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12話:親父に王都の学園に留学しろと言われる

 それから数日後の夕方。家族との食卓にて。


「アレン。急な話ではあるが、お前には王都の貴族学園に留学をして貰うぞ」

「……は?」


 家族との食事中、急に親父はそんな事を言ってきた。あまりにも唐突過ぎたので、俺は素っ頓狂な声をあげてしまった。


「え、えっと……何でいきなり王都の貴族学園に留学をさせるんですか? 俺は今も普通にこの街の学園に通ってますよ?」

「お前に留学をして貰う理由は至極単純だ。ようやくアレンにこの家を継いで貰う決心が付いたからだよ」

「は、はぁ……? いやそう言われてもよくわからないんですけど? というかもしかして……今まで俺に爵位を継がせる気は無かったという事ですか?」

「あぁ、その通りだ。言葉を選ばず正直に言うと、幼少の頃のアレンはどうしようも無いクソガキだったからな。だからこんなクソガキに継がせたらこのクロフォール家が崩壊すると思ったから、昔はお前に爵位を継がせるつもりなんて一切なかったんだ」

「あぁ、なるほど……」


 まぁそりゃあその通りだ。俺みたいなクソガキに貴族の家を継がせたら大変な事になるに決まっている。だから親父が俺に跡を継がせるつもりは無いと言ったのは限り無く正しい判断だ。


(それで多分ゲーム本編だと親父は聡明な娘であるエレノアにクロフォール家の当主になって貰う予定だったんだろうな)


 だけどゲーム本編ではエレノアは幼少の頃に悪人に攫われてしまうので、しょうがなく俺を当主にしたんだろうなぁ……。


 まぁでもその結果クロフォール家の当主になった俺は最低な圧政を敷いて街に住んでる人々を全力で苦しめていたし、最終的に主人公に捕まえられて処刑されてクロフォール家も滅亡させてしまった訳だから……親父の先見の明は正しいよな。


「まぁ俺がクソガキだったから、爵位を継がせるつもりが無かったのは当然ですね。でも今の父上の発言からして……もしかして俺に爵位を継がせるつもりになったという事ですか?」

「あぁ、その通りだ。アレンはこの数年間で人が生まれ変わったかのように見違えた男になったからな。セバスによる肉体トレーニングを毎日しっかりと受けているし、勉学や習い事も真面目に受けている。それに従者たちからの評判もだいぶ良くなってきているし、今のお前にならばこのクロフォール家の事を任せても良いと思ったんだ」

「そ、そうですか。そう評価して頂けるのは嬉しいですけど……でもトレーニングに関してだけは俺の意思でやってる訳じゃないんですが……」

「? 何か言ったか?」

「あ、いえ、何でもないです。父上から評価して頂いて光栄だと言っただけです」

「ふむ、そうか。という事でお前にはこのクロフォール家を今後継ぐためにも、王都の貴族学園に留学に行って貰う。そしてその学園で数多くの貴族家の嫡子や令嬢と交流をしっかりと深めてこい。その人脈こそがいずれお前を救う最強の武器になるからだ。だから少ない年月にはなるが王都の貴族学園に留学をしにいくんだ」

「なるほど。確かに人脈はとても大切ですね。この領地にずっといても貴族家と交流なんて全然出来ませんし、そういう学園に入って交流を深めるのは凄く大事かもしれませんね」

「そういう事だ。それにお前もそろそろ良い年齢だ。だから王都の貴族学園に留学して、気になる令嬢がいたら婚約者として迎え入れても全然構わな――」

「……婚約者?」


―― ピキッ!!


