Story memoryⅨ
ファイ「…あの方が会いたがっている、『シャドウ・トワイライト』と会わせるには…
…『僕』が直接、あの方に会いに行かないといけないのに…」
自分でもわかるぐらい混乱して、その状態でシャドウとしての魔力を戻した。
感覚としては、シャドウだった頃に近い。
アクア「まさか…だ、だが…仮に貴方がシャドウ殿だとしても…!」
ファイ「『20年前と変わらない姿なのか、そしてシャドウ・トワイライトはあの日亡くなった筈』。
…言いたいことはだいたい分かるよ」
チラッと二人を見ると、僕の意思に気がついたのか黙って頷いた。
ファイ「…良いよ。全部、君に話してあげる」
──あの日、君達も知っての通り…僕は姫様を守って死んだ。
でもシュテや姫様、君達が心配で…暫くこの世に留まった。
あの悪夢の本…魔道書【ナイトメア】に触れるまでは。
君なら知っているかもしれないけれど、あの本は人の心に『闇』をもたらす本だ。
それに気付いた時にはもう遅かった。
『影の王』。僕は影一族の者…光に属する闇でありながら、闇に君臨した。
そして何百年もの時…待った。君達が…あの方が生まれ変わった存在を。
その時はただ、力が欲しかっただけかと思ってたけど…本当は止めてほしかったのかも知れない。
…僕は沢山、未来の君達に酷い事をした。
信じてくれないかも知れないけど、君に結構色々と言われたよ…あ、土下座しようとしないでくれる?……冗談だから、うん。
その後、君達のおかげで目が覚めた。…しばらくは、王子君と影がリンクさせられて…まぁ、色々あって、何の未練もなくなったからその後はちゃんと成仏した。
それから、少し経ったぐらいかな。
僕…ブライトとディアマもだけど、ある科学者…マスターの実験として、選ばれた。
『死者蘇生』…禁断の実験さ。
アクア「『死者蘇生』…?……まさか…」
ファイ「…ナイトシェイド国、国王ブレイブ・トワイライト。妃ディアマリア。
…つまり、シャドウだった時の父上と母上さ」
ブライト「…」
ディアマ「…」
フィー「…」
ファイ「……二人共、無言やめてくれないかな」
ブライトは『時空操作能力』。
ディアマは『能力模擬』。
俺は『物質変換・具現能力』。
それぞれ能力を与えられた。
マスターは、やっぱりしてはいけない事として、実験を中止。
…ちなみに、マスターはフィーの祖父。
まぁ、中止の原因になったのも…ある意味俺のせいかな。
ブライト、ディアマ。二人は記憶はちゃんと残っていたけど…俺にはなかった。
マスターは大切な誰かを蘇らせたかったらしいからね、記憶がないリスクがあったから…かな。
…俺として目覚めてから、フィーに名を貰った。
『ファイ・リュミエール』…それがそうさ。
アクア「…ナイトシェイド国、古代語源で、ファイは兄。リュミエールは…」
ファイ「記憶。…シュテは本が好きだったからね。
俺に思い出してほしかったんだろうね」
フィー「…」
…それから、しばらくは研究所にいた。フィーが俺になついていたからね。その時は疑問だったけど。
でも…
別の実験中、何か不具合が起きたらしく…俺とフィーは、ブライトに別の世界へ逃がされた。
その時だよ。
ルビーに会ったのは。
…ルビーは、本当に幼い頃の姫様そっくりのお転婆姫だったよ。…おかげて俺の記憶は、次第に戻った。
一週間前、姫様が『大切な人の墓』と言ったその場所にあったシャドウの像を見て…全部思い出した。
そんな時──
ファイ「…この手紙が、組織に届いた。依頼書としてね」
…差出人は無かったけど、内容を見ればすぐに分かった。
その言葉は黙っておこう。
アクア「…」
ファイ「…最初、ここに来ることには迷った。
でも……仲間に背を押されて、向き合おうって思った」
……来世の、二人の曾孫に言われたら余計、ね。
ま、彼の血縁も多少混じってるけど。
アクア「…」
ファイ「…でも、もう良いんだ。姿が変わって…
…何より、目の前で死んだ人間が現れても…信じてくれるとは思えないし」
アクア「…シャドウ殿…」
ファイ「…なんか、悪かったね。こんなことに付き合わせて」
…本当は、怖いんだ。
俺が俺じゃなくなるような気がして…
「──そんな簡単に逃げるのかい?シャドウ君」
ファイ「…!」




