第七十五話 わたしの前世・殿下との出会い
「お嬢様、あちらの馬車には、オディアン王太子殿下がお乗りになられています」
側近が報告してきた。
王太子殿下。
わたしはとても驚いた。
普通だったら、お会いできなくて、遠い存在になる身分のお方だ。
舞踏会に参加できない身分の為、殿下と知り合う機会はまずない。
そういうお方とここで出会えるなんて……。
夢のようなことだ。
とにかくまずあいさつをしなければならない。
わたしは馬車を降りると、殿下の方へ向かった。
王太子殿下。きっと、素敵なお方に違いない。
わたしは、胸のドキドキを大きくしていく。
そして、殿下と対面し、まずあいさつをした。
殿下は、王国内の実情を把握するべく、定期的に旅をされているそうだ。
わたしたちと出会ったのは、その旅の途中とのこと。
殿下は、わたしの想像していた以上のお方だった。
ハンサムで、凛々しくて、笑顔が何よりも素敵。
わたしの理想を集めたような容姿をしていた。
それだけではない。
どこか懐かしく思う気持ちが湧いてくる。
今まで一度も会ったことはないはずなのに……。
しかし、それはわたしだけの思いではなかった。
「フォルテーヌさん。わたしはあなたとどこかで会った気がするんです。どこで会ったかは思い出せないんですけど。今まで生きてきた中では会っているとは思えないので、もしかすると、前世で出会っているのかもしれません」
殿下は、そうわたしに言った。
殿下もそう思っておられることに、わたしは驚いた。
前世というものがあるかどうかは。当時のわたしにはわからなかった。
しかし、どこかで会ったことがあるという気持ちは同じで、しかも今までの人生では会ったことがないということであれば、前世で会っている可能性はあるかもしれない。
もしそうだとしたら、手の届かない存在と思っている殿下と縁があるのではないかと思う。
もちろん縁とはいっても、結婚するほどの深い縁だとは思えない。
それでも、こうして会えて話ができるだけでも十分だと思っている。
「わたしも殿下と初めてお会いしているはずなのに、どこかで会った気がしています。殿下がおっしゃる通り、前世でお会いしているのかもしれません」
「あなたもそう思っているとしたら、前世で会っている可能性は高いと思います。あなたのような、美しくて素敵な女性とは、会うことそのものが難しいと思っていました。それが前世でも会っていたとすると、わたしたちは縁があるのかもしれません。もし、そうだったらうれしいです。前世でもきっと素敵な女性だったと思います。あなたと前世で、どういう過ごし方をしていたのか、それを思い出せるともっといいと思っています」
褒めていただくのはうれしいけれど、だんだん恥ずかしくなってくる。
「そんな、美しくて素敵だなんて……。わたしはそこまでのものではないと思っています。そういうわたしに、『縁がある』とおっしゃっていただいたことは光栄に思いますけど」
「そういう自分を誇らないところも素敵なところだと思います。わたしは今日、あなたと出会うことができてよかったと思っています」
殿下はそう言うと、微笑んだ。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
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