上昇するCRPと白血球の数を調べたんですけどCRPが通常0.3のところ1.3。白血球の数もかなり高めのの6000と言った値が出ました」


「これって入院は…」


「厳しいことを言うようで申し訳ないですがいま家に返したら1週間と持たないと思います」


「そうですか…」


「なのでこちらの書類に色々書いて貰っていいですか」


「分かりました」


 その後私は待たせている外来の患者たちを診察し終え病院を後にして私が所属している北部医師会の医師会館で行われる小児科の合同会議に参加した。


「お待たせしました」


「先生方も全員揃ったことですので会議を始めましょまう。まずは前回まとめることができなかった県北部地域における小児医療の一本化について何か意見のある先生は?」


「はい」


「では濱田先生」


「私はやはり反対です。合理化を図ろうとする気持ちや医師の人件費を抑えたいという気持ちはわかりますがそれより優先するのは子供の命ではないでしょうか?もし小児医療を一本化して今まで以上に搬送までに時間を要して命を落としたなんていったら目も当てられないじゃないですか。違います?」


「先生の言ってることはごもっともですけどねぇそんな理屈が罷り通るような世の中じゃないんですよ」


「じゃあなんですか!子供の命より大人のエゴの方が大事だっていうんですか!」


「いやそうは言ってないでしょ。私はただ人件費や少子化の世の中の現状を見た上で言ってるんですよ」


「わかりました。あなた方の考えには付き合ってられません。どうぞお好きになさってください。私は今の病院から動く気は一切ないですから」


「あぁそうなら出ていってくれ会議の邪魔だ」


「こんな会議出るんだったら入院中の子供達診る方がマシですよ」


 先程の会議は前述の通り県北部地域における小児医療の1本化についてだ。この話題が出るようになったきっかけはとある病院における医師の引退だ。私が務めている病院が属している北部医師会では各市町村にある総合病院の最低1箇所に2名以上の小児科医を配置し、外来と救急それぞれの担当に割振るように義務付けされている。しかし1箇所だけ総合病院の例外が存在する。そこは沼畑と稲原の2町村が合同出資で建設された沼原合同病院だ。そこには主に急患を担当する40代の医師と外来担当の70過ぎの医師が今年の春までいたが今年の春を持って後者が衰えを感じ引退。その結果2人以上の配置が義務化されている医師数が下回ることとなってしまったのだ。春からは大学病院から非常勤の医師に来てもらっているが救急担当の医師も急患の対応に加え外来の診察をせざるを得ないかなり限界に近い様子となっている。


 そんなある日最悪の知らせが飛び込んできた。


「北部地区小児医療センター(仮称)建設及び北部地域の総合病院における小児科外来の廃止について」


 それを見た瞬間私は目を疑った。こんなことが本当にあっていいのかと。しかも小児科外来を廃止にするとは…私は訴えようかと考えた。しかしこんなことをしたところでどうせ事実は変わらないのだからと思い素直に従うことにした。


 

 そして月日は流れ外来廃止一か月前。中学生の男の子が診察にやってきた。この子は小さい頃から喘息持ちでよく入退院を繰り返してた子だ。そのため今となっては顔なじみなのだ。


「ホコリとかハウスダストによる咳は治まってる?」


「薬で何とか」


「うーん…薬でねぇ。本当は薬使わずに治まるってのがベストなんだけどまぁまぁ良いでしょう。また今日も吸入と薬出しとく?」


「お願いします」


「じゃあまた1ヶ月後様子を見せに気に来て…じゃないや。多分知ってると思うけど来月からここがなくなって別のとこに変わるから」


「え?嘘!学校帰り寄りやすいからここに来てたってのもあるけど…変わるんですか?」


「そう。先生も本当は反対したけど…」


「分かりました」


「それじゃあお大事にね」


「ありがとうございました」


「はーい」


 その後も患者の反応は似たようなもので。私の中で本当にあんなことしていいのだろうかと自問自答る日々が続いた。そしてついに新病院使用が開始された。私は小児科という括りではなく小児呼吸器科という場所の所属になった。そして診察開始前に軽い自己紹介をすることになった。


