ウィルスについての基礎知識(そして不老不死と男女の性差も)
※いきなり、同著者が別に連載している作品物語の途中から始まります。ご注意ください。
※この短編作は、本編作品「―地球転星― 神の創りし新世界より」の中で既に投稿した内容であるサブタイトル「57.不老不死」のお話を再度、短編作として転用し、そのままコピペしただけのものを再び投稿しただけものです。
ですので、冒頭からいきなり、連載作の途中より始まります。
「私は性別が選べる……」
確かに真理は、そう言った。
「せ、性別が選べるって……、
女か男かを好きに選べるってこと……?」
章子が信じられず訊くと真理は頷く。
「そうですよ。
私は女か男か、好きな性別の体を選べるのです。
今もね……。
それは簡単に可能でもある。
エネルギー相転移。
この技術を使えば、それは、それほど難しいことではない。
すでに、この私、
神真理には、二つの躰が用意されている。
情報的にです。
まず一つ目が「女の体」である、この今の躰の「X体」。
そして、もう一つが、
私が今も所持しているある情報空間に保存記録され用意されている「男の体」の「Y体」です。
私は今現在、その二つの内の「X体」を好んで選び取って、
この体として、
今はこの場に存在している。
しかし、
今ここでこの女の体から、男の体にでも急に変わろうと思えば、それはすぐにでも出来ること。
エネルギー相転移技術を使って、今ここにある意思だけをこの場のエネルギー位置に固定し、
後は残りの体の全てに使われている総エネルギーを、
遊離エネルギーに相変換して実体を解除し、また男の「Y体」の情報に沿ってエネルギー構成を変換し直す。
ただそれだけをすればいい……だけなのですが……?
実際に見てみますか?
私はあまり、やりたくはありませんが……」
「やりたくない……?」
「はい。
やりたくありませんね?
男の体でしょう?
男の体はつまらないのですよ。
男の体と女の体の両方を試してみた私はそう感じましたね?
男の体は、邪魔な棒と玉袋がお股でプラプラしているだけなのですもの。
その点、
この女の体はイイっ!非常にね?
この躰は着飾れるッ!
股間には、あの引きちぎりたい邪魔なものなどは垂れ下がっていないしッッッ!!!
女子特有の胸のふくらみなどは、
別にギガリスの真理学によるスーパースキル、『超能力』や、
第一リ・クァミスの技術である魔法といった魔法行使が可能であれば、
一般生活上での通常のスポーツなどの運動中程度では、邪魔とも思わない。
女の体で生きていくことに対して、
唯一の逡巡する点があるとすれば、
それは、女子特有の「月のもの」ぐらいの物っ。
しかし、
それも魔法や超能力を司る「真理学」や「原理学」の前では、霞むほどの物でしかないッッッ!!!!
その恩恵による解放感は、すでにあなたの体でも、実感されている筈ですが?
章子?」
真理の笑って言う指摘に、
章子は自分の下腹部を押さえてみた。
確かに、真理やオリルの助言や魔法行使後、月に一度のあの煩わしさは地球にいた頃よりも格段に軽減されている……。
だからこそ、章子はもう地球には戻りたくなかった……。
「生理はやはり邪魔ですッ!
それは同じ同性である私から見ても同感だッ!!
一般生活上では、
女の体であれば、それが例え尊い子供を授かるためとはいえど、
毎月、その不便を味わうことにはなる。
女と男の体では、やはりその違いは認めざるを得ないッ!
しかし、男は男で、あの体も、やはり邪魔だッ!
あの下でブラブラした鬱陶しい感覚ッ!!!
女性の方には、一度、味わって頂きたいものだッッッ!!!
とくに無痛にもかかわらず生理が煩わしいと思っている方には、是非とも一度ね?
アレ、
無痛の時の生理と同じぐらい邪魔臭いですから。
自分のを、ちょん切りたくなりますよ?
一方で……、
生理時にどうしようもない痛覚などを感じておられる方は……、
男の側にも、そういう疾患はある。と言う事を想像してもらえればいい。
特に『真性』などと言われる男性性器疾患など、すぐに思い至るでしょう?
アレもアレで、一生モノにツラくて時には痛いものなのですよ?
それこそ、
ふとした瞬間に、他人には理解されないほどの不機嫌にもなるほどにね?
