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シリーズタイトル:コリウス王国のフリージアの街の冒険者ギルドは、今日も賑やかです。

無口な魔法士

作者: 野吹 香

コリウス王国のフリージアの街の冒険者ギルドでの日常


無詠唱魔法でポーズも付けない魔法士が居ればどのようになるかと考えて書いてみました。

僕はカイン 今日、田舎から出てきて 早速、コリウス王国のフリージアの街の冒険者ギルド(くみあい)に登録したわけだが。

初心者は Gランクから始まるらしい。


     *****


幼少期より 田舎で、どこからか流れてきたノームと言う爺さんに魔法を教えてもらっていた。

爺さん(いわく)、僕には桁外れた魔力があるらしい。

「昔、有名な魔法士だった わしが教えれば優秀な魔法士になれる」と言っていたが怪しいものだ。


魔法には詠唱が必要らしいが、爺さん(いわく)「詠唱など初心者のすることだ」との事で『無詠唱魔法』を教えてもらう事になった。


僕は、無口だし引っ込み思案だから魔法を使うたびに詠唱など恥ずかしくって言ってられないのでちょうどよかった。


どっちにしても魔法が使えるなら問題ないが無詠唱魔法ってものが有るならそちらの方が僕には向いていると思ったのだった。

しかし考えが甘かったと直ぐに気が付いた。


まず最初に言われたのが

・へその下あたりの魔力溜まりに有る魔力を感じ全身に巡らせろ!

・魔力が全身に廻ったら全身の力を抜き魔力に体を任せろ!

・精霊の気配を感じ会話できるようになれ!


いやいや、何を言ってるかわかりません!?


「ノーム爺さん魔力なんて全然感じないぞ?」

「そうか?!最初はそんなもんじゃ、どら ちょっと手伝ってあげよう」といって爺さんの右手を僕のへその下にあて左手を背中に添えた。

早速、へその下あたりが暖かくなってきた。

「あち、熱い へその下が熱い」とっさに爺さんの手を払いのけてしまった。

「はっはっは どうやら、魔力は認識できたようじゃな?」


魔力を感じるが全身に魔力を巡らせるには、苦労した。


ノーム爺さんの言うには僕には支援魔法が向いているようだ、自分で攻撃なんかできないので、味方を支援する魔法を取得した方がよいと言われた。


来る日も来る日も魔力を全身に巡らせ支援魔法の練習を行った。

味方の身体や武器の攻撃力を上げる魔法。思考を早くする魔法。ヒールも出来るようになった。


だが、『精霊の気配を感じ会話できるようになれ!』と言われていたが未だにできていない。

ノーム爺さんに相談したが「はっはっは!もう、精霊と会話できているぞ!」と言われた。

たまに爺さん わけのわからないことを言う?


   *****


月日は流れ、僕もそれっぽく魔法士の端くれになったようだ。

ただ魔法の発動時には、全身の力を抜き体中の魔力を全身に巡らしている、もちろん意識は集中しているが外見は棒立ちになっているようにしか見えない。


   *****


僕が15になった時、ノーム爺さんはフラッと、どこかに行ってしまい帰ってこなかった。

ノームという精霊がいることを知ったのはずいぶん経ってからだった。

ノーム爺さんと何か関係があったのか今では知る由もない。


僕は街に出て冒険者になることに決めた。良いきっかけだと感じたからだ。

それで今日、田舎から出てきて 早速、コリウス王国のフリージアの街の冒険者ギルドに登録したわけだが

初心者は Gランクから始まるらしい。


Gランクの仕事は、街の掃除や 薬草採集など雑用がほとんどだ。

だが、自分より上級のパーティに拾ってもらって下働きを行いながら、経験を積んでいくこともできる。


さっそく、自由掲示板にパーティ募集の掲示板を貼ってみた。


『当方、名前は、カイン Gランク 援護魔法が多少使えます。下働きします。自分より上ランクにて経験を積ませてください』


引っ込み思案の自分なりには、結構うまく書けたと思う。


何日か立った日にCランクのパーティから声をかけられた、『いつかはドラゴンスレイヤー』というパーティだった。パーティ名のセンスには疑問が感じたが上昇意識のあるパーティだと考えておこう。


