逆悪役令嬢
初投稿! 三人組の中の一人、キジです!よろしくお願いします!
わたくし、アリア・エリザベスは、元々公爵家の一人娘……時に花の様にと呼ばれ、あるいは蛇とも呼ばれた女。
そんな私には、一人の許嫁がいましたわ。この国の王子、ウィリアム殿下。幼い頃憧れておりましたわ。
それも、ただ、純粋な憧れで済んで居た……あの頃、までは……
あれは、ウィリアム王子殿下の16歳の誕生日に起こりましたの。
王宮で開かれた、絢爛極まるパーティー。そこに連れて来られたのは庶民の娘……
そして、その娘と王子の目があった時、わたくしと、わたくしの家の崩壊は始まった。
「ちょっとメアリー! ここの埃、落ちておませんでしてよ!?」
「ッ! 申し訳ありません! アリア様! ただいま!」
「……はあ、掃除もまともにできないだなんて、一体、どんな教育を受けてきたのかしら」
「ッ……申し訳、ございません」
悔しそうにうつむくメアリーを尻目に、わたくしは部屋を出ましたわ。
……気に入らない。
何もかもが、気に入らない。最近、何かにつけてウィリアム様はあの庶民の娘を気遣っている。
昔から、昔から、あの方を知っているのはわたくしの方だというのに、あの娘も、それを受け入れいる。
「ちょっとそこの子豚さん!……あら、失礼? 豚さんだと思ったら、お前だったのね、メアリー、あまりに豚そっくりだったので、間違えてしまったわ」
「あら本当、エリザベス様の言うとおり、ドブの匂いがすると思ったら、メアリーさんじゃあないの」
「ええ、本当。庶民風情がこの王宮でお働きになるだなんて、何様のつもりなのかしら」
わたくしと取り巻きの、メアリーいじめは、日常茶飯事。
それが、1年もしたころ、ついに、それが起こりました。
「おい!エリザベス!お前、いつもメアリーをいじめて……何様のつもりだ!」
その一言があってから、メアリーのそばにウィリアム殿下がつかれることが多くなりましたわ。
それをよく思われなかったのが、国王陛下でした。
「なあ、エリザベス。最近、わしの息子があの庶民の娘首ったけとのことだが、実際どうなのであろう?」
わたくしは、この陛下の言葉にしめた、と思いましたわ。
「ええ、陛下。しかし、悪いのは、殿下ではなく、あの娘、メアリーのせいでありますわ。事もあろうにメアリーは、庶民の分際で殿下をたぶらかしたのでありますわ」
「なんと!?」
わたくしの言葉に陛下の目が鋭くなります。わたくしは、心の中で口角が上がるのを抑え切れませんでした。
しかし、その数日後、何があったのでしょうか、わたくしは、投獄されました。
「なぜ!なぜですの!ウィリアム様!」
「何故、だと?自分の心に問うて見ろ!貴様がメアリーに冒した非道の数々!父上への讒言。もう、許すことはできない!」
そして、そのまま、王子は牢獄をでていきました。それが、わたくしがみた、最後の陽の光……
その一月後、わたくしは牢獄の中で罹患した肺炎によって、間も無く死ぬ事とあいなったのです。
わたくしの最期に思ったことは、王子への変わらぬ愛と、それ以上の、メアリーと王子への憎しみでした……
「た、田中さん、プリント……」
「あら、ありがとう、美咲さん。貴方はいつも真面目に出してくれるから助かりますわ」
わたくしは、いつも通り委員長としてプリントを集めています。
「た、田中さん!はい!オレもプリントやってきたよ!」
「あら、翔真くん。どうもありがとう。いつも遅いのに珍しいのね? あ、半径一メートル以内に近寄らないでくださる?」
あの日、わたくしは、生まれ変わったらしい。それも、元々わたくしが居た世界とは違う、もっと便利な世界に。
「あ、あの、田中さん? ひとつ、きいてもいいですか?」
「え? ええ、構いませんけど、どうしたの?」
「田中さんは、翔真くんのことが嫌いなの?」
正樹 翔真くん。わたくしの通う、小学校で一番人気の、見目麗しい、男の子。スポーティで、あと数年もしたら、精悍な顔立ちになるだろう、女子からの人気も一番の男の子……
「そうね、得意、ではないかしら」
あの時、ウィリアム殿下に裏切られた、あの日から。わたくしは、どうしてもかっこいい男の人が苦手になってしまった。
今のお父様も、なぜか最近よく声をかけてくれる先輩や、1年年下の後輩も、幼馴染も。
どうしても、心を開く事ができない。
「ですから、わたくしはあまりそういった方々に声をかけていただきたくないのですわ!」
そんなことを言ったわたくしが、否応無くそういった方々に巻き込まれて行くのは、まだ先の話……
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