第一話〜始動〜
そこは暗い場所だった。まるで目をつぶっているかのように暗い場所、何の輝きもない夜空のように静かである。すると突然、
『ねぇ、君はこの世界を救いたいと思うかい?』
この場所では考えられない大人びた声が前の方からした。
それは、普通の高校生である篁 蘭にとっては、難しい問題だった。
第一章 〜始動〜
〜ピッピッピッピッピッ…〜
部屋中にこだまする目覚まし時計の音で篁 蘭は、布団から起き上がり、朝から重労働をしてくれたそれに停止の命令を自らの手で下した。今日は4月8日、学生にとってのゴールデンウイークである春休みが終わり、勉強が再開される日である。
軽く背伸びをしながら寝室出て、階段を降りていく、誰もいないリビングを素通りして奥のキッチンに行きいつものように支度にはいった。
小さい頃から両親ともに仕事づけだったので家事全般は、全て自分で行っている。
軽く朝食を済ませて、制服に身を包み。玄関を出てすぐ近く見知ったやつがいるのがわかった。あっちは、出て来たと分かるなり声をかけてきた。
「蘭、早く行くぞ。」
その凛とした声を聞いてから蘭は手を軽く挙げながら返事をした。
「はいはい、いつもすまんな文花。」
浴月 文花は、それを見て若干不満げな顔を作ったがいつものように横に並んできた。 保育園からの幼なじみで小、中、高校と同じところに通っている。
「今日から、二年生になるが蘭は目標とかできたのか?」
「そういえば何も決めてなかったな。」
う〜ん、と悩みだす蘭に少し不安げな様子で見降ろしていた文花が、
「いや、ないならないでよいのたぞ。」
と慌てた様子で言ってきた。そうか、と蘭が答えたのを見て、ホッとしたように胸を撫で下ろした。
「あ、そうだ。」
「なんだ。」
「今日は、文花部活だろ。晩飯作っとこうか?」
「本当か?…あ、いや、そういうわけにはいかん。大丈夫だ。その位私がなんとかする。」
「そっか?じゃあ任せたぜ。」
どちらの両親も仕事が忙しく、蘭も文花も家事などは自分で出来る文花が忙しい時は蘭が時々作ったりしていたが、この頃は、文花も作り始めている。どうしてだろう、と蘭は考えていたが、そうこうしている内に学校についていた。
「それじゃ、晩飯よろしくな。」
「ああ、まかせろ。」
そんな挨拶をして教室に向かうと、
「なんだ、朝っぱらからデートかよ。」
そんな声が教室から聞こえた。
蘭は、その知りありにため息混じりで答えた。
「そんなんじゃねいよ、駄々の世間話だっつうの。」
すると、開山 建琉 がニヤニヤしながこっちに来た。
「いいよなぁ、蘭は彼女がいて。俺もそろそろ欲しいなぁ~彼女」
それニヤニヤしながら言うことか、と思いながら席に着いた。
そんな時にも、建琉からの文句は続いていた。
「なぁなぁ、俺にも女子紹介してくれよ〜。なぁいいだろ〜。」
「はいはいそうですね〜。」
そんな会話をしているとチャイムがなった。
「おっと、じゃ続きは放課後な」
「はいよ。」
ため息まじりに返すと、建琉が席に戻った。その時、教室のドアが開けられた。
「遅れて済まない、少し会議が長引いた。」
登場したのは、去年からこの学校に就任した。熱血漢溢れる男教師、日翔先生だった。
「今日から一年間よろしく頼むな。」
そんなこんなでホームルームは、始まった。
帰りのショートホームルームが終わると蘭はいつものように一人で学校を出て図書館へ向かった。蘭たちが通う西高は、市立図書館に近く、多くの西高生が利用しているが蘭もそのうちの一人である。
いつもの奥の方の机に荷物を起き前読みかけてた本を、探しに行った。すると、
「あれ、ここのはずだけどなぁ。」
そう言いながらいつもの場所になかった本を探すことにした・・・・・・・。
「あったあった」
と結構奥の方に移されてるそれに手を伸ば…そうとしたが何故かその本の上にある本に目が止まった。何故かはわからない、ただ一つ言えるなら、その本が青白い光を出しているように見えたと思う。目的の本に動いていた手をその謎の本に向きを変えた。それをてにした瞬間、視界が青色に染まった。
そこは暗い場所だった。いままでいた図書館とまるで違う空間である。まるで、めをつぶっているかのように暗く、夜空のように静かだった。
『ねぇ、君はこの世界を救いたいと思うかい?』
突然、前?から声がかかったのである。その声には、なにか大人びたような声がしたが、男なのか女なのかはっきりしない。
「きみは?」
『ぼくのことは君が質問に答えたら教えるよ。』