Story memoryⅩ
(フレア視点)
…気のせいだろうか。一瞬だけ、あの人の気配がした気がした。
カーディ「…どうかしたか?」
フレア「…いや、何でもな…」
懐かしい声がした。…そんな気がした。
「はい、これだね」
「ありがとおにーちゃん!」
「もう放しちゃ駄目だよ」
カーディ「…あんな奴いたか?」
フレア「……?」
あのマントを羽織った男…いや、青年か少年ぐらいか。
まったく、気配が感じ取れない。
「…!」
どうやらこちらの視線に気がついたらしい。
少しだけ口元が見える。その直後だった。
「…__」
フレア「…えっ…?」
カーディ「…!?」
あの口の動き。あの手を口元に持っていくクセ…もしかしたら、いや…もしかしなくても…
フレア「まっ…待って…!」
…この目で、確かめないと。
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…この湖畔…昔、迷子になったりしたな…
カーディ「…?」
「カーディ様ー、フレア様ー」
「いたたた…」
「探しましたよー」
「あれ?皆どうしたんだ?」
「すごい偶然だねー」
「…」
…なんか、一気に賑やかになったな。
カーディ「…リーフ、ライト、アクア。門の方に行くって言ってなかったか?」
アクア「…色々あって、僕は一度抜けましたが、戻ってきたら例の黒龍に乗った男がいて」
カーディ「…例の黒龍?」
アクア「…聞いてなかったんですか?」
…呆れられてるな。
話を聞くと、あの人の黒龍らしき龍に乗った男がいたらしい。
…そんなまさか…だが…
「…『全てのものには、光と闇が存在する』」
フレア「…!?」
ライト「誰!?」
リーフ「こんな時でも女々しい…」
この詠唱…いや、そんなまさか…
「…『影は光に近い闇。我らは影を扱う者…』」
アクア「…」
「キューイ!」
…幼い頃よく乗せてもらっていた…あの黒龍と同じ、懐かしい鳴き声。
泉の方から、突然風が吹いてきた。
…振り向くと、あの黒いマントを羽織った少年が黒龍とともにいる。
カーディ「…誰だ」
カーディが私の前に出て、あの少年に言う。
既に剣は腰の鞘から抜かれている。
「…」
しかし、あの少年は一度こちらを見ると再び黒龍に視線を戻す。
…そして。
「…ありがとう、『シーヤ』」
「キュイ♪」
…シーヤ。
あの人が乗っていた黒龍…でもどうして…
リーフ「…どういうことだ?」
ライト「…さぁ…?」
「…驚かせてしまいましたか?…『姫様』」
フレア「…!」
間違いない…あの人だ。私のことを姫様と呼ぶ、唯一の…
フレア「…シャドウ…」
カーディ「…何?」
「やれやれ…あれほど僕やスティーリア達と指導したのに、わかってないのですか?
カーディナル様?」
カーディ「…えっ…」
あの人…シャドウだけだった。カーディのことを『カーディナル』と呼ぶのは。
私だけじゃない、皆も気付き始めた。
…そんなタイミングを見計らったかのように、ある声が聞こえてきた。
「どー?、シャドーウ?」
シャドウ「…ゲッ…」
今『ゲッ』って言ったか?
ということは…
「久しぶりだねーぇ、カーディ?」
カーディ「…兄上」
タンジャリーン・フレイムバレット。
つまり、カーディの兄で私のお義兄様。シャドウが唯一苦手な存在らしい。
シャドウ「…タンジャリーン様」
タンジャ「んー?」
シャドウ「…今更ですけど…この姿の意味は」
タンジャ「特にないよ?」
シャドウ「…そうですか」
カーディ「…『この姿』というのはいった…
……!?」
タンジャ様がシャドウにフードを被せたかと思うと、シャドウの姿が変わっていた。
リーフ「…あー!!」
ライト「門の前の人…」
カーディ「知ってるのか」
アクア「…剣術で僕を敗った者ですから。それも完全に僕の癖等を見切って」
アクアはこの国で最も剣術を得意とするカーディの次に優れている者だ。
そのアクアの癖を見切り、打ち負かすとは…
シャドウ「…何故に今姿を戻すんですか?」
タンジャ「いやー、この方がシャドウも話し易いかなって。結果的にはどっちもどっちだね、あははー」
シャドウ「あははー。って…はぁ…」
アクア「…」
タンジャリーン・フレイムバレット
カーディナルの兄。性格は飄々としてる、あとドSだったりする。少年期によく弟置いて城を脱走した。
シャドウが苦手としていた理由はやたら絡んでくる事、真面目なのかふざけているのか分からない、酷い事をしても全部許そうとすること…等々。




