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08話:エレノアと仲直りをする

「ん……あ、れ……?」

「あ、起きたか? エレノア」

「え……って、ふぇっ!? に、にいさま!?」


―― ガバッ!


 目を覚ましたエレノアにそう声をかけていくと、エレノアはガバっと身体を起こしてきた。


 そしてエレノアはそれからすぐに俺の事をじっと見つめながらホッと安堵した表情を見せてきた。


「あ、あぁ……にいさま……良かった。御無事で……」

「心配かけちゃってごめん。あ、それと包帯も巻いてくれてありがとう」

「いえ、そんなの全然大丈夫です。と、というよりも兄さま! な、なんであんな無茶をしたんですか!? もしかしたら兄さまは死んでしまったかもしれないんですよ……」

「何でって言われても……そりゃあ妹を助けるのはアニキの役目だからな。だからエレノアのためなら俺は命がけでエレノアを守ってやるさ」

「そ、そんな……私のために命を賭けれるって……そ、そんな訳ないはずです……だって私は……兄さまに今まで酷い態度をずっと取っていたのに……それに兄さまだって私の事が嫌いだったはずじゃ……」

「あ、あぁ、まぁそうだよな。今までずっとエレノアには酷い態度を取ってたからそう思われるのも仕方ないよな。でもエレノアにこれだけは言っておきたいんだ。俺はエレノアの事を嫌いだなんて思った事は……一度もないよ」

「……え? そ、そんな……う、嘘です。そんなの……」

「いや、嘘じゃない。本当に俺はエレノアの事を誰よりも大切だと思っているんだ。だから今日はエレノアが傷つけられず無事でいてくれて……本当に良かったよ……」

「え? あ、に、にいさま……」


―― ポンポン……


 俺はそう言いながらエレノアの頭を優しく撫でていった。するとエレノアはビックリとながら俺の事を見てきた。


「え……えっ? に、兄さまはその……わ、私の事を……大切だと思って下さっていたんですか……?」

「あぁ、そうだよ。でも今までの俺は幼稚だったから、エレノアに本心を伝えるのははちょっと恥ずかしくて……それでちょっかいをかけたりしてたんだ。そしたらエレノアが俺の事をずっと見てくれると思ってさ。だから今まで間違った対応をしちゃってごめんな……」

「そ、そうだったんですか……で、でも……どうして私の事を大切だと思って下さっていたのに……それなのに毎日のようにちょっかいをかけてたのですか?」

「ふふ。エレノアお嬢様。男の子というのはですね……ふふ、大好きな女の子に対してちょっかいをかけてしまいたくなるものなんですよ」

「え……って、えっ? ふ、ふぇぇええっ!? だ、大好きな女の子っ……!?」


 セバスが笑みを浮かべながらそう言うと途端にエレノアは顔を真っ赤にしていった。そしてエレノアは顔を赤くしたまま俺に向かってこんな事を尋ねてきた。


「え、えっと、その……に、兄さま? 今のセバスの話は本当なのですか? 兄さまはその……私の事が……だ、大好きなのですか……?」

「ん? あぁ、もちろん。エレノアの事は大好きに決まってるだろ。だからこそ大好きなエレノアのためなら俺は命を賭ける事が出来るのさ」

「ふぇっ……? に、にいさま……そんな真っすぐな目で……そんな熱い御言葉を私に……」


 俺はエレノアの事をしっかりと見つめながら俺はエレノアの事が大事だと伝えていった。だってエレノアは家族なんだから大好きだと思うのは当然の事だ。


 でも俺がそう言うとエレノアは先程よりもかなりビックリとした顔をしていった。そしてそれからすぐに……。


「ぐすっ……そんな……に、にいさま……う、うぅっ……ぐすっ……」

「えっ? どうしたんだエレノア? もしかして怪我でもしちゃったか?」

「ぐすっ……い、いえ、私……兄さまの事を……勘違いしていました……兄さまが私の事をそこまで深く愛して下さっていたなんて知らなくて……それで……今までの自分の愚行に恥ずかしくなって……それで……涙が……止まらなくなって……うぅ……」

「あ、あぁ、なんだ、そういう事か。まぁでもそれは今まで俺がエレノアに酷い事をしてたのが全部悪いんだ。そして俺は今までエレノアに申し訳ない事をしたと本当に思っているんだ。だからこれからは心を入れ替えて……これからは俺はエレノアの事を全力で守り続けていくと誓うよ」

「ぐすっ……え……にい、さま……?」


 真剣な表情をしながらそう言うと、エレノアはとろんとした瞳になりながら俺の事を見てきた。そしてエレノアは俺に向かって再度こんな事を尋ねてきた。


「……それは本当でしょうか? 私の事を兄さまが守ってくださると誓うというのは……つまり兄さまは私の事を一生守ってくださるという事でしょうか……?」

「あぁ、もちろん。エレノアは大事な妹なんだ。だからどんな事があっても俺が必ず一生守るよ。エレノアのためならどんな事があってもいつでも駆けつけてやるよ」

「……嬉しいです。にいさま……ありがとうございます。それじゃあ改めてになりますが……不束者な私ですが今後とも末永くよろしくお願いしますね。にいさま……ふふ……」

「ん? あ、あぁ。よろしくな」


(な、なんか最後の言葉……ちょっとだけ違和感があった気が……)


