登場人物06 聖女の代理人、愚者たちの行進
聖女の代理人、愚者たちの行進
王国にいる五人の聖女の代理人であった最後のエリカ様の話をまとめました。
最果てのエリカ
孤児院に保護されたが、実は誘拐された皇族。妖精憑きの力を隠し持ち、最果てのエリカ様に選ばれ、聖域の様子を見守りつつ、孤児院で気に入られたリスキス公爵夫妻と養子のロベルト、第一王子アインズと、様々な人たちに接して、地味に暮らしていたが、誘拐された皇族だと帝国から秘密裡に来ていた筆頭魔法使いによって発覚する。最果てのエリカは帝国に条件を突きつけ、王国には各地のエリカの解放を約束させ、帝国に戻るも、帝国の聖域全ての穢れを受けて、命を落とすこととなった。
ロベルト
元は男爵の息子。子どもがいなかったリスキス公爵が後継として養子となることとなった。その際、婚約者として最果てのエリカが養女となる話だったが、孤児からエリカ様に選ばれてしまって、養女の話はなくなった。それでも、リスキス公爵夫妻は最果てのエリカとの縁を繋ぎたくて、ロベルトを定期的に最果ての孤児院に行かせる。最果てのエリカは、寂しいと最初はすり寄るも、それなりの年齢となってから、ロベルトを酔わせ、既成事実を作らせた。それからは、ロベルトも最果てのエリカを受け入れた。
最果てのエリカが誘拐された皇族だとわかり、帝国に連れて行かれることになると、裏事情を知っているロベルトはどうにか止めようとする。しかし、帝国側もロベルトを人質にとり、最果てのエリカに帝国の聖域の慰問を強要した。結果、最果てのエリカは帝国中の聖域の穢れを受けて死にかけた。そんなエリカをロベルトは魔法を使って男爵領に連れて帰り、最果てのエリカが受けた穢れをロベルトが代わりに受け止め、どうにか生き残った。
アインズ
第一王子。側室の子。
本当は正室の子の後に生まれるはずだったが、産ん悪く、先に生まれてしまい、第一王子と呼ばれることとなった。リスキス公爵の策略か、ロベルトを側近に迎えることとなり、最果てのエリカへの慰問をすることとなった。ロベルトのことは友達として慕い、最果てのエリカのことは気まずい感じとなっていた。
側室の子ということで、色々と遠慮していたが、結局、次の国王となった。
サラ・ミラ・クララ
サラは元は伯爵令嬢。ミラとクララはサラの取り巻きである。
サラは両親の死により、叔父に家を乗っ取られ、そのまま孤児院に入れられた。そのため、どうにか貴族に戻ろうとする。リスキス公爵夫妻に取り入ろうとするが、全く相手にされなかった。叔父が失脚した時も、戻れるかと思われたが、サラの両親も不正に手を染めていたため、結局、貴族に戻ることが出来なかった。第一王子アインズにまですり寄ったが、相手にもされなかった。そうして、無様に過ごしていると、とうとう、最果てのエリカの怒りを食らうこととなり、次のエリカとして、泥にまみれることをさせられる。そういう屈辱を一通り受け入れ、諦めている所に、最果てのエリカによって、これからの孤児たちの未来のために、再び貴族に戻されることとなった。
王都のエリカ
王都は聖域が穢れやすいため、魔法の契約により、穢れを王都のエリカが肩代わりすることとなっていた。そのため、王都のエリカは短命であった。
最後に選ばれた王都のエリカは、ただ、名誉が欲しかった両親によって王都のエリカになった。真実を知った時には、遅く、王都のエリカは契約によって聖域に縛られてしまった。色々と覚悟している所に、政争で負けた王弟キリトが王都の神官長となってやってくる。キリトは女遊びはする、酒は飲む、賭け事はする、借金までする、ととんでもない最低最悪なことに、王都のエリカは毎日、怒るばかりだった。キリトの尻ぬぐいまでしていた王都のエリカだが、穢れを受け止める弊害で、成長が止まってしまう。そのため、とうとう、人前に出ることが出来なくなった所に、王都のエリカを解放されることとなった。
王弟キリトに愛されながらも、エリカは短い寿命と身分から、そのまま逃げてしまう。結局、王弟キリトの執念により捕まってしまう。
キリト
王弟。王国最強の妖精憑き。愛妾の子
才能の化け物と呼ばれるほどであるが、親の愛を一切受けず、その代わり、王妃と王太子サイラスから可愛がられた。
一度は母であり愛妾アンナと面談することがあったが、国王レオニードにあまりにも似ているキリトをアンナは殺そうとしたため、その後、キリトは母と会うことを拒んだため、二度と会うことはなかった。