剣士二人と魔法士一人の3人のパーティだった。

「カインってのはお前か?俺達のパーティで下働きするなら入れてやってもいいぞ、僕たちの戦いを見て経験を積んでいけばいいさ」

「はい、勉強させていただきます」早速、加入できるようになった。

試験も何もなかった…そもそもGランクに何も期待していないのだろう。


リーダーは剣士の『ゼフィランさん』もう一人の剣士が『ジギタリスさん』紅一点の魔法士が『ジニアさん』ジニアさんは攻撃魔法が得意らしい。


剣士二人が突っ込み、後方遠方より攻撃魔法をするタイプのパーティらしい。


翌日、オーク退治に行くとの事だったので早速ついていくことになった。

リーダーより「魔法士のジニアのまだ後ろの安全な場所で見学するよう」に言われた。


森を散策していると1匹のオークに出くわした。


僕は、ジニアさんの遠く後ろに移動し全身に魔力を巡らせた。

自分の思考速度を3倍に引き上げ3人の戦いを見落としの無いよう見学させてもらった。もちろん棒立ちの状態になっていた。


3人の連携は素晴らしくジニアさんのファイヤーボールで体勢を崩したオークに剣士、二人でとどめを刺すといった一連の流れだがオークの反撃で剣士2人が何度かケガをした、思考能力3倍のスピード『ヒール』をした、後は簡単に倒せた。


僕は3人のところに駆け寄った。リーダーのゼフィランさんとジギタリスさんがオークの解体を始めた。新鮮なうちに解体して街まで持って帰りギルドに報告するとお金を貰えるらしい。依頼を受けて退治すれば依頼費として、そうでない場合は肉と素材として買い取ってくれるらしい。

解体した肉を持てるだけ持って街に向かった。下働きの僕の仕事だ。


帰り道、リーダーのゼフィランさんに言われた「お前にとって初めての狩りだから、分からなくもないが 棒立ちで何もできなかったな、少し支援魔法が使えると言っていたのは嘘か?こんどからは、少しは支援してみろ」

「は、はい・・・」

確かに支援魔法は使っていなかったが、ヒールはしたんだが・・・

思考能力3倍で『ヒール』したので本人たちは気が付いていないようである。

ほぼ、キズを負った瞬間に治っているのだから当たり前かもしれない


   *****


翌日も森に出かけたが何も獲物に出会わないので少し休憩することになった。

リーダーのゼフィランさんが「今日の森は何か変だ」と言っていた。


だが、休む暇もなく、一回り大きなオークキングがオークが3匹を引き連れて出てきた。何かから逃げているようだ。


僕は、ジニアさんの後方に移動し全身に魔力を巡らせた、もちろん見た目は棒立ちだが、仕方がない これが僕にとっての支援魔法のスタイルなのだから。


オークキングにファイヤーボールで攻撃するジニアさん、しかしオークキングにはジニアさんのファイヤーボールでは効かないようだ。

直ぐに標的をオーク3匹に変えファイヤーボールを放つ、オークには効いている。

リーダーのゼフィランさんとジギタリスさんもオークキングには、目もくれずオーク3匹を最初に倒すべき行動を起こしている。流れるような動きでオーク3匹は倒した。僕は、もちろん3人がケガをするたびに『ヒール』で治していっている

だが、オークキングには魔法も剣も効いていない。


僕は、3人に身体強化2倍、思考速度3倍、剣への強化2倍の魔法を施した。

ジニアさんには魔力強化も忘れていない。

自分は思考速度5倍にした。これでどうにかなるだろう!?

