第八十一話 わたしの前世・殿下との約束
「フォルテーヌさん。最後に一つだけお願いをしていいでしょうか?」
殿下は、つらさと苦しさは、もうすぐ限界というところまできているようで、そばにいる侍医もつらそうな表情をしている。
ここまでくると、王国内で一番の名医と言われている侍医も、もう手の打ちようがなくなっている。
もう持たないところまできているのだと思う。
「わたしでよろしければ」
そう言うと、殿下は、
「あなたと手をつなぎたいと思います。お願いできますでしょうか?」
と恥ずかしそうに言ってきた。
ずっと、わたしの手とつなぎたかった殿下の手。
どれだけのやさしさがそこにはあるのだろう。
わたしにとって、大きなあこがれだった。
それが、殿下の方からつなぎたいと言ってきている。
これほどのうれしさはない。
「この手でよろしければ。お願いします」
「それではお願いします」
殿下は、恥ずかしそうにその手をわたしの手に近づけてくる。
わたしも、恥ずかしさを抑えて、手を近づけていく。
そして、手と手がつながった。
殿下と手をつなぐことができるなんて、夢のようだ。
「フォルテーヌさんのやさしさが伝わってきます。ありがとうございます」
「殿下のやさしさが伝わってきます。こちらこそありがとうございます」
殿下に小康状態が訪れたようだ。
素敵な微笑みをわたしに向けていただいている。
そして、殿下のやさしさがどんどん流れ込んできている。
このやさしさをいつまでも味わっていたいのだけど……。
それは長くは続かなかった。
殿下の容態はその後、悪化していった。
もうお別れの時は近づいていると思わざるをえなかった。
わたしは殿下の手を握り、回復することを一生懸命お願いする。
でも殿下のつらさと苦しさは増す一方だった。
殿下は、わたしの手を握りながら、
「フォルテーヌさん。わたしはあなたが好きです。大好きです。今世では、もうお別れですけど、来世では絶対結婚したいと思っています。二人で幸せになりたいです。この想い、届きますでしょうか。届くことを願っています」
と言った。
殿下とここでお別れはしたくない。
もっと今世で一緒にいて、たくさんお話がしたい。
できるのであれば、今世で恋人どうしになり、婚約して結婚したい。
その気持ちが先になる。
でも殿下は、『来世では絶対結婚したい』とおっしゃっている。
来世があるのかどうかはわからない。
しかし、わたしも来世があると思いたい。
来世こそは、二人で幸せになりたい。
わたしも殿下の手を握りながら、
「わたしも殿下が好きです。大好きです。来世では殿下と結婚したいです。二人で幸せになりたいです。よろしくお願いします」
と涙声で言った。
「ありがとうございます。これほどうれしいことはないと思っています」
殿下も涙を流す。
「これでもうこの世を去ることができます。お父上、お母上、そして皆さん。今までありがとうございました。そして、フォルテーヌさん。わたしは来世で、あなたと結婚することを心から望んでいます。結婚を約束したいと思います。よろしくお願いします」
それが、殿下の最後の言葉になった。
殿下の意識が遠くなっていく。
「わたしは殿下を愛しています。わたしも殿下と来世で結婚することを心から望んでいます。結婚を約束していただき、うれしいです。ありがとうございます。よろしくお願いします」
わたしはそう殿下に想いを伝えた後、意識が遠くなっていった。
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