帝国からの使者の中に筆頭魔法使いアランがおり、キリトが王国最強の妖精憑きであることを告げられる。しかし、見ることも、声を聞くことも、感じることもないため、キリト自身では何も出来ないが、常に王国の安寧を祈っていることから、無自覚の妖精憑きであるにも関わらず、大きな災いを起さなかった。
国王が死んで、戦争にまで出て、無事に戻ってくるも、政争を避けるため、王都の神官長となる。そこで、運命の女性である王都のエリカに出会い、表向きではダメ神官長をするが、裏では後ろ暗いことをしつつ、王都のエリカを悪くいう輩を陥れていたりした。
王都のエリカが解放されると、すぐに口説くも、結局、逃げられてしまう。それでも諦めることなく、使いこなせない妖精に祈り、王都のエリカを見つけるも、視力を失った王都のエリカは美しく成長するも、散々、騙されており、その事実を王都のエリカに知られないように秘密裡に処理した。
サイラス
キリトの兄。王太子であり国王。
正妻の息子として誕生するも、才能の上でキリトに負けてしまう。しかし、キリトの身の上は不幸な上、きちんと一歩下がった立場を理解した態度に、サイラスも兄として、次期国王として、しっかりと態度を示した。
戦争でキリトが出兵している間に、結婚し、子も作りと土台作りをしっかりとして、キリトが戻ってきた時には、立派な国王となっていた。
レオニード
国王。サイラスとキリトの父。
政治上ではきちんとした国王であるが、愛妾アンナに狂っているため、家族に関しては最低最悪とされる。
アンナ
国王の愛妾。キリトの母
元は国王の乳母の娘。幼馴染みであった。すでに相思相愛の婚約者がいたにも関わらず、国王レオニードの乱心により、愛妾とされ、離宮に閉じ込められてしまう。レオニードの死により解放される。
リカルド
騎士。アンナの元婚約者
アンナとは相思相愛の上、婚約関係となったにもかかわらず、国王レオニードの乱心により、引き裂かれることとなる。アンナがキリトを出産しても諦めることなく、どうにか取り戻そうとしている。国王レオニードの死により、アンナは解放され、その身柄をリカルドが受け入れる。しかし、アンナがどうしても我が子であるキリトに会いたい、という願いを口にしたため、それを叶えようとキリトを傷つけても連れて行こうとしたが、失敗し、そのまま、キリトとの縁が切れることとなる。
アラン
帝国の魔法使い。筆頭真帆使い。
帝国で最強の妖精憑き。王国にいるキリトの妖精憑きの力を封じるために協力するも、それも一年で崩れ、キリトの妖精の復讐により、無力化されてしまう。そのため、帝国から王国へと身柄を差し出されてしまう。アランはキリトの側近となり、戦争に出て、キリトの側で色々と手伝いつつも、後ろ暗い教育を行った。戦争が終わると、北の砦で引きこもる日々を送ることとなった。
サキト
第二王子。サイラスの子。キリトの甥。
第一王子アインズが定期的に最果てのエリカの元に慰問しているということで、対抗意識を燃やした王妃により、無理矢理、王都のエリカの慰問をさせられた。王都のエリカとは友達関係のような仲となったが、サキトの立場が忙しくなると、どんどんと疎遠となっていった。
王都のエリカが解放された後、叔父であるキリトの口添えから、王都の神官長となった。
ルガーノ
王都のエリカの父。
商人として、名声を欲したため、実の娘を王都のエリカにする。王都のエリカの裏の事情を知って、後悔することとなる。王都のエリカには、出来る限りのことをしたが、結局、王都のエリカのほうから縁を切られてしまう。
ルノー
キリトの部下。戦争経験者。
キリトとは戦争中からの知り合い。酒は飲む、賭博はする、借金はする、というダメ男だが、なんと妻がいるという事実にキリトは驚かされた。そのとんでもないダメっぷりは役に立つと、キリトが個人的に保有する暗部に取り立てられる。
中央のエリカ
訳ありで孤児院にいれられた。それなりの試験を受け、中央のエリカとなる。常に中央の図書館におり、そこから動くことなく、常に知識を取り入れているため、法の番人とも呼ばれている。
中央のエリカとなった時、出来心から、産みの親を見に行ったのだが、それを逃亡と見られ、両足を斬り落とされてしまう。それも、扱いの悪い剣での処理だったため、両足はどんどんと膿んでしまい、さらに斬り落とさなければ命も危ないというのに、過去のトラウマから、中央のエリカは両足の斬り落としを拒んだ。
中央のエリカが解放となった時、昔は孤児だったが、実は貴族のきちんとした血筋だとわかり、貴族となったカイトに結婚を申し込まれ、そのまま、誘拐するように連れ去らわれる。連れ去らわれた先では、カイトの妹アナも出迎えるも、その後、カイトは容赦なく中央のエリカの腐った両足を斬り落とした。
