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旅立ち


 平原の遥か先から上り始めた太陽はすっかりと顔を出し、俺を強いオレンジの光で照らす。傲慢かもしれない――いや、傲慢なのだろう――しかし、その光は俺の旅立ちを祝ってくれていると、そう感じた。


 魔王を倒す。そう決意が固まったのは祖母から俺が勇者だということを教えて貰ってから、一週間程経ってからだ。弱い俺にはすぐには受け入れるとこはできなかった。


 正直、未だに不安だ。不安で一杯だ。でも――。


 俺は祖母から貰った業物の剣を引き抜き、切っ先を太陽に向ける。そして叫んだ。


「唯一神ハーデ様、俺は魔王を滅ぼし、世界に平和をもたらすことを、ここに誓います」


 言い放った後、空から笑い声が聞こえた気がした。






* * * * * *







 街道を朝日に照らされながら進んでいく。向かう先は始まりの街――タート。






 いくらか歩くと街に着いた。着くやいなや、全身に鎧を着た大男から声をかけられる。


「あんた、随分と軽装だな。始まりの街だからって舐めてかかっていると、痛い目みるぞ。

 ちゃんとここにだって魔物は現れるんだからな」


「ご忠告ありがとうございます。街に着いたら買おうと思ってたんです」


「なんだ、そうだったのか。なら、オススメの武器屋はソーダのとこだな。あそこは安いし、質もいい」


「わかりました。いってみます」


「ああ、あとな。あんたの黒いローブ姿も似合ってると思うぞ。個人的にはフードを被ってないところが好評価だ」


 俺は思わず、ふふっ、と笑ってしまった。逞しい体つきをしているが、とても優しい人のようだ。

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