登場人物05 影皇帝の皇族姫
影皇帝の皇族姫
子爵令嬢ラスティは、叔父と従妹に虐げられる毎日を送っていた。生家に閉じ込められ、社交も出来ないため、外では悪評ばかりばらまかれていた。そんなある日、十年に一度全ての貴族が集められる舞踏会に参加した。そこで、賢者ハガルによって、貴族の中に発現した皇族だと宣言される。それから皇族としての扱いとなるも、教育がまだということで、生家で城から派遣された教師ハイムントから皇族教育を受けることとなった。
ラスティが皇族となって、子爵家の後継から外れたが、叔父アブサムには子爵家の血筋ではなく、従妹サラスティーナはアブサムの子でないという事実が発覚し、子爵家はなくなった。その元子爵家の邸宅と領地を教育係りとして派遣されたハイムントが男爵となって受け継ぎ、そのままラスティの教育を男爵領となったそこで受けることとなった。そうして、皇族として、様々な洗礼を受けている最中、ハイムントが賢者ハガルの隠された息子であり、海の貧民街の支配者一族であることを知ることとなる。賢者ハガルの英才教育を受け、妖精憑きではないが、妖精の目を片目に装着することで魔法を使い、と万能に見えたが、実は妖精に命を盗られるという呪いの一族でもあるため、常に妖精に命を狙われてたい。ラスティとハイムントの想いが通じ合った時、妖精は残酷にもハイムントの残りの寿命を盗られ、帰らぬ人となった。
ラスティは一度の逢瀬でハイムントとの子を妊娠したが、表向きは皇帝ライオネルの子として出産することで、他の皇族から手をつけられず、生涯、ハイムントを想って生きることとなった。
ラスティ
子爵令嬢。貴族に発現した皇族。両親の不慮の事故死により、叔父家族に家を乗っ取られ、虐げられる毎日を送っていた。そんなある日、貴族に発現した皇族だと発覚し、皇族として生きることとなる。成人するまでは生家で皇族教育を受けることとなるも、身内だと想っていた叔父と従妹がそうでなかったことを知らされ、誘拐されたり、使用人や領地民の裏切りを知らされたり、と様々な裏を教師役ハイムントと知らされ、体験することとなる。
常にハイムントからは皇族として腐っていないかどうかと試されているため、気の休まる時がない毎日を送らされてもいる。
ハイムントとは、想いは通じるも、ハイムントの血筋の呪いによって、死に別れることとなるが、一度の逢瀬で宿った子を皇帝ライオネルの子として産み落とすために、城に入り、一生、外に出されることはなかった。
ハイムント
元貧民から平民、そして男爵になる。裏では海の貧民街の支配者 影皇帝と名乗っている。賢者ハガルの隠し子ラインハルト。
妖精に寿命を盗られる一族という呪われた血筋のため、諦めた日々を送っていたところ、大昔の邸宅型魔法具で暮らし、日々、虐げられていたラスティを見て、心の安寧を得ているも、そこからラスティへの執着へと変化させた。そんなある日、ラスティが貴族に発現した皇族だと知り、父親である賢者ハガルに頼み込み、教師役としてラスティの側で過ごすこととなった。それから、様々なことにラスティが巻き込まれ、ハイムントとして、影皇帝としてライスティを手助けし、想いを募らせていった。
最後には、ラスティと想いが通じ合うも、その油断から、妖精に残りの寿命を全て盗られてしまい、眠るような死を迎えた。
平民となる時、本名ラインハルトではなく、狂皇帝が捨てた本名ハイムントと登録したのは、父である賢者ハガルへの嫌がらせである。
アブサム
ラスティの叔父。伯爵代理。
ラスティの両親が不慮の事故で亡くなるとすぐ、乗っ取るように屋敷にやってきた。そのまま、何も出来ないラスティを閉じ込め、やりたい放題し、ラスティを苦しめた。
ラスティが皇族となったことで、正式な子爵となるも、散財により、あっという間に財政を逼迫してしまう。娘が侯爵と婚約したことで、さらに散財しようとするのを邪魔された。思ったよりも財政はないということで、ラスティを使った狂言誘拐をするも、失敗し、帝国に捕縛されてしまう。
実は子爵家の血筋ではないことが、賢者ハガルによって証明されてしまう。
サラスティーナ
ラスティの従妹。アブサムの娘