女の体で人生を一度でも謳歌していて、
男の体に戻ってみれば、あれほど邪魔なモノなどありはしません。
女性の生理と男のオチンチンなどという生理存在とは、それほどに同じぐらいに邪魔臭いッ!」
断言する真理という少女が、
天から授かる筈の性別を差別し暴涜している。
「それらの違いなど……、
その存在に苦労するのが「月に一度」か、それとも「毎日もの」か……、
ぐらいの違いでしょうか……?
私だったら「月イチ」を選びますね?
それだけのお話です。
女の体は楽しい……。
実に!
とくに魔法が使えるこの世界ならば、なお楽しい。
魔法を使う世界ならば、身体に筋肉を付ける必要などない。
筋肉も付けない男の体など……「カス」ですよッ!
そうでしょう?
「カス」な男の体に筋肉を付けないのだったら、別に「女の体」で十分!!なのですから?
故に私は、
自分の體だけは、絶対に「女の体」であることを好みますね。
この気持ち……、
おそらくネットゲームか、
それらの時にでもあるキャラクターメイキングの時で、
一度でも、女の身体を選んだことのある「殿方」ならば、
強く分かって頂けると思いますよ?」
そう言って、
真理は、一度でも仮想世界では女の体を選んだかもしれない、ある種の男性陣に向く。
「愉しいですよ?
女の体は?
ただ、生理を除けばね?
女の生理、つまり月経は、
男のあなたの体で例えれば、その股間にある「男物」と邪魔臭さでは同じぐらいでしかないのですよ?
あなた方も時々、
その位置にあることを邪魔になんかに感じていたりなんかはしませんか?
そのぶら下がっているモノが?
特に男のそれは、場所も選ばずにむくみ上がることだってあるでしょう?
章子の弟なども、よくそれで困っているようですし……」
「真理ッッ……!」
小学生の男子、特有の悩みは、全国にいる男性共通の悩みの過去だ。
その男子の悩みを、
弟の姉でもある章子も少なからず知っている。
弟とは……、
身も心も常に、お姉ちゃんの「おもちゃ」でしかないのだから……。
……男兄弟のいる女子を甘く見てはいけない。
男兄弟を一人でも上か下にもつ女子にとっては、
男の体など妄想の産物などではないことを肝に銘じておくべきである。
そこを誤解していると、あなたは「彼」と同じ目をみるだろう。
いま章子がいる、この寝室にはいない、あの「彼」と……。
「……さて、
男女の体についての優劣の話はここまでにしておきましょうか?
所詮、どの体を好むのかは人による。
……私は、女と男の体の両方が選べる……。
その選択肢の中でも私は自分の体は女体を好む、とそれだけの事。
そんな事実が、
これから始まろうとしている、この新世界ではどう関わってくるのか。
今はそこを重要としている。
一つの生命という意思が、
たった一つの体で、雌雄のどちらかを可逆的に選択できるという可能性の事実。
しかし、
これは極論、「雌雄」などという域の話ではないのです」
「……え?……」
驚く章子を真理は見る。
「もはや、これは、その領域の話ではないのですよ。
雌雄などというオスメスの話ではない。
雄雌の関係性とは、
かつて、
そこに座っているクベルも述べたことがあるように、最終的には生殖活動に行き着くものです。
ですが、
その生殖活動を既に必要としていない世界が、
この第二世界には、もうすでに辿り着いている。
それが第六。
第六世界ウルティハマニ……。
彼らの、あの人の姿はまだ憶えていますね?
あの彼ら……、
あの十二人の十二獣人たちの彼らの体には既に……、
寿命がないっ……」
「え?
