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21話:クロウズ・エルフォルン

 “クロウズ・エルフォルン”とはルミナス・ファンタジアに登場する主人公のライバルキャラだ。


 性格は厭味ったらしい事を言いまくる俺様系で、主人公や友達とかに対していつも暴言を言ったりする割と酷いライバルキャラだった。


 ゲーム本編では一番最初に戦うチュートリアル用のボスキャラとして登場し、それ以降何度も戦う事になるイベントでのボスキャラだ。


 そしてクロウズは一応仲間になるキャラだ。クロウズとのイベント戦で毎回勝利し、一番最後のダンジョンで再会するクロウズとのバトルに勝利する事で仲間になる。クロウズを仲間にするには力で屈服させるという条件なのである意味わかりやすかった。


 でも逆に言うと今までのイベントのクロウズ戦で一度でも負けた事があると仲間にならないという鬼畜仕様でもあった。


 しかもクロウズはかなり強いボスキャラ設定にされているので、生半可なレベル&装備では余裕で負けるというメンドクサイ仕様だ。最終戦ではステータスが全てカンストしてたしチート級の強さだった。


 もちろんそんだけ強いボスキャラだから、仲間になっても滅茶苦茶強いので、最終ダンジョンでもすぐに第一線で活躍してくれるキャラだった。


(でも俺は厭味ったらしいキャラはあんまり好きじゃなかったから、クロウズは仲間にしても全く使わなかったなぁ……)


 ルミナス・ファンタジアの仲間キャラは皆性格の優しい人たちばっかりなんだけど、クロウズだけは主人公のライバルキャラという事もあって、かなり厭味ったらしい俺様キャラだった。それも相まって俺はあんまり好きじゃなかったんだよなぁ。


 まぁでもあんな厭味ったらしい性格はゲームの中だけかもしれないし、この世界ではワンチャン心優しい性格な可能性も――。


「テメェ、何ジロジロ見ながら黙ってんだよ! さっさと誠意を込めて全力で謝罪しろよ! このボケが!!」

「……」


 そんな可能性は全く無かった。普通にゲーム通り厭味ったらしい俺様キャラだった。ゲーム開始時より数年前の世界だから、まだまだ性根の優しい子供だという可能性があると信じてみたけど、でもこのオラオラした雰囲気はまさしくクロウズそのものだった。


「テメェ、さっさと喋れよこのボケ!」

「……あぁ、悪い悪い。まぁでもわざとじゃないんだ。だから許してくれよ」

「ふざけんな! 誠意が感じられねぇんだよ! 本気で悪いって思ってるなら今すぐここで土下座しろやカス!」

「そうだそうだ! クロウズ様は由緒あるエルフォルン伯爵様の息子なんだぞ! そんな由緒ある家系のご子息に粗相を働いたんだから今すぐに土下座しろ!」

「そうだそうだ……って、ちょっと待てよ! ク、クロウズ様! アイツの後ろに立っている女……何だか凄く可愛くないですか?」

「ん? おぉ、確かにそうだな!」

「ん?」


 クロウズとその取り巻き達はそう言いながら俺の後ろをジロっと乱していった。俺の後ろにはエリシアが隠れている。


「おいコラ! 後ろにいる女は一体誰だ? テメェの女か?」

「俺の義妹だよ」

「妹? あぁ、そりゃあそうだよな。テメェみたいなキメェ男にこんな上玉な女が手に入る訳ねぇもんな!」

「「あはは!」」


 クロウズはニヤニヤと笑いながら馬鹿にしてきた。周りの取り巻き連中も一緒になって笑ってきた。さらに続けてクロウズは笑いながらこう言ってきた。


「はは。まぁそういう事なら話は早いな。テメェの迷惑料にその義妹を置いていけ」

「はぁ? 何言ってんだ? そんなのする訳ないだろ」

「テメェに拒否権なんてある訳ねぇだろ。テメェが俺に迷惑をかけたんだ。だから慰謝料にソイツをよこせよ。俺がその女を可愛がってやるからよ」


 クロウズはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながらそう言ってきた。エレノアの事をそういう目で見ているようだ。流石にそれは不快だ。


「兄さま……怖いです……」


―― ぎゅっ……


 エレノアはそう言いながら俺の腕をぎゅっと掴んできた。どうやら酷く怖がっている様子だ。まぁそうなるのも当然だ。こんな下卑た目で見られたら誰だって怖いに決まってる。


「大丈夫だ。エレノア。俺が付いているからさ」

「兄さま……」


 だから俺はエレノアを不安にさせないようにするために優しく笑みを浮かべながらそう言っていった。


「ぷはは、素敵な兄妹愛だな。でもテメェに拒否権なんかねぇんだよ。ほら、女! こっちにこい! 今日一日かけて俺好みの女に調教してやるからな!」


 クロウズは笑いながらそう言って腕を伸ばしてきた。流石にそれは見過ごせない。だから俺はその腕を目掛けて……。


―― ガシッ!