もちろんケガは瞬時に治していっている。


さすがのオークキングも倒したが、今度は、ドラゴンが現れたオーク達はドラゴンから逃げていたようだ。


リーダーの「今日は体が軽い、このままドラゴンも仕留めるぞ!」との掛け声に2人もその気になっているようだ。


僕は、3人が耐えれるだろう魔力を送った。身体強化3倍、思考速度5倍、剣の強化5倍、魔法攻撃強化3倍。これ以上は3人の体や剣がもたないだろう。


自分には、思考速度最高の10倍にした。


ドラゴンのブレスが3人を襲う、ジニアさんが直ぐさま防御障壁を展開するが”薄い”、僕もジニアさんの障壁の後ろに2重になるよう防御障壁を張ったが、僕の障壁もドラゴンのブレスに耐えれないだろう。防壁を破られる瞬間に3人にエクストラヒールを行う。一見無傷でブレスをやり過ごしたように見える3人。


士気の上がる3人、威力の上がっているファイヤーボール、思考能力も身体能力も上がっている3人は、ドラゴンをどうにか討伐することができた。

もちろんケガを負うたびに『ヒール』で治していっている。

致命傷さえ受けなければ本人に気が付かないうちに治してしまえる。


「おい、新人 ギルドに行ってドラゴンを退治したと伝えてこい。運搬用の台車を持ってくるんだぞ」リーダーから指示を受けて、早速ギルドまで戻ることにした。


リーダーは、上機嫌だ「パーティ名の『いつかはドラゴンスレイヤー』ってのは今日までだ明日からはパーティ名『ドラゴンスレイヤー』だ」

「「おー」」


     *****


ギルドにドラゴンの亡骸を持って帰ったら、ギルドは、お祭り騒ぎになっていた。


「ギルド長よりご挨拶があります。皆様お静かに」いつも受付をしているお姉さんが司会を始めた。


「ギルド長だ、パーティ名の『いつかはドラゴンスレイヤー』だが、明日からはパーティ名『ドラゴンスレイヤー』に改名だ、それにランクはBランクになる、いいな皆、間違わないように」


「続いて『ドラゴンスレイヤー』のリーダー ゼフィランさん ご挨拶をお願いします」


「僕がリーダーのゼフィランです。最近体が軽く判断力も上がって来ていました、ケガにも耐性が出てきています。日ごろの鍛錬の成果が出てきたようです。明日からはパーティ名は『ドラゴンスレイヤー』です。間違えないようにしてください。はっはっは」


ゼフィランさんは上機嫌だった。僕もうれしかった。


翌朝、リーダーの『ゼフィランさん』に話があると言われた『ジギタリスさん』『ジニアさん』も同席している。


「カインよお前は、今日限りでパーティから抜けてもらう。戦闘時見学していろとは言ったが、遠方で棒立ちしているのでは、話にならない。僕たちはBランクになった。これからは上級の魔獣とも戦うことになる。お前に向上心が有るように思わない。したがって、クビだ。何か言いたいことはあるか?」


「ぼ、僕も支援魔法を使っていました。微力ながら力になっていたと思います」


「はっはっは、棒立ちで詠唱もせず無言で支援魔法を使っていたというのか?」

「はい」

「それなら、僕たちは、カイン 君の支援魔法のおかげで勝てたとでも言いたいのか?」

「そうは、言いませんが…」

「とにかくクビだ、俺たちの『ドラゴンスレイヤー』には、役立たずは必要ないんだ」

「わかりました…」


支援魔法発動時に棒立ちになり、しかも無詠唱…やっぱり支援をしてるようには見えないよな…


     *****


ドラゴンを倒した近くで子供のドラゴンの目撃情報がギルドに入ってきた。

ギルド長の命令でパーティ『ドラゴンスレイヤー』が退治に行くことになった。

子供のドラゴンなので簡単に倒すだろうと見学人も何人かついて行ったようだ。


子供のドラゴンと対峙した『ドラゴンスレイヤー』

剣は、ドラゴンの堅い体に歯が立たない、ドラゴンのスピードにも着いていけていない

『ドラゴンスレイヤー』は、ドラゴンのブレスで一瞬で灰になってしまったらしい。


僕の支援魔法も少しは役に立っていたと言う事だったんでしょうか?


『当方、名前は、カイン Gランク 援護魔法が多少使えます。下働きします。自分より上ランクにて経験を積ませてください』







フリージアの街の冒険者ギルドでの日常シリーズで

短編小説が書けたら良いなぁ!?

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