5話 バケモノみたいなお婆さん。ほんとうにタイヘンなところですね地球って。
幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。
ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た
現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!
地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!
ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。
月といえばお饅頭!
うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。
ルンルンでタスケルするのです。
タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会いで、
うさぎとかぐやは
大切な人を助けるとはどういうことなのか?
自らの過去と向き合い、成長していく。
第5話です。
深い森の前に
月では見かけない
地球らしいレトロな家が、ぽつんと建っていました。
その家を、じっと見つめるうさぎの姿を、
かぐやは見つけました。
ピクリとも動かず、ただそこに立っています。
「どうしたの?」
かぐやは、そっとうさぎの肩を叩きました。
「ねぇ、かぐや…………
……………聴こえる?」
「え?なにが?」
「ぼっぼく…こんな音………聴いたことないよ
これは……
ほんっとうにすごいよ」
うさぎの驚愕するような表情に
かぐやは、ゾワッと鳥肌が立ちました。
「いいなぁぁぁああ!!!」
かぐやは、一気にワクワクしてきたのです。
「うらやましぃぃぃ!!」
大きな声で言いました。
うさぎは、目をひん剥いてフカフカの胸に手を当てています。
「ねぇ!!!うさぎ!どんな音なの!?
ねぇ!教えてよーー!」
「………………
…………なっなんか…
なんか…
分からないけど……
すごく……」
「すごくーーーーーー?????」
かぐやは、目をキラキラさせて
うさぎの言葉を待っています。
「タイヘン………
なのかな………?」
「はぁ?」
すると
その家から、人間のおばあさんが出てきました。
月の住人は、目が良いので離れていても
よーく見えます。
おばあさんの顔はヘンテコでした。
眉毛がつり上がって、
眉間に縦線がくっきり入っています。
歯は、ほとんど無くて
口は歪み、大きく開いて、しきりに何か叫んでいます。
(地球のゲームとか、映画に出てくるバケモノみたいね!)と、かぐやは思いました。
次に、少年が出てきました。
俯いているので表情までは見えません。
「あっ!あの子だよ!桃太郎だ!」
そのとき
大きな音がしました。
おばあさんが、持っていた棒で
桃太郎を叩いた音でした。
お餅をつくときとは、明らかに違う
鈍くて
重い
地球の音だった
「ごめんなさい!!!!」という
声が
森の中
地球の中
ふたりの身体の中に深く響いた
奥に留まるグルグルな音だった
これは"タイヘン"だ
かぐやは納得したのです。
ここ(地球)は、本当にタイヘンなところなんだ
moonTuberが、笑顔で言っていたことを
思い出しました。
「地球は、サイコウのタイヘンなんだよ!そして
サイコウのカナシイなんだ!」
どんなmoonTubeの企画より興味深い
どんな新着動画を観ても得られない
かぐやにとって、
飽きかけていた地球が
魅力を取り戻した日でした。




