懐かしい風と雨の匂い
私は昔から風を感じるのが好きなんですが
その中に【懐かしい風】っていうのがあって……
言葉で表現するのは難しいんですけど
その風を身体に受けると
記憶の中に眠っている“何か”が呼び起こされるような
――そんな不思議な感覚がして――
それは、連綿と血で受け継がれる先祖の記憶なのか?
それとも己の前身の記憶なのか?
定かではありませんが……
それが、その風を【懐かしい】と感じさせるのかもしれません。
地元を離れて生活するようになって(以前――五年程、地元を離れていた事がありました)
環境に慣れるのに精一杯だった所為か、日々が慌しく過ぎていきましたが
ある日
(あっ、あの風だ!)……と。
そうっ! 地元で感じていた【懐かしい風】が其処にも吹いていて
(久しぶりだなあ~)
と感動に浸っていたら、一人の先輩が
「ああ、【懐かしい風】が吹いてる!」
って仰ったんですね。
(私と同じ事を思ってる人が居る!)
……って、凄く感動したのを憶えています。
異性なら間違いなく惚れてましたね。
残念ながら同性でしたけれども。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この前、突然雨が降ってきた時
弱い雨だったので、雨音が聞こえた訳ではなかったのですが……
「あっ! ……雨が降ってきた!」
と私が言ったら、傍に居た主人が
「えっ、雨? 何で分かったん?」
と聞くので
「雨の匂いがした」
と答えたら
「雨に匂いがあるんか?」
と不思議そうに言うので
「うん、あるよ。湿った土の匂いと葉っぱの匂いが混じったような……」
と説明したら
「お前は犬かっ!」
と思いっきりバカ(?)にされました。
人により感覚は様々だと思いますが……
五感で自然を感じるのは素敵な事だと思います。