ラスティの両親が不慮の事故で亡くなるとすぐ、乗っ取るように屋敷にやってきた。ラスティが何も出来ないからと、社交では、ラスティの悪評をばらまいた。
ラスティが皇族となったため、次期子爵となったサラスティーナに侯爵家から縁談まで舞い込んできたが、皇族の物をサラスティーナが壊し、その弁済があまりに高額であったため、破断となった。その後、父アブサムが犯した狂言誘拐の煽りで、血筋が正当でないことを賢者ハガルによって宣言されてしまい、そのまま平民として放逐された。
その後、紆余曲折から、辺境の貧民街の支配者の情婦となり、ラスティを誘拐して、復讐するも、失敗する。最後、ハガルの妖精によって消し炭にされる。
グレン
侯爵家次男。サラスティーナの婚約者。
サラスティーナが次期子爵となり、皇族となったラスティの血筋から、婚約することとなる。サラスティーナと一緒に、ラスティをバカにしていたが、サラスティーナが皇族の物を壊したことで、とんでもない賠償を請求される。結局、その賠償をすることで、サラスティーナと破談となった。
しかし、サラスティーナが実は子爵家の血筋でないことから、婚約の契約を持ち出し、新しい領主となったハイムントに領地戦を仕掛ける。結局、領地戦は大量の妖精の視認化で中止となるも、帝国のものでない妖精憑きを使った罪により、侯爵家は罪に問われてしまう。領地戦の勝敗は、不正を行った侯爵家が敗者となり、ハイムントが勝者としてグレンの首を要求したため、侯爵家のために、父親がグレンを殺した。
メフィル
皇族。皇族スイーズの孫。
ハイムントと親しくしているも、ラスティを貴族扱いしたことで、ハイムントの怒りを買うこととなる。どうにかハイムントを手に入れようとするも、全て失敗してしまう。さらに、ラスティに嫌がらせまがいなことをして、ハイムントだけでなく、祖父スイーズにまで蔑まれることとなる。
ラスティのことは逆恨みし、皇族の男たちを唆し、夜這いまで行わせ、とうとう、ハイムントだけでなく、賢者ハガルまで怒らせることとなる。
長いこと行われなかった皇族の儀式で、メフィルは皇族失格者と発覚し、とうとう両親からも見捨てられてしまう。
スイーズ
皇族。メフィルの祖父。
とても出来る皇族であり、寿命さえ問題なければ、皇帝となれた男。賢者ハガルの狂っており、老いた姿でも、ハガル一筋である。
皇族教育、皇帝教育を受けており、さらに、賢者ハガルがいかに恐ろしいかということを身内を殺されたことでよく知っており、身をわきまえている。
貴族から皇族となったラスティのことを認めており、妻にと口説いたが、結局、真の姿を晒したハガルへの想いは前面に出てしまい、結果、ラスティは身の程を学ぶこととなった。
ドモンド
辺境の領主。伯爵。
辺境の貧民街が一か所、賢者ハガルによって消し炭となったことへの賠償を男爵ハイムントに求めた。ハイムントが皇族ラスティを誘拐されたからだ、という言いがかりから、領地戦に発展した。この領地戦、元は伯爵だけだったが、援軍として婚約で関係した侯爵家次男グレンを道連れにしたのだが、そこは、ハイムントの策略であった。
結局、大量の妖精の視認化により、領地戦は中止となるも、帝国の物ではない妖精憑きの使用が発覚し、賢者ハガルの怒りを買い、妖精の呪いの刑を受けることとなった。
マクルス
魔法使い。
表向きは影皇帝と敵対しているが、実際は仲間であり、友人でもある。過去、人工的に筆頭魔法使いを作り出そうと、魔法使いの才能が化け物であるラインハルトを中心に、妖精憑きとしては化け物でも魔法使いの才能が凡人の妖精憑きを集めた実験が行われていた。結果、五人の魔法使いがラインハルトに妖精を貸すことで、筆頭魔法使い並の力を発揮することとなった。しかし、ラインハルトには寿命以上に、聖域の穢れを受け入れる能力が足りないとわかり、この実験は失敗となった。それでも、その名残から、何かとラインハルトとは魔法使い仲間として仲良くし、いざという時は力を貸して、と良い関係を築いていた。
ガント
貧民。
影皇帝ラインハルトの一族に仕える側近一族の若者。とても能力が高く、人当たりもいい。ラインハルトとは幼馴染みでもあるが、それ以上に血筋の継代に力を入れていた。常にラインハルトの子を作ろうと、女を集めては、強襲させていた。
