20話:王都に到着したので軽く観光していく
それから数時間が経過した。
エレノアと楽しく話しながら馬車に揺られていると、俺達は目的地である“王都サングライド”に到着した。
「おー、ここが王都サングライトか……やっぱり大都会だなー!」
王都に到着してからすぐ、俺は辺りを見渡しながらそんな感嘆の声を漏らしていった。
俺とエレノアが暮らしていた地元は人が少ない田舎街だったのに対して王都はとても多くの人で賑わっていた。沢山の人がいるし、大きな建物も多いし、煌びやかな店も多い。いわゆるザ・大都会って感じだな。それと……。
(あはは、マジでゲーム本編と全く同じマップになっているんだなー!)
それとゲーム脳な俺はそんな事を思っていた。ゲーム本編よりもここは数年前の世界だけど、でも王都の街並みはゲーム本編とあんまり変わっていない。
こんなのゲームが大好きだった俺からしたら物凄くテンションが上がる光景だ。マジで聖地巡礼をしている気分になって楽しすぎるよ。
「ふふ、そうですね。多くの人で賑わっていますね。それにしても兄さまはとても楽しそうな顔をしていますね。そんなに王都にやってきた事が嬉しかったんですか?」
「……え? そ、そんな顔に出てたか?」
「えぇ、すっごくイキイキとした顔をされていますよ? それに目もすっごくキラキラと輝いていますよ」
「そ、そうか。そんなバレバレな表情になってたのか……俺が田舎者だって周りの人にバレそうで何だかちょっと恥ずかしいなぁ……」
「ふふ。別に良いじゃありませんか、兄さま。私達が田舎者なのは確かな事なんですから堂々としていましょう。それにこのような大都会に訪れる機会なんて滅多にないんですし、せっかくですから今日はこの街をゆっくりと観光していきませんか?」
「そうだな。せっかく俺達は王都に初めて来たんだし、今日はこのまま二人で観光をしていこうか」
「えぇ、わかりました。それでは一旦宿屋に荷物を置いてから、観光を楽しんでいきましょう。兄さま」
「あぁ、わかった」
という事でエレノアの提案に受け入れて、まずは宿屋に向かって荷物を置いてから王都を観光していく事にした。
◇◇◇◇
宿屋に荷物を置いてから少し経ち。俺とエレノアは王都の観光を始めていった。
王都はどこの地域も人が多く賑わっていて、お店や露店も沢山あってとても栄えていた。凄く活気があって楽しい雰囲気だった。
そして観光途中で美味しそうなアイス屋を見つけたので、せっかくだから二人分のアイスを買ってみた。
「ほらよ。エレノアの注文したミルクアイスだよ」
「わぁ、ありがとうございます、兄さま。アイスを買ってくれるなんて嬉しいです」
「全然良いさ。俺も食べたかったしな。さぁ、溶けちゃう前にさっさと食べようぜ」
「はい、わかりました。それじゃあ早速頂きますねっ……うんっ! このミルクアイス、凄く美味しいです! ふふ、良かったら兄さまも一口食べてみませんか?」
「え、良いのか? それじゃあ一口……ん、本当だ! ミルクが濃厚で美味しいなっ!」
「でしょう? 凄く濃厚で甘くて美味しいですよね」
「そうだな。それじゃあせっかくだし、エレノアも良かったら俺のイチゴアイスも食べてみるか?」
「えっ? 良いんですか? はい、是非とも食べたいです! それじゃあ早速……んん、このイチゴアイスも甘くて美味しいですね! ふふ、一口食べさせてくれてありがとうございます、兄さま」
「おうよ。俺もありがとな。それじゃあこのまま食べながらノンビリと王都の中を巡っていこうか」
「はい、わかりました」
という事でそれから俺達は一緒にアイスを食べながら王都の観光を続けていった。それは本当に楽しいひと時だった。しかしそれからしばらくして……。
―― ドンッ!!
「んあっ?」
「おっと?」
その時、エレノアと楽しく観光している途中で、俺は向かい側から歩いてきていた男と肩がぶつかってしまった。年齢は多分同世代くらいの男性だ。
「申し訳ない。俺の不注意だった。ぶつかっちまって本当に悪かった。怪我はないか?」
俺はすぐにその男に向かって頭を下げながらしっかりと謝っていった。しかし……。
「っち、テメェどこ見て歩いてんだよ! このボケが!! 俺にぶつかってくるなんてふざけたマネしやがって!! テメェ、舐めてんのか!!」
「……は、はぁ? いや、ぶつかったのはわざとじゃないからな? それでもぶつかった事自体は悪かったと思ったから、ちゃんと頭を下げて謝っただろ?」
「謝って済むんならこの世界には軍も警備隊も何も要らねぇよ! バカかテメェは!!」
「? いや、何でそこまでブチギレてるんだよ……?」
俺は頭を下げてしっかりと謝っていったのに、何故かぶつかった相手はブチギレながら俺に思いっきり怒号を浴びせてきた。こんなにブチギレる意味が全くわからない。
―― ダダダダダッ!
「……クロウズ様、どうされましたか!」
「……クロウズ様、そのように声を荒げてどうなさったんですか!!」
それからすぐに目の前のブチギレてる男の取り巻き連中がこちらに向かって走って来た。
「あぁ、たった今ふざけた事態が起きたんだよ。このボケカスが俺にぶつかってきやがったんだ。今日のコーディネートには数百万もかけてるってのに……っち。高貴なる俺にぶつかって来るなんてマジでふざけてやがる……!」
「な、なんですって!? おいテメェ! この御方は誰だかわかってるのか! 由緒正しきエルフォルン伯爵家の嫡子様であられるクロウズ・エルフォルン様だぞ!」
「そうだ! この御方は王都に住む由緒ある貴族様のアロウズ様だぞ! 貴様のような底辺のゴミカス男が気軽に触れて良いような御方じゃないんだ! それなのにクロウズ様にぶつかったなんて不敬過ぎるっ!!」
「は、はぁ? そんな由緒あるヤツだとか言われても、ぶつかったのはわざとじゃない……って、えぇっ!? クロウズ・エルフォルンだって!?」
取り巻き連中がその”名前”を口にした時、俺は驚愕としながらその男の顔を見た。するとその男の顔はまさかの……。
(ほ、本当だ!! この男……よく見たらあの“クロウズ”じゃねぇか!!)
俺はその男の顔をじっと見ながら心の中で大きく叫んでいった。なんとコイツはゲーム本編でも登場するキャラの一人だった。
ゲーム本編よりも少し若い感じはするけど、コイツは主人公のライバルキャラとして序盤から最後までずっと主人公に立ちはだかっていた……天才魔剣士の“クロウズ・エルフォルン”だった。