「えっ?」

「は?」


 その時、突然と辺り一面が凍った感覚に陥った。そしてその瞬間にエレノアが俯きながら何か小さく呟き始めていた。何だかちょっと怖いんだけど。


「え……えっと、ど、どうした? エレノア?」

「どうしたんだ? どこか痛くなったのか?」

「……ふふ、何でもありません。兄さまがこの家の当主になるべく、王都の貴族学園に留学に行かれるなんて……こんなの私にとってもとても誇らしく思う出来事ですよ」

「そ、そうか。俺の事を誇ってくれるなんて嬉しいよ」

「えぇ。ですが婚約者を探しに行くとなれば話は別です。そういう事ならば、その留学には私も一緒に付いて行きます」

「ふむ。別にエレノアも一緒になんて行かなくて大丈夫だぞ? エレノアはこの領地の学園に友達も沢山いるだろう? だから無理してエレノアも一緒に王都に留学なんてしなくて大丈夫だぞ」

「いいえ、大丈夫ではありません。兄さまには私がいなければ駄目なのです。何故なら兄さまは今まで女性との交際経験がありません。というか親しくしている女性すら一人もいませんからね! そんな女性交流の乏しい兄さまが由緒ある令嬢様たちとまともに交流なんて出来る訳がありません!」

「は、はい!? ちょ、ちょっと待って! エレノアさん!?」

「ふむ、そうだったのか? それは親としては初耳の情報だな。まぁ交際経験が無いのは別に構わないが、親しくしている女子すらいないなんてちょっと心配になるな。アレンはもしかして思春期でも拗らせてるのか?」

「うぐっ……い、いや、別にそんな訳じゃ……!」


 親しくしている女性がいないというのはちょっと語弊がある。俺たちは普段はこの街にあるごく一般的な学園に通わせて貰っている。だからそれなりに同世代の友人はいるんだ。


 でもその学園で男子と話す時は全然何も起きないんだけど……でも女子と話そうとするタイミングになると何故かいつも俺の隣にエレノアが立っているんだ。


 そしてエレノアは俺に対してはいつも甘えん坊なので、学園で会うと俺に沢山話しかけてくるんだ。その結果として女子話す機会が何故かいつもエレノアによってかき消されてしまう事ばっかりだったんだ。


 だから俺は思春期を拗らせて女子と話すのが恥ずかしいって思ってる訳ではないんだけど……。


「はい、そうなんです。実は兄さまは思春期を拗らせ過ぎてしまい、女子と話すのが億劫になっているのです。ですからこのままのシャイな兄さまでは貴族令嬢様と交流を深めるなんて無謀にも程があります」

「ふむ。そうだったのか。まさかアレンがそんなにもシャイな男子だとは思わなかったな……」

「え……い、いや、確かに女子と全然話せてないのはそうなんだけど、でもそういう訳じゃ……」

「そうなんです。兄さまはとってもシャイな男の子なんです。ですから義妹であるこのエレノアが、兄さまのサポート役を務めさせて頂きたいと思うのです。兄さまが貴族学園で御令嬢様と仲良くなるためにも、私も一緒に貴族学園に通って陰ながらサポートさせて頂きたいのです」

「ふむ、それは非常に助かる話だな。わかった。それではエレノアも一緒に王都の貴族学園に留学をして貰う事にする。そしてシャイなアレンのサポートを頼めるか?」

「はい、かしこまりました。私が全力でサポートをさせて頂きます。ですから兄さま……私に全て任せてくださいね?」

「え? え、えぇっと、まぁそうだな。何だかよくわからないけど、エレノアがサポートしてくれるって言うんなら、わかった。まぁよろしく頼むよ」

「えぇ、お任せください……ふふ、ふふふ……」


 という事で何だかよくわからないまま話が進んで行ったけど、俺はエレノアと一緒に王都の貴族学園に留学する事が決まった。


 別に俺が思春期を拗らせているとかシャイだから女子と全然話せないという訳では決してないけど……まぁでも流石に貴族令嬢と話すのは俺でも緊張すると思う。だからエレノアの提案は普通に有難いかもしれないな。


(そしてその結果として、エレノアのサポートのおかげで由緒ある貴族令嬢と沢山友達になれたら普通に嬉しいよな!)


 今まで女子とは全然交流が深められなかったから、この留学を機に沢山の貴族令嬢と仲良くなれたらめっちゃ嬉しいに決まってる。そしてそう考えるとなんかテンションがどんどんと上がって来た!


 よし、それじゃあ早速王都に行く準備と貴族学園に入る準備を始めていくとしよう! 今から留学するのがめっちゃ楽しみになって来たなー!!


……

……

……


「……ふふ……兄さまは……誰にも渡しませんからね……ふふ……」

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