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ある春の日

 暖かいなぁ。4月に入ったばかりだから朝方は寒かったけど、日が高くなると過ごしやすいもんだ。やっぱり春はいいね。昼寝でもしようか。」


「なにバカなこと言ってるんですか。出社してから所長はネット小説を読んでいるだけで仕事なんて何もしていないでしょう。疲れる要素がありません。」

 

 あれ、ついに完璧超人の彼女は読心術まで身に着けてしまったのだろうか?

 そんなことをかなり真面目に思いながら振り返ると、黒いロングヘアーのクールな美女が俺を睨んでいた。


「すごいね、麗。ついに読心術までも習得したのかい?」


「声に出していましたよ。事務仕事を所長にしてもらうのは諦めましたからせめて起きていてください。」


「そうは言ってもねぇ~、こんなに暖かくて気持ちのいい日は寝るにかぎるでしょー。それに朝からずーとネット小説読んでるから目は疲れるし、肩もこったしねー。」


「子供ですか、あなたは。はぁ~。それより、南不動産から依頼が来てます。」

 

 俺の発言にあきれながら我が社唯一の社員である藤宮麗が依頼の報告をしてきた。


「南さんからか~、あの人も大変だね。4月に入ってまだそんなに経ってないのにもう今回で3件目だよ。まぁ、うちが儲かるんだから文句はないけど。まったく、デキル男はつらいね~。

 じゃあ、早速南さんの所に行こうか。先に下へ行って車出してるね~」

 

 そう言って俺は席を立ち、車のカギを指で回しながら部屋を出た。


 


 湊調査所⋯それがうちの事務所の名前。

 調査所と名乗っているが別に探偵の真似ごとをしているわけじゃなく、心霊現象を解決するのが仕事だ。たまに浮浪者や不良達が原因だったりするのだが⋯。

 うちの事務所は主に不動産物件に憑いている地縛霊の浄霊を主にしていて、霊能者達の間では葬除屋そうじやと呼ばれそこそこの知名度を誇っている。

 

 社員は所長である俺とアシスタントの藤宮麗の二人だけ。役割分担としては、俺が浄霊でその他の仕事は全て麗に丸投げ。

 つまり、俺は所長とは名ばかりの脳筋の麗が居なければ自分の事務所について何もできない男なのだ。

 そんな残念男こと俺の名前は湊総司、22歳独身、身長175㎝、容姿はそこそこ良いと思った時期もあったが麗曰く中の中のちょい上。そんな平凡な俺の特別こそが超一級の霊能力。

 見える、喋れる、触れる、気配察知、痕跡視認、そして何より善霊・悪霊関係なく浄化する力。

 

 そして、俺をサポートして事務所の経営をしっかりとしたものにしたのが藤宮麗だ。

 年齢は26歳で独身、有名国立大学を卒業した才女。

 身長166㎝で黒髪ロングの冷たい感じの美女。

 麗とは彼女が大学生の時に心霊被害にあっていたのを助けて以来の付き合いで、一応恋人関係。

 

 そして5年前、麗が大学を卒業したのを機にこの事務所を二人で開いた。




 エンジンをかけ、運転席でぼ~としていると助手席の扉が急に開き俺はビクッとした。


「ねぇ、気配消して近づいてくるのやめてくれない。そのうち俺心臓発作とかで死んじゃうよマジで。」


「7年も付き合ってるんだからいい加減慣れてください。ほら、出発しましょう。安全運転でお願いします。」


「了解しました~。」

 

 そして、俺たちは南さんの事務所に向かった。 

 

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