「濱田です。よろしくお願いします。私は主に喘息やアレルギーといった疾患を取り扱ってきました」


「よろしくお願いします。ところで先生は廃止についてどう思ってるの?」循環器の主任がそう聞いてきた。


「私は…正直なとここれは大人のエゴにしか過ぎないと思ってす」


「そうだよね。沼畑だけの問題なのになんでわざわざうちらを巻き込むかなー合理化の鬼(北部医師会の上層部)は」


「おっしゃる通りです」


診察が始まった。


「次の方どうぞー」


「おねがいします」


「あれ?今日早いじゃん」最初の患者は移転について嘆いていた男子中学生だったのだ。


「学校終わってここに来ると間に合わないんで学校には遅れていきます」


「なるほどねぇ今日はどうする?吸入はしないでいいと思うけど薬で吸入を持って行くかどうするかってとこなんだけど…」


「今日は飲み薬だけでいいです」


「吸入は持ってかなくていいのね?」


「大丈夫です」


「うん。わかったじゃまた来月」


「はーい」


「お大事にどうぞー」


 その後私は夜間の当番で寝泊まりすることがあったがその時に想定していた最悪の自体が起きた。


「先生!急患です!」


「容態は?」


「39度の熱があり日中クリニックを受診し夏風邪と診断され薬で様子を見ていたのですが呼吸がおかしくなったことです!」


「なんだって!?とにかく受け入れて」


「分かりました!」


 1時間後救急車が到着した。どうやらこの子は問題となっていた稲原地区から運ばれてきたようだ。しかも病院到着時にはかろうじて呼吸してるそんなレベルだったのだ。


「先生!息子は息子は助かるんですか?」


「それはなんとも…とりあえずやるだけのことはやって見ます」


「お願いします!」


「とりあえず人工呼吸器で呼吸確保してそれから様々な検査しましょう」


「分かりました」


「チューブください」


「はい!」


「これは...ヘルパンギーナか…しかも心拍が弱いってことは心筋炎も併発してるのか」患者の口の中を見ると無数の水疱がありしかも心臓の動きが弱くなっている。ヘルパンギーナとは俗にいう夏風邪であり口の中に無数の水疱ができるのが特徴でありまた、この病気に有効な治療はなく対症療法しかできないのだ。しかもこの病気の厄介なところは心臓にまで菌が達する場合もあり、そうなれば最悪の場合亡くなることもあるのだ。


「小児集中治療室空いてるよね?家族には私から説明しておくから移していいよ!」


「分かりました」


「お母さん。お子さんの診断結果出ました」


「結果は?」


「ヘルパンギーナという俗に言う夏風邪です。これは基本的に治るのですがあなたのお子さんの場合は心臓にまで菌が達し、心筋炎も併発しているので最悪のケースを考えておいてください」


「治療法は?」


「残念ながら…対処療法しか…」


「そう…ですか」


 1ヶ月後ヘルパンギーナと診断された患者は想定していた最悪の事態になったのだ。


「もしもし」


「先生!先月運ばれてきたヘルパンギーナの子が!」


「心肺停止ですか?」


「そうです!早く来てください」


「分かった」


 小児集中治療室に着くと心停止を意味するアラームが鳴り響いていた。私は必死に心臓マッサージをした。


「戻ってこい!戻ってこい!お母さんが待ってるぞ!」


 その努力も虚しく心電図のモニターは心停止を表すピーという音が無情に鳴り響く。


「残念ながら…午前3:45死亡確認です」


「嘘…嘘だ!」お母さんの声がICUに虚しくこだました。


 翌日発送、その子の死を受け私はとある決心した。それはボイコットを決行し元の診療体制にできるだけ戻すということだ。もし以前の運営方法なら約半分の時間で最寄りの救急病院に対応可能であり、奈良崎総合病院に運べれば、彼はきっと助かっていたはずだ。なぜならあそこは北部地域の中でも最新鋭の心臓治療機器を備えておりまた、心疾患治療センターも備えておりそこでは24時間下での全身管理も可能なのだ。翌日から私は苦悩した。本当にこのままでいいのだろうか。そんなことを考えていると主任が話しかけてきた。


「先生。どうしたの?」


「昨日ヘルパンギーナと心筋炎を併発した子供が亡くなってしまって…奈良崎総合病院に運べれば助かったのかなって考えてて」


「それでどうしたいの?」


「…従来の診療体制に戻せればいいんですけど」


「…ならボイコットする?」


「それは…どういう意味ですか?」


「そのまんまの意味だよ」


「主任もなんか思うとこあるんですか?」


「そう。外来をしてるとねーここに来て診察してもらって帰るだけで半日潰れるっていうお母さんたちの声が聞こえてきてね」


「なるほど…」


「するにしても各診療科の協力を仰がないといけないよね」


「協力を仰がなければいけないのならば協力を要請するだけじゃないですか」


「お、やる気だねー。それじゃあ明日から行動を開始しようか」


「はい!」


 翌日から私たちは行動を開始した。まずは各診療科を回り協力者を募るところだ。話し合った結果私は小児外科や心臓血管外科などの外科系、主任が内科系を対応することになった。


 まずは小児外科だ。医局の扉をノックして「失礼します」といって医局に入ると60代くらいの医師がいた。


「呼吸器の先生がどうしてこんなところに」


「じつは...」ボイコットを計画してることとそのためには協力してくれる人が必要だということを話した。すると「そういうことならぜひ協力させてください」と二つ返事でokがもらえた。


  次に協力を仰いだのは心臓血管外科だ。医局の扉をノックすると「どうぞー」という野太い声が聞こえてきた。医局に入ると丸々と太った男性の医師がパソコンに向かって作業していた。


