Prologue
ダイアモンド・ファイア。通称…赤き盗賊団。
団員は、チームリーダーであるルビー・フレイムバレットにより色々な世界から集められた少年少女たちで結成されている。
…何、私は誰か?…そういえばこうしてこういう風に話すのは久々だったな。
文月カレン。そういえば貴方にも分かるだろう。
実をいうと、このシリーズは基本私が担当している。まあ、当たり前だが。
作者名が『文月カレン』でないのはただ単に、作者が面倒くさがりだからだ。
…さて、今回はあの二人かの話をしようか。
昔、私が入る前にこんな話があったらしいな──
──ある日のダイアモンド・ファイア
その日、依頼を終えた彼らは各自の部屋で休んでいた。
…ただ一人、ファイ・リュミエールを除いて。
時計は既に彼らの居る世界での「PM 11:21」を示しているが、眠る気配はない。
ファイは手紙を読むことに集中しているからだ。
普段の飄々とした態度はなく、文面を見る瞳は黒く淀んでいる。
まるで、触れてほしくない過去を触れられているような…
ファイが手紙を読み終えると、微かに足音と話声が聞こえてくる。
声と足音からしてロートとガーネットだろう。
「なぁガーネットちゃん」
「なぁにロートちゃん」
「たまーに気になるんだけどさ、ファイって何であんな飄々としてんだろうな。なんていうか…兄ちゃんとはまた違う、ポーカーフェイス的な感じ?」
「うーん。…確かにあんまりニコニコとしてる顔以外は見たことないかも」
「だな。…あ、そういや今朝さ。依頼書の中に手紙が混ざっててさ、なんだろなーって思ってたらファイが見てて…その時の顔が、一瞬別人みたいに見えてビックリしたんだ」
「そうなの?…そういえば先週、お仕事でサンプロミネンスに行ったことあるでしょ?」
「ああ、行った行った。…あ、確か急にファイがぶっ倒れたんだったっけ。…えっと、なんかあって」
「お母様と誰かのお墓に行って…私達のちょっと上ぐらいの年で亡くなったーとか話してる時にじゃなかった?」
「おーそうだそうだ思い出した。確か、頭を押さえながら倒れたんだった」
「うーん、あれ何だったんだろうね」
「うーん、ファイは色々と謎が多いぜ…」
「…ロート、ガーネット。こんなところで何話しているんだ」
「ゲッ、兄ちゃん」
「お姉ちゃんも…」
「ロート。ゲッって何だよ」
「…懐中電灯に工具類…あ、兄ちゃんまた遅くまで点検してたんだー」
「…」
「はいはい。もう遅いんだから早く寝る」
「「はーい」」
「…分かってる」
四人の会話を聞いて少し笑みを浮かべるが、やはり目が先程と変わらず。
ファイ「…俺も、そろそろ寝ないと」
そう呟き就寝した。
時計は「PM 11:30」を示していた。