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推測

「はい、どうぞ。オレンジジュースとコーヒーよ。」


 そう言って桜井さんは俺達の前にそれぞれ飲み物を置き、向かい側の席に腰を下ろした。


「ありがと。」


「ありがとうございます。」


 三人とも飲み物で喉を潤したところで俺は話を切り出した。


「桜井さん、部屋で怪奇現象が起こるという事でしたけど俺が視る限りこの部屋に地縛霊が憑いているということはないですね。ですが、あなたの勘違いという訳でもありません。」


「どういうことですか?」


「今は居ませんが霊は確かにこの部屋に来ているんですよ。まぁ、部屋に来ているというか生霊があなたに会いに来ていると言うほうが正確なんですけどねぇ。」


「生霊ってそんな⋯」


 俺が自分の推論を話すと彼女は顔をあおくしてどうようした。

 この反応を見て俺は「おや?」と不思議に思い彼女に尋ねた。


「少し話は変わりますがあなたは俺の言葉を疑わないんですね。大抵の場合、ほとんどの人たちは俺の様な霊能者に事態の解決を頼む割には疑い深いんですけどね。」


「え、ああ、そういう事。実は、私の父と南さんは友人で結構付き合いが長いのよ。そういう訳であなた達にお世話になったっていう話をよく一緒に食事をした時とかに話てくれたのよ。」


「南社長の事を信頼してらっしゃるんですね。」


「ええ、家族のように思っているわ。」


 そう言って桜井さんは微笑んだ。

 その姿に俺が見惚れていると太ももを麗につねられ、慌てて彼女のほうを向くと冷たい目で俺を睨んでいた。

 その姿にまずいと感じた俺は麗の視線から逃れるために桜井さんに話しかけた。


「そ、そうなんですか。いやぁ~、そういう事なら俺達も仕事がしやすくて嬉しいですよ。この仕事で何が一番大変かっていうと依頼人の信頼を勝ち取ることですからね。じゃないと契約金の支払いでもめちゃったりするんですよ。」


「ふふ、そうなんですか?」


「ええ。っと、話を脱線させてすみません桜井さん。」


「あっ、明美で結構ですよ。それにもっと砕けた口調で構いません。代わりにあなた達の事も名前で呼んでいいかしら。」


「ええ、構いません。それでは私も明美さんと呼ばせていただきます。」


「俺もいいですよ。それじゃ、俺も明美さんって呼ばせてもらいます。」


 こうして明美さんとある程度の信頼関係を築いたところで俺達は本題に戻った。


「本題に戻りますけど明美さん、怪奇現象が起きるようになったのはここに引っ越してからですよね?引っ越しの少し前に何か変わったことが何かありませんでしたか?生霊があなたを訪ねてくるってことは相手はあなたに大分執着してるってことなんですよ。今はあまり被害がなさそうですけどこのままだと危険なことになる可能性は結構高いんですよねぇ、生霊の場合。直接あなたを狙うってことも考えられますし。」


「そんな⋯、私どうすれば⁉」


 まぁ、混乱しても仕方ないよねぇ。自分が標的なんてさ。

 取りあえず落ち着かせて話を聞かないと。


「あーけーみさん。一回落ち着いて、ね?大丈夫ですよ俺が守りますから。一回深呼吸でもして落ち着いてください。吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー、落ち着きました?」


「すぅー、はぁー、ええ、ごめんなさいね見苦しいところを見せちゃって。」


「いやいや、仕方ないですよ。知りもしない誰かに狙われてるなんて。

 落ち着いたみたいですしさっきの質問に答えてもらえますか。」


「そうねぇ、ここに入居する少し前だと⋯⋯あっ」


「心当たりが何かあるんですね?」


「あるにはあるのだけど⋯」


 明美さんには心当たりがあるようだが目をさまよわせ言い淀んでいる。

 いいにくいことなんだろうか?

 すると今まで黙っていた麗が明美さんに話しかけた。


「明美さん言いにくいことかもしれませんが話していただけませんか?さっき所長が説明した通りこのままではあなたにとって危険です。守秘義務も守りますので。」


「そうね、あなた達なら誰にも漏らさないでしょうし⋯実はここに引っ越す少し前、2年前に別れた恋人が訪ねてきたの。その時は年度末のうえ引っ越しの準備もあって忙しかったし、私にも悪いところもあったけれど彼のほうから好きな人ができたから別れようと言われたのもあって無視しててそのままさっき質問されるまで忘れていたの。」


「あ~⋯好きな人ができて明美さんと別れたはいいものの恋人とうまくいかなくなってあなたに復縁を持ち掛けようとしてるって感じかな?」


「可能性は高いと思います。明美さん、他には何かありませんか?」


「⋯ないわね。」


「それじゃあ元恋人の線で調べますか。」



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