「失礼します。実はこういうことを計画してまして…」


「なるほどね…ここに運ばれてくる前に手遅れになりかけてる子を何人か見てるから協力したいのは山々なんだけど、転院先の病院側でも調整してもらわないと…」医師は申し訳なさそうにそういったのだ。


「それなら、奈良崎総合病院に掛け合ってみていいですか?」そんな声が聞こえ、振り返ると主任がいたのだ。


「主任、どうして?」


「私ここに来る前そこで働いてたんだよね奈良崎総合病院(そこ)で」


「そうなんですね」


「そうそう。しかもあっちの奈良崎総合病院(あっち)の心臓外科部長とは同期なんだよね」


「そうなんですね!そういうことなら是非!」


「じゃあ連絡してみるよ」主任はポケットに手を突っ込みながらそう言った。


 それから数週間後ボイコット準備はあと一息というところまで来たのだが残りの小児糖尿病科、小児腫瘍科と小児神経科への相談ができないのだ。なぜならそれらの科の主任は医師会小児科部の上層部なのだ。


 あと一息というところで壁にぶつかりどうしたらいいものかと悩んでた時に意外な人物が声をかけてきたのだ。


「濱田先生、お久しぶりです」


「河野さん!」声の主は地元新聞でコラム欄を主に担当している河野記者なのだ。彼には小児特有の小児呼吸器疾患とその予防という記事でお世話になったことがあり、医療関係者には顔が広いのだ。私は彼だったらこの状況を打破してくれると思い相談してみることにした。


「河野さん、この後お時間ありますか?」


「15分でよければ」


「十分です!コーヒー奢るのでお話したいことがあるので聞いてくれませんか!?」


「何何?面白い情報?」


「明日の1面レベルですよ」


「ほほぅ。それは気になるねぇ」


「で、話ってなんだい?」コーヒーを渡すなり記者はいきなり話し始めた。


「実はここの病院…」私はこの病院の新設に反対したこと、反対するなら会議に出るなと追い出されたことなど今まで起きたことの全てを話した」


「なるほどねぇ…こりゃいいことを聞いたよ」そういうとにやけた顔をしながら記者は去っていった。


「おはよーございます」翌日、そう言いながら循環器科の医局に入ると主任が新聞を持って私のところに駆けつけた。


「先生、見てこれ」そう言って主任がみせてくれた新聞の記事には『県北部地域に新設された小児医療センターは医師の自己満足?もみ消された反対派の意見、搬送時間増による重症化、果ては死亡例まで』と書かれていた。主任は「このこと告発したの先生でしょ?」と聞いてきた。私は隠すことなく「バレました?」と答えた。


 それからはことは思った以上に順調に進んだのだ。なんとこの記事を見た他の医師が新聞社に告発し、私以外にもパワハラにより半ば賛成派に鞍替えせざるを得なかった医師や裏金問題までもが発覚し上層部の面々はもれなく御用と相成ったのだ。


 それから数週間が経ち、上層部の問題が落ち着いてきた頃医師会に呼ばれたのだ。おそらく告発についてだろう。


 医師会会館についてエレベーターに乗り6階の会長室の前についてドアをノックすると「濱田先生ですよね?どうぞお入り下さい」という声が中から聞こえて来たので入ると「そこに座ってくれたまえ」と言われたので促されるままに座るといきなり本題に切り込んできた。


「告発したのは君かね?」そう聞かれたので私は「はい。そうです」キッパリ答えた。その後私は「…飛ばされる覚悟は出来てます。どこにでも飛ばしてもらって構いません」そういうと会長は笑ったのだ。


「ははは。逆だよ、逆、君を次期北部医師会小児科部部長に推薦したいと思ってね」


「…え?嘘ですよね」思わぬ発言に私は拍子抜けしてしまった。


「嘘じゃないよ、患者のことを最優先に考える姿勢も素晴らしいし、よく告発に踏み切ってくれた」


「そ、そんなことは無いですよ」


「いやいや君こそ最適だよ」会長はそう言ったので私は「部長になっても構いませんがひとつだけ条件を提示させてください」とだけ言った。会長は拍子抜けしたようで「…その条件とは?」


「小児科の診療体制を従来の形に戻してください。ただそれだけです」


「それは構わないが合同病院はどうするのかね?」


「救急患者の受け入れは日中のみにして、夜間の急患は個人病院に協力を仰ぎウォークインで対応し、個人病院で対応不可だと判断した場合は近隣の救急対応可能病院に搬送という形を取りたいと考えてるのがどうでしょうか?また、家族の負担減のために午後は日替わりで他病院による専門外来を開設し、出来るだけの治療を合同病院で行うというとはどうでしょうか?」


「それであれば問題は無いな」


「ありがとうございます!」


 病院に帰るなり私は主任に出来事を報告した。すると主任は「おめでとう!」 と祝ってくれた。


 それから3ヶ月後北部地区の小児医療は従来よりも充実した医療体制を整えることが出来た。


「次の患者さんどうぞー」合同病院には元気のいい子供の声がまた戻った。

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