じゅ、寿命がっ?」
「そうです。
あの十二人と、その中央に位置する彼らの主の母となる「彼女」には寿命がありません。
彼らは「不老」なのです。
ですが「不死」ではない。
彼らは、
内的要因、
つまり絶食なども含めた体内器官の機能不全による疾病障害に対しては、ほぼ完全な「不死」ですが、
外的要因、つまり外傷を負うことによる外的威力の攻撃では、「致死」的被害を確かに受ける生物です。
そして、
そんな不老者の彼ら十二人と一人の『十二獣の宮座』が現在、目指している究極の到達点とは……、
不老不死です」
「不老……不死……」
「そう、不老不死。
彼らはそれを手に入れようとしている。
そして、
かつての実際に、
太古の地球上で息づいていた第六世界では、確かにそれを手に入れました。
それが彼らの「真の主」。
彼女は不老不死だった。
老いず死なず、死ぬこともできず、
どれだけの時間を過ごし、どれだけの力を危害として受け与えられても、彼女は不滅だった。
死ななかったのです。
事実、彼女は今もまだ生きている。
あの本当の地球の中心部の地核の中で……、
母親の胎の中で胎動する胎児のように包まれながらね?」
昔話を語る真理が、
何も言えないままでいる章子とクベルを見る。
「彼女の過去のいきさつを、今は語ることはしません。
なぜなら、
この転星上でも、また彼女は生まれ落ちようとしているからです。
我が母ゴウベンは、
そうなるタイミングを見計らって、
当時の第六世界を、この転星に喚び寄せて、用意した。
もう一人の不老不死が……、この転星でも生まれ落ちるように……」
「それをすることに何の意味がある?」
クベルが疑問に問う言葉に、真理も目を向ける。
「あなたも魔術的にとはいえ、
一種の「不老」の人間であるのならわかるはずだ。
自然的な死を超越した時。
人は今度、
人為的な「死」をも克服しようとする。
ではそれも克服したとして、その先にある物とは?
そんなものは無いッ!
これが絶対の真理ですッ!
しかし、
唯一、それ以外の他に「答え」があるとすれば……」
「……なぜ、自分は、ここに生まれてきたのか……?」
「そうです。
結局、その「答え」に行き着く。
どのような存在であれ、
自分自身で、自分の発生原因を管制できる者などいないのですから。
それは不老不死である人間でも例外ではないッ!
例え死を克服した「完全なる命」であろうとも、
それは、用意された命でしかない……ッ!」
「それは、お前も同じはずだが……?」
クベルが睨むと真理も悪びれず頷く。
「その通りです。
私も、自分で自分の出生可否の選択はできなかった……。
気が付いたら……ここにいた……っ!
それが命というモノッ!
だからこそ、
究極の命とは「不老不死」ではないのですッ!
自発発生っ!
『真の究極の命』とは、
……自分自身の意思で、自分をその世界に生みだした命なのですよッ!」
「だが、そんな命は……」
「はい。存在しません。
生命とは、
気付いた時には、自分はここに居たという自覚しか持たない物体なのです。
そして、知らず知らず他者の命を奪っていく……。
今、現在……それを超国家規模でやっている超国家大陸があります」
「……アトランティスか……」
呟いたクベルの声に真理は頷く。
「第六世界の片割れアトランティスは、
生命というモノが備えている二面性の内の「一つ」を究明して昇華させて、「生体」として特化させた元国家です。
それが、多様性」
章子の現代世界でもよく聞く時がある単語が、ここで出てきた。
「生命というモノは、
一つの命の中で、相反する矛盾した「二つの属性」を内包しています。
その一つが、先ほども説明したアトランティスが司ることを目標とした「多様性」と、
そして、
もう一つが『保存』」
言い切る真理が、俯き加減で続ける。
「多様性と自己保存は本来、相容れません。
多様性を記録することは「保存」を意味する。
しかし、
保存をしていては多様性の原動力である生命の進化は起こりえない。
『種の保存』とは、多様性に移り変わっていく動きを阻止しッ!
進化を止めて「今」を記録することにあるからですッ!
それを国家として司ってるものが「ムー」ッッ!
第六世界にあった二大超国家、
「ムー」と「アトランティス」は、「種の保存」と「多様性」という生物の側面上で争っていたッ!
ムーは、生物種保存国家として「種の保存」を目指し、
アトランティスは超生物災害世界となって「進化の多様性」を目指したのです。
そして、
その争いの果てに辿り着いた答えが……、
「共倒れ」という、くだらない結果……」
吐き捨てる真理がまだ、視線だけで語っている。
「多様性と種の保存の闘いの結果は「痛み分け」です。
第六世界ウルティハマニが、
太古に起きた生態汚染戦争によって崩壊した後、
アトランティスの「進化の因子」は、鳥類をベースに、章子たち人類の第七世界の手前で現われた「恐竜」へと受け継がれ、また鳥に戻って残り、
ムーの「種の保存の因子」は、哺乳類をベースとした「人類」という最終的な形を、人工的な進化によって達成せしめたッ!