「なっ?」


 だから俺はそのクロウズの伸ばしてきた腕をすぐさまガシっと掴んでいった。


「おい、テメェ! 何俺の腕を掴んでんだよ! さっさと離せよコラ!!」

「俺は兄貴だから義妹を危ない目に遭わせる訳にはいかねぇんだよ。だからそういう目で見るのは止めててくれないか?」

「はぁ? テメェが俺に指図すんじゃね……って、ぐあぁっ!?」


―― ギュゥゥ……!


 俺はクロウズの腕をぎゅっと握りしめていった。もちろんある程度手加減はしてるけど。


「い、いててっ! テ、テメェ! 何しやが……って、いってぇー!?」

「義妹を守るための行動だよ。兄貴としては当然の事だ」

「なっ!? クロウズ様に何しやがってるんだ!」

「お、おいコラ! テメェ何してんだ!!」


 取り巻き連中からも怒号が飛んできたけど、俺はそれを完全に無視してクロウズの腕をぎゅっと握りしめ続けていった。


―― ギュゥゥ……!


「い、いてぇー! いてぇよ! は、はなせよ、テメェッ!」

「それじゃあ義妹に手を出そうとするのは止めるな?」

「あ、あぁ、わかった! わかったって! だからさっさと離せよ! このボケッ!!」

「はぁ、わかったよ。それじゃあ……ほらよ」


 俺はため息交じりにそう言ってクロウズの腕を掴むのを止めていった。しかしそれからすぐにクロウズは……。


「はぁ、はぁ……テメェマジで許せねぇ!」

「はぁ……お前が義妹に手を出そうとしたから悪いんだろ。というか女の子を怖がらせるなんて男として駄目な行為だろ。そういうの良くないと思うぞ?」

「うるせぇこのボケカスが! 今すぐテメェをぶち殺してやる! 炎魔法発動っ!!」

「ん? って、お、おいおい!? こんな街中で魔法をぶっ放す気かよ!?」


 クロウズはブチギレ気味になりながら唐突に魔法詠唱を始めていった。クロウズの手から炎の球が呼び出されていった。こんな街中で炎魔法を発動するなんて怪我人が出ちまうぞ……!


 という事で俺はその魔法詠唱を見て一瞬身構えていったのだけど、でもその魔法詠唱の途中で……。


「コラ! 君達、何をしてるんだ! こんな街中で魔法を発動するなんて違反だよ!」

「え?」

「ん? ……って、何だよ。騎士団の人間か。はぁ、ウゼェのに見つかっちまったなぁ……」

「あれ? 君は確か……アロウズ伯爵のご子息のクロウズ君じゃないか! こんな街中で魔法を使うなんて何を考えてるんだ!」

「っち。メンドクセェ事になりそうだな。おい、テメェら。さっさとズラかるぞ!」

「は、はい!」

「了解です!」


―― タタタタッ!


 魔法の詠唱を中断してクロウズ達は一目散に逃げていった。そしてこの場には俺達兄妹と今やって来た男性だけが取り残された。


「はぁ、全く。あの子にはいつもいつも手を焼かされてしまうな。それはそうと……君達、大丈夫だったかい?」

「あぁ、はい。大丈夫で……って、えぇっ!?」

「うん? どうしたんだい? 僕の顔に何か付いてるかな?」

「え? あ、い、いえ! そ、そういう訳じゃなくて……え、えっ!?」


 すぐに男性に向かって感謝を伝えようとしたんだけど、でも俺はその男性の顔を見て驚愕としていった。何故なら今目の前にいる男性は……。


(ま、マジかよ!? こ、この人って……騎士団長のウルフレッドじゃないか!!)


 なんと目の前にいるのはゲーム本編で一番最初に仲間になる騎士団長のウルフレッド・ツルヴァイスだったんだ。


 ゲーム本編だと30代前半の男性で、性格は柔和で温厚なキャラだ。王都の騎士団を束ねる騎士団長を務めていて、物語序盤で出会った主人公の事を優しく導いてくれる指導者的なお兄さんポジションのキャラだ。


 ウルフレッドはカッコ良くて優しいし、それに戦闘でも凄く強いキャラなので序盤で仲間になってから終盤まで第一線で活躍してくれる凄い優秀なキャラだった。


 もちろん俺も最後まで愛用していたキャラだ。そんな大好きな仲間と出会えるなんて嬉しすぎるだろ!

いつも読みに来ていただきありがとうございます。

これからは2~3日に1回の投稿となります。

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