実は妖精憑き。自覚がないが、世界が白黒に見えるように、妖精が悪戯をしているという。
シスター クレア
中央のエリカの側にいるシスター。実は、中央のエリカの祖母。中央のエリカを守るために、シスターとなって、側についた。カイトに、中央のエリカの両足のことをどうにかしてほしい、と頼んだ。
アナ
カイトの妹。女侯爵。
孤児時代はカイトに守られて、どうにか無事に生きていた。それも、カイトが貴族の馬車の前に出て問題を起こしたことで、孤児院に入ることとなった。恩のある中央のエリカのために働く中、ユリやらバラやら、おかしな本に嵌る。
貴族になることになって、兄カイトを応援するため、アナは侯爵となって、家を支えた。常に中央のエリカ第一で、結婚も、それを理解出来る人と結婚した。
貴族になってから、社交界ではユリやらバラを広め、ある意味、教主のような存在となった。
カイト
元孤児。騎士。
孤児時代、アナの足を怪我させた馬車をどうにかするために、貴族の馬車の前に出て問題を起こした。そのことがきっかけで、孤児院に入ることとなる。中央のエリカのことを女神のごとく称えつつ、何事かあると口説いた。
貴族になることになって、仕方なくなるも、中央のエリカをあらゆるものから守るために騎士となる。孤児時代から培った手癖の悪さを王弟キリトに気に入られ、騎士から引き抜かれ、そのまま、キリトが個人的に持つ暗部に入ることとなる。キリトの無茶苦茶な後ろ暗い依頼をこなしつつ、剣の腕前を王弟キリトから学び、経験を積むため、たくさんの罪人を殺した。それもこれも、中央のエリカの腐った両足を綺麗に切断するためだった。
ヤナ
商人の娘。カイトの雇先。
図書館にいる中央のエリカにユリやらバラやらを布教しようとした女の子。すでに、カイトの妹アナには布教済み。
海のエリカ
どこからやってきたのかわからない男に売られて、海のエリカとなる。海のエリカとしての試練を受けて、きちんとこなしてしまったからだ。先代が生きている間は、それなりに普通の扱いをされたが、先代が亡くなると、虐待の限りをされる。
実は妖精の子。無意識の内に、妖精の力を使っていた。その力によって、海の豊漁が左右されたのだ。そのことを知らない住人たちは、何があっても海のエリカが悪いと虐待した。そのため、海の聖域が穢れることとなった。
海のエリカが解放されることが決まり、虐待が表沙汰になるのを恐れた住人が海のエリカを殺そうとするも、聖域と妖精に助けられ、生き延びることとなる。
海の聖域の怒りを買い、最果てのエリカの手によって、住人たちは罪人として処罰された。
海のエリカはその後、第四皇子ザクトに引き取られ、アイリスと改名される。
ザクト
第四皇子。キリトの甥。
幼いころ、人になった妖精を金で助けた見返りに、病気を治された。その時、人になった妖精は妊娠しており、妊娠した子もザクトのものとされたため、生涯をかけて、探すこととなった。
妖精の子を探すために、キリトの協力のような教育を受けることとなる。その際、後ろ暗い教育もされ、気づけば、キリトの跡継ぎと呼ばれるような立場になっていた。能力はそれほど高くはないのだが、ともかく面倒事を処理する能力が高く、そこをキリトに買われた。
夢を見て、海のエリカのことを見て、海の聖域で海のエリカに出会う。ザクトは、海のエリカこそ、妖精の子だと本能で気づいた。最果てのエリカによって、海のエリカは無事保護され、その後、海のエリカを引き取るも、妖精の子なので、様々な問題に巻き込まれることとなる。
スレイ
第四皇子の側近。キリトの乳母の孫。
見た目は男だが、実は女。暗部としての能力が高く、ザクトの護衛として側近となる。ついでにザクトを男らしく教育していった。
実は女でありながら、女が大好き。だから、ザクトと間違いを起こすことはこれっぽっちもないと言い切った。
テレサ
キリトの乳母。
シリン
男爵令嬢。
女侯爵アナの取り巻き。アナによって、バラやらユリやらの世界に引きずり込まれた。絵がとても上手で、その腕前を王弟キリトに気に入られ、よく連れまわされることとなる。それでも、アナと一緒に、芸術の神様のための絵描きを続けている。
ハインズ
元貴族。騎士。
アナの結婚相手として王弟キリトに紹介される。男も女もいける上、アナが望む中央のエリカを優先する、という条件を承諾し、そのまま結婚することとなる。