かつての恐竜という姿の生物は多様性の究極だった。
逆に章子たち人類というモノは「種の保存」の究極です。
ですから、あなた方、
章子たち第七人類は、他の種を滅ぼしてでも「自分は残そう」とするッッッ!!!
それが、あなた方に刷り込まれた本当の仕掛け……」
「そ、そんなこと……っ」
否定したい章子を、真理は遮る。
「否定することに意味はありません。
それは既に、あなたの体に刻み込まれている。
ミトコンドリア。
ムーは、そのDNAの内部に、作為的な進化の系譜を打ち込み、仕込みこんだ。
罠は二重に張り巡らされていたのです。
彼ら『十二獣の宮座』による物理的な生物保存手段と、
バイオゲノムによる遺伝的な情報保存手段の二つによってね。
それほど、
敵対するアトランティスが、生物を強制的に進化させる行程の手段は狂気だった。
アトランティスは、
その強制進化の汚染行程が、
「生物実体」と「遺伝情報」の両方の側面から、同時に侵蝕させて実行させていた。
彼らは手段を選ばない。
彼らの大陸で、漂っている空気を一度でも吸えば……、
たちまち、その体には『別に進化するための命』が生みつけられる……」
絶望を呟く真理が、天井を仰ぐ。
「召喚発生。
彼らアトランティスは「奇形」を作りだす。
多様性が行き着くものとは間違いなく奇形動物ですよ。
内臓を表皮に持った生物が蠢く世界。
それが現在のアトランティスです。
故に、
彼らはまだ国ではあるが、もう国ではない」
その言葉の意味が、
まだ未熟に年若い章子には、分からない。
「かの国では、
生命の根源とは「ウイルス」だと認識されていた。
命の最も基本的な形とは『ウイルス』だったのです。
生命なのですよ。あの病原体でもある「ウイルス」は。
彼ら第六世界では、そう認識されていた。
ウイルスというモノの増え方をご存知ですか?
あれはウイルス自身の細胞分裂ではありません。
ウイルスは、忍び込んだ他の生物の細胞を材料にして、自分の分身に作り変えていくのです。
ウイルスが他の生物の細胞に忍びこむと、
そこでウイルスの体が弾けて、中にあった自分の遺伝情報をばら撒く。
そしてばら撒いた跡、
ばら撒いた遺伝情報に沿って、潜伏先にしていた生物の細胞を、前と同じウイルスの体に変換させて増殖させていってしまう。
この増殖の仕方を、
彼らアトランティスはこう捉えていたのです。
ウイルスの増殖の仕方とは、生物の『五大欲求』を「一つ」に合体させたものだとッ!
すなわち、
『食欲、性欲、睡眠欲、呼吸欲、排泄欲』。
これら五つの生理欲を一つにした現象なのだとッ。
五つある生理的欲求とは……、
実は「ウイルスの増殖の仕方」を、ただ一つの起源としていたものだったのですよ。
ウイルスの動きから枝分かれしたのですッ!
これらの欲求は。
生命とはウイルスだったッ!
そして、ウイルスは……自分だけで増えることはない。
それはつまり、
人もまた自発的に生まれることも決して無いことを意味している」
我々は……、自分で自分が発生する可否を選べない。
「用意された命は既にはびこっている。
その「一つ」とは、我々はすでに出くわした。
航空封鎖の時に見たあの「竜」です。
あの「迷い竜」。
そしてあれは「五つ目」だった。
この六つの世界が、一つの惑星上に集まった障害は顕在化しつつあり、出始めている。
偶発的な出会いが、全世界的な「不幸」を呼び込もうとしている。
侵蝕する不幸と、
侵蝕される不幸とが軋轢を生む。
侵犯。
それから救うために、これから始まろうとしているものが新世界会議。
それはもう目の前だッッ!
我々は、もう一度……。
「生命」を見つめ直す必要がある……」
ここではない遠い場所で……ブーロチを置く音がした。
この作品は4月1日に投稿していますがエイプリルフール用の作品ではありません。
しかし、完全なフィクションであることが絶対である虚構作品です。
したがって、この物語中に記述されている全ての内容の全ても完全にそれに同義です。
それ以上では決してありませんが、それ「以下」ではもしかしなくてもあると思います。