泥棒
私は下劣な泥棒だ。
他者から金品を奪い取り、自分の至福を肥やす。
そこらにいる泥棒はまだマシだと私は思う。
彼らは自分が生きるために盗みをしている。
盗みをしなければ死の危険を感じるため渋々やっている。
それはある意味働くこととなんら変わらないのかもしれない。
一方、私は今の生活に死の危険を感じてはいない。
今の生活に満足できないため、泥棒をしている。
泥棒をした日は一日中涙が出てきそうになる。
酷い吐き気に悩まされる。
自分を嫌いそうになる。
今日もまた泥棒をした。
今日の稼ぎは5000円だった。
少ない?
いや、多すぎて困る。
泥棒をする上で大切にしていることがある。
被害者への感謝を忘れないということだ。
これを欠いてしまえば、私はきっと狂人になってしまう。
それだけは嫌だ。
あそこへはあまり近づかないようにしよう。
あることに気づいた。
とても大事なことだ。
私と同職のものはこの国に多くいるらしい。
なんという発見だ。
吐き気がする。
狂人をみた。
醜く哀れなやつだった。
またあることに気づいた。
狂人は日々増えているのだ。
特に子供の増加量は他の世代の比ではないような気がする。
私もいつかあぁなるのだろうか。
今日初めて被害者への感謝を忘れた。
とても眠かったので、サボってしまった。
明日にしよう。
明日にしよう。
明日にしよう。
明日にしよう。
金を貰った。
ここにくればいつも金が入る。
どれだけ愛想が悪くても金が入る。
なに?
申し訳ないと思わないのか、だって?
あっちが好きで渡しているのに、なぜ申し訳ないと思うんだ。
俺は大切な孫なんだから。




