0話 出発
「はぁ、はぁ…。これも今日で終わりか…。」
俺は、一年間100km以上の距離を毎日走ってきた。
毎日のように、周りの奴らからバカにされるが、それは仕方ないといえば仕方のないことなのだろう。
俺は、物心ついた頃から1日の半分以上を、重視して鍛える必要がないと言われているステータスアップに費やした。
ただ、その甲斐あって体力は周りに比べて相当な差をつけたはずだ。
その上、貴族のボンボンしか使わないような機械を4年間ひたすらバイトして得たお金を全て使い、できる限り敏捷力もあげたのだ。
ステータスなら周りに誰にも負けない自信がある。
しかし、問題はスキルだ。
スキルが弱ければ、どんなにステータスが強くても意味がないのだから。
そして今日、いよいよスキルが授受される。
緊張するなという方が無理な話だ。
このスキルで、人生の9割以上が左右されるとも言われているからだ。
そして、俺がそんなことを考えているうちに、馬車は俺と数十人の同年齢の人達を乗せて、全く舗装されていない馬車道をガタガタ音を立てて走っていった。