 何だかエレノアは最後に含みのある言い方をした気もするけど、まぁ俺の気のせいだな。何だか結婚前の挨拶みたいな感じにも聞こえたけど……まぁ気のせいだな。


 という事でこれでエレノア救出の件は一件落着となった。そしてそれからすぐにセバスは俺にこう言ってきた。


「そうだ。坊ちゃま。これはちょうど良いタイミングじゃないですか? そういえばエレノアお嬢様にお渡しする物があるんじゃないですか?」

「あ、そうだそうだ。すっかりと忘れてたよ。伝えてくれてありがとうセバス。それじゃあエレノア……はいこれ」

「えっ? あ……こ、これは……!」


 セバスにそう言われて俺はすぐにポッケに入れてたエレノアの大切にしてたアクセサリーを手渡していった。


「え、も、もしかして……兄さまが……これを……直してくださったんですか……?」

「そうだよ。改めてになるけどエレノアが大切にしてたアクセサリーを壊しちゃってごめん。それと頑張って接着剤を使って直したんだけどさ……でもやっぱりどうしても継ぎ目がガタガタになっちゃった。綺麗に直せなくて本当にごめんな。エレノア……」

「兄さま……いいえ。そんな事は気にしませんよ。直してくれただけで凄く嬉しいです。だから兄さまが直してくださったこのアクセサリー……私、一生大事にしますね……」

「そっか。エレノアにそう言って貰えると嬉しいよ」

「はい。兄さまが一生懸命に直してくださったんですからこれからも一生大事にしますよ。ふふ……だから本当にありがとうございます……兄さま……」


 アクセサリーを受け取ったエレノアは柔和な笑みを浮かべながらそう言ってきてくれた。という事でこれでようやくエレノアと仲直りが無事に出来たのであった。


 というよりも、もしかしてなんだけどさ……。


(あれ、というかもしかしてさ……俺たちの家庭の問題はこれで全部クリアしたんじゃね?)


 俺が真面目になった事で屋敷の人達や家族とも和解が出来ているし、今日はついに難攻不落だったエレノアとも和解が出来たんだ。


 さらに今日でエレノアの闇堕ちフラグも完全にぶっ壊す事が出来た。これで俺が敵キャラとなって主人公たちにやられて処刑される事もないし、エレノアも厄災の魔女となってこの世界をぶっ壊そうとしなくなるって事だ。


(という事はつまり……俺はもうあの地獄のスパルタ式トレーニングを卒業しても良いって事だよな!)


 これで俺が処刑される未来が完全になくなったのなら、もうスパルタ式トレーニングなんて卒業するに決まってる! マジであのトレーニングから解放されるなんて嬉しすぎるよ!!


(ふへへ、それじゃあ明日からはスパルタ式トレーニングの代わりに何をして過ごしていこうかな?)


 あ、そうだ! それじゃあせっかく異世界転生をした事だし、明日からはスローライフ人生を歩む計画を始めていくとするかな! やっぱり異世界転生と言えばスローライフだもんな!!


「ふ、ふへ……ふへへぇ……!」

「? どうなされたんですか、兄さま?」

「ふへへぇ……って、えっ? あ、い、いや、何でもないよ! エレノアを助けられて嬉しいなって思っただけさ! こんなにも綺麗なエレノアが傷つけられなくて本当に良かったよ!」

「ふぇっ? あ、そ、そうですか……! ふふ、兄さまに綺麗だって言って貰えて嬉しいです……」

「……ふふ、兄妹愛が素晴らしいですな。そして坊ちゃまとエレノアお嬢様が仲直りが出来て本当に良かったです。それでは坊ちゃま。私からも改めてになりますが……御無事で何よりでした。そして義妹のエレノアお嬢様を全力でお守りしたなんてとても立派な事です。私は坊ちゃまの従者になれてこんなにも誇らしいと思った事はありませんよ」

「あぁ。ありがとうセバス」

「はい。ですが賊相手にこんなにも大怪我を負ってしまうなんて、まだまだ鍛錬が足りない証拠です。これでは今後これから一生エレノアお嬢様を守るなんて到底無理でございますよ?」

「セバス?」

「という事で坊ちゃまの怪我が治り次第……これからはもっとスパルタな地獄の訓練を追加させて頂きますね!」

「え……って、は、はぁっ!? い、いや何でだよ!?」

「? 坊ちゃまが先ほど言ったじゃないですか。坊ちゃまはエレノアお嬢様の事を一生守ると言いましたよね?」

「えっ? い、いや、それは確かに言ったけど……」

「そうですよね。ですが今の貧弱な坊ちゃまではエレノアお嬢様を賊や魔物などから守り切るのは到底不可能だというのが事実です。ですからこれからはさらに地獄のトレーニングを増やしていって、どんな事があってもエレノアお嬢様を守れる素晴らしい肉体を手に入れましょう!」

「え……は、はぁ!? じ、地獄のトレーニングを増やす!? えっ!? い、いや、ちょっと待ってよ!? そ、そんなの俺死んじゃ――」

「あぁ、兄さま……私のためにそんな事をしてくださるなんて……ふふ、こんなにも素敵な兄さまを持ててエレノアは幸せ者です……」

「えっ!? ちょ、ちょっと!? エレノアさん!?」

「ふふ。私もエレノアお嬢様と同じく、先ほどの坊ちゃまのエレノアお嬢様を助けたいという気持ちにセバスも胸を打ちました。ですから私も全身全霊を込めてエレノアお嬢様をお守り出来るように最短で強くさせてあげますぞ! という事で……坊ちゃま! これからも毎日地獄のスパルタトレーニングを楽しんでいきましょう!」

「えっ……い、嫌だ……嫌だって!! こ、これ以上の地獄のスパルタ式トレーニングは……もう嫌だぁぁあああああああああっ!!」


 という事で俺は全力でそう叫んでいったのだけど……でもセバスは俺の叫びは完全に無視して、これからも毎日地獄のスパルタ式トレーニングを施されていくのであった……。

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