ハインズはカイトのことが好みで、顔立ちでいえば、アナもカイト寄りだから、いけると思っていた。しかし、アナはとんでもない強い女であったため、閨事が失敗してしまう。アナは仕方なく、兄カイトでさえ知っていない裏の所業を話し、やっと、ハインズはアナを受け入れられた。
山のエリカ
男爵令嬢リリィの娘。妖精憑き。本名エリィ。
元は山小屋でエリィとして暮らしていたところ、両親が死んだという村人に引き取られる。平穏に暮らしていたが、運悪く山賊に襲われ、孤児であるエリィは守る家族もおらず、そのまま連れ去らわれ、慰み者にされる。そのまま酷い扱いをされていたが、山賊が、山のエリカを殺してしまい、その事で、山賊は全滅させられる。しかし、山のエリカの死は何かと言われることを恐れた村人たちは、慰み者にされたエリィを偽物の山のエリカとした。そうして、長年、山のエリカとしながらも、やはり慰み者にされていたが、山のエリカを解放することとなって、村人たちが真実をバレるのを恐れ、エリィを殺そうとした。それを最果てのエリカが間一髪で察知して助け、悪事全てが表沙汰にされた。
エリィは全てを許し、エリィの功績から、山の領地辺りを納める貴族となり、王国から保護された。
リク
エリィの幼馴染み。エリィの両親が死ぬきっかけとなった。その罪悪感から、エリィを村でも庇護する。運悪く山賊に襲われた時、リクは母親に守られたが、エリィは孤児であったため、そのまま山賊に連れて行かれることとなった。助けることは出来ないなら、とリクは下働きになる、と山賊についていく。それから山賊の下働きをして、エリィを守ろうとするが、結局、エリィは慰み者にされてしまう。せめて、エリィには手を出さないように、とリクは自らを去勢してしまう。その後、山賊がやりすぎてしまい、全滅させられる。エリィとリクはどうにか助けられるも、エリィは山のエリカにさせられたので、また、リクは下働きとして側についた。
山のエリカが解放されると、村での悪事が全て表沙汰となり、やっと、エリィとリクは解放された。エリィはリクと一緒になることを望み、二人は結婚することとなった。
実はリク、エリィの父ダンによって、エリィへの絶対服従の呪いがかけられていた。
リリィ
男爵令嬢。妖精憑き。
親戚にリスキス公爵がいる。リスキス公爵から完璧な教育を受け、とんでもない頭が良かったため、貴族の学校では優秀な成績をおさめる。しかし、その美貌と成績に嫉妬した伯爵令嬢によって、様々な嫌がらせを受ける。それらをリリィは無視し続けるも、愛するダンのことを悪く言われ、とうとう、伯爵令嬢に手をあげてしまう。そのことがきっかけで、男爵は爵位返上にまで追い込まれてしまう。この事からリリィは家出してしまう。そんな彼女をダンは追いかけ、見つけ、二人が三人になって山小屋で暮らしていたが、村人の逆恨みで殺されてしまう。
無自覚な妖精憑きと呼ばれている。その力は化け物で、リリィの怒りで呪われた伯爵家は、リリィの死後も呪われたままとなり、王国最大の禁忌とされた。帝国最強の妖精憑きアランであっても、リリィには勝てないと断言した。なのに、村人に簡単に殺されたため、実際に妖精憑きであったのかどうか、謎に包まれている。
ダン
男爵家の使用人。妖精の子孫。
リリィがお腹にいる頃から、リリィに仕えることを決めていた。ところが、生まれたリリィはダンに懐き、物事がわかるとダンと結婚すると言い続け、それは、貴族の学校に通うようになっても続いた。
貴族の学校を卒業してから、ダンはリリィと結婚することとなっていたが、伯爵令嬢がダンを悪く言ったことに怒ったリリィが暴力をふるったことで、男爵家が爵位返上となり、それどころではなくなった。その事に責任を感じたリリィは一人家出してしまうも、ダンはリリィを見つけ、そのまま二人で山小屋で暮らすこととなった。二人が三人となって、穏やかに暮らしていたが、村人の逆恨みでリリィが殺されてしまう。リリィを助けようとするも、ダンも打ちどころが悪く、結局殺されてしまった。
殺される際、ダンは元凶であるリクに、残される娘エリィに絶対服従の呪いをかけた。
アルセン
子爵。男爵の同級生。騎士
息子サウスがリリィに無体なことをしたため、土下座して謝罪し、サウスを廃嫡する。
サウス
子爵家子息。リリィの同級生。
伯爵令嬢にリリィに無体なことをしたため、左腕が呪われてしまう。そこから、不誠実なことをしたと父アルセンから責められ、そのまま廃嫡されることとなる。
廃嫡となり、右も左もわからないまま放り出されそうになるも、リリィが助けたことで、男爵で世話をすることとなった。男爵家から一通りの教育を受け、腕っぷしも鍛え、リリィの勧めで騎士になるため、王都に送り出された。