ラインハルトがハイムントとして男爵となると、ガントも平民となり、領地民の娘と結婚した。
ティスデイル
宰相。
ハイムントのことを高く評価しており、常に貴族にあげようとしていた。とうとう、孫娘の婚約まで打診され、ラスティを嫉妬させることとなった。
サラム ガラム
影皇帝の重臣。
見た目は人だが、賢者ハガルが作り出した戦闘妖精である。ハガルが作った特別製の義体に妖精を憑かせ、ハガルの妻ステラを守らせようとしたのだが、とんでもない老獪な妖精が憑いてしまった。それがサラムとガラムである。普通の妖精と違い、とんでもなく長く生きた妖精のため、平気で嘘をつくし、面白い方へと裏切る。一応、ステラの血筋に絶対忠誠の契約紋を施されているが、その隙をついて、好き放題している。
モード
教皇長。皇族。
賢者ハガルを嫌う皇族。どうにか神殿の権威をあげようと、妖精視認化を起こしたハイムントを捕らえ、そこから賢者ハガルへと罪の追及を持っていこうとした。結局、ハイムントを怒らせ、神殿を壊されるという凶事を起こされてしまう。
レッティル
皇族失格者の末裔。魔法使い。王都の教皇。
過去、人工的に筆頭魔法使いを作る実験に参加して、妖精と契約してしまい、ラインハルトの寿命の半分を盗られるという凶事を起こしてしまい、賢者ハガルの怒りを買って、神殿行となった。ラインハルトとは和解するも、神殿と魔法使いの板挟み的役割をさせられてしまう。
妖精視認化を起こしたハイムントを嫌々ながら捕らえることとなって、大変な気苦労をさせられる。賢者ハガルには散々、叱られ、神殿は壊され、果ては失脚したモードの後釜として教皇長にさせられる。
ハイムントの死後、しばらくして、再び魔法使いに戻ることとなった。
ハガル
賢者。ハイムントの父。千年に一人誕生する化け物妖精憑き
普段は老人の姿をしているが、喜んだり、何かあったりすると、妖精の力によって、若返ってしまう。十年に一度の舞踏会で、ラスティが貴族に発現した皇族であると宣言する。それから、ラスティのことは個人的に気に入り、ラスティが口にする物全てをハガルが手がけた。
過去、二度に渡って息子であるハイムントを筆頭魔法使いの屋敷にある秘密の部屋に閉じ込めたのだが、失敗してしまう。その際、とんでもない親子喧嘩をして、ハイムントはハガルを閉口させた。それからも、ハガルは諦めておらず、ラスティを使って閉じ込めようとするも、結局、その前にハイムントの寿命を全て奪われてしまい、後手となった。
ハイムント死後、ラスティが産んだ双子のその後を見守る日々を送った。
ライオネル
皇帝。ハガルの四人目の皇帝。
内戦がきっかけで、海の貧民街の支配者一族に関わることとなる。ハガルとステラの子ラインハルトのことは我が子のように可愛がっていた。それも、ラインハルトの目論みにより、皇帝とその娼夫の関係を強要されてしまう。その関係がハガルにバレてしまい、この関係もそこで終わることとなった。しかし、ハガルは執念深く、この事実が許せず、ライオネルから皇位簒奪出来る皇族を探すほどの怒りであった。
ハイムントの死後、他の皇族と子作りをしなくてすむように、ラスティが生んだ子をライオネルの子として認知した。
ステラ
ハガルの妻。ハイムントの母。海の貧民街の支配者一族。
内戦がきっかけで、ハガルの子を産むこととなる。元々、血筋の継代のために、どうしても子の父親が必要だったため、丁度良いと、逆にハガルを利用される。ハガルには父親としての役目を求めておらず、それどころか、関わりを断とうとするのだが、ハガルの執着が強く、ステラを囲おうとする。結局、ステラの意思を優先し、ハガルは城から通って、様々なことに手を出して、ステラを怒らせた。
唯一、ハガルの泣き落としに屈しなかったのはステラだけである。また、ハガルの顔を殴って許されたのもステラだけだった。
妖精に寿命を盗られる一族であったため、ハガルが出会った時には、すでに寿命もわずかとなっていた。これ以上、寿命を盗られないように、ハガルが見張り、戦闘妖精を側につけ、それでもラインハルトが十歳の頃に眠るように亡くなった。