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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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48話 一緒に生きられない寂しさ

幸せで豊かな【月の中】で暮らしている


うさぎとかぐやは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た、現代も大昔も不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい! 


ふたりは、サンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!

神様に許可をもらって、地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?   


かぐやとうさぎは、自らの過去と向き合い、地球で磨かれ、深みのある存在へと成長していく。

「おばちゃんと三人で暮らそう?」


外へ出て、岩田さんは桃太郎と手を繋いでいました。


「本当にいいの!?桃子も一緒だよね!?」

桃太郎の表情はキラキラと輝いています。


「ふふふ、もちろん!

お魚を食べましょうね。

飴も沢山あるんだよ〜」


「どっちも食べていーの?!」


「ふふふ、もちろん!」

桃太郎は長くて辛い日々から解放され、

顔つきが一気に子供らしくなった気がします。


「桃太郎幸せそうだわ…ね?桃ちゃん」


「だぁ〜」

桃子は腕の中で、お返事をしてくれました。


かぐやは少し離れたところから、

ボーーッと幸せそうな二人の姿を見つめていました。

「岩田さんがここに来てくれてほんとに良かったわ」

ぼそぼそと独り言を呟いていると、遠くから自分を呼ぶ声がしました。


かぐやーー


え?

うさぎ?


かなり離れたところにいるのでしょうか?

辺りを見回しても

フカフカの白いうさぎの姿は見当たりません。

岩田さんたちにも、何も聞こえていないようでした。


かぐやぁーーー


ハッキリと親友の呼ぶ声が聞こえます!


「うさぎ!!私はここよ!!」

大きな声に、桃子がビクッと反応しています。


「ねぇ、うさぎの声がしない!?」

こちらを見ている岩田さんと桃太郎に声を掛けました。

二人は首を横に振っています。


そんなはずないわ

うさぎが私を呼んでる!

再び耳を澄ましていると「かぐや!今行くから!」とハッキリ聞こえました。


声がした方向を見ると、少し離れた森の中から

うさぎが現れました。

畑の横を突っ切ってこちらに向かってきています。


猛スピードで駆け抜けるうさぎの姿は、今まで見たことがないくらい高速でした。


「うさぎー!!!こっちよ!!」

手を振って呼び掛けると、親友はロケットみたいに

あっという間にかぐやのところに辿り着きました。


「かぐや!!!」


「うさぎ!すっごく速いわね!」


「うん!凄いでしょ!

炎のうさぎさ!

それより!大変なんだよ!!」


うさぎは、ゼーゼー言いながら太もものポケットを外しました。


「大丈夫?…あれ?そういえばタヌちゃんは?」


「ここだよ!」

うさぎがポケットを下向きにすると、タヌちゃんがフワッと出てきました。


「えぇぇ!!!?ちょっと何やってんのよ!」


「違うんだって!仕方なくこうしたんだよ!

見て!罠を踏んじゃって足が酷いんだ!

たぶん毒だよ」


ポケットから出てきたタヌちゃんは、力なくグテッと横たわりました。

足を見ると、腫れ上がり変色しています。


駆け寄ってきた岩田さんと桃太郎も、驚いて声を上げています。


「タヌちゃんさん…なんてこと…」


桃子の抱っこを代わってもらい、かぐやはタヌちゃんをそっと優しく抱きしめました。


「うさぎと姫の友達なの?」

桃太郎も心配そうに覗き込んでいます。


「そうよ、タヌちゃんっていうの」


「桃太郎!ここにいたんだね!良かった!!」

うさぎは桃太郎に駆け寄りました。


「うさぎ、追いつけなくてごめんね」


「いいんだよ…僕の方こそ、置いていったりしてごめん」


「一人になって怖くて…

結局、この家に戻って来ちゃったんだ

…なにも出来なくて…死んだように寝てたんだと思う」

桃太郎は申し訳なさそうに言いました。


「うん、良いんだよ!無事で良かった」


「でも…戻ってきてよかったんだ!

岩田さんに会えたから!俺と桃子と三人で暮らしてくれるって!

うさぎと姫のお陰だよ

俺!嬉しいんだ!!」


「えぇ!?そうだったんだ!

ねぇ!かぐや見てよ!

桃太郎が笑ってるよ!?」

うさぎは、桃太郎が別人のようにニコッと笑顔で話す姿に驚愕しました。


「え?……う、うん

そうだね、俺……笑ってるね」

桃太郎は膝をついて屈むと、うさぎにギュッと抱きついて「うさぎと姫が助けてくれたからだよ。ほんとにありがとう」と言いました。


うさぎは、フカフカの手で友達の背中をトントンしています。

「ずっと頑張ってきたから…

幸せになってね!」


桃太郎はかぐやに視線を移すと、ニコッと微笑みました。


「………大切な話の途中でごめんなさいね、タヌちゃんさん…このままじゃ危ないと思うの」

岩田さんは遠慮がちに言うと、狸の足をそっと布で包みました。


「かぐや!救急セット持ってるよね?」


「え?えーーーっと…」

唐衣に縫い付けた特製ポケットのチャックを開いて中を探しました。

「えっと…………無いわ」


「えぇ!!?なんでだよ!?」


「うさぎのくれたお金を入れる為に…出したのね。

家だわ」


「くそ!!」


「仕方ないでしょ!」


「なんで持ってこないんだよ?!信じらんない!」


「はぁー?

あんたなんていつも持ち歩いてないでしょ!

馬鹿たれ!」


「誰が馬鹿だよ!

馬鹿はかぐや!おおバカぐや!」


「はぁぁぁ!?」


桃太郎はふたりのケンカを見て、ひゃひゃひゃっと笑っていました。

桃子もニコニコ元気いっぱいに身体を動かしています。


「そういえば…」

岩田さんは急に思い出したように、里親の家に走り出しました。

そして、注ぎ口の付いた大きい茶碗を手に持って

すぐに戻ってきました。


「中身はお酒だと思います!足にかけて消毒しましょう!」

狸をそっと土の上に寝かせると、

岩田さんは、腫れた足に向かってお酒をぶっ掛けました。 


すると、すぐに「ぎゃぁぁああ!!!!!!!」という

声が響きました。


そりゃそうだ…と思いながら、

「タヌちゃん!これ消毒なのよ!頑張って!」と声援を送ります。

目が覚めたタヌキは、うわぁぁん!いたぃよーと泣きながら、かぐやに抱き付きました。


「タヌちゃん、大丈夫!!?」


「うわぁぁぁ〜ん

かぐやひめぇ」

泣きながら叫ぶタヌちゃんは、またすぐにぐったりして意識を失ってしまいました。


「タヌちゃん!?」

最初は、足だから大丈夫だろう…などと軽く考えていましたが、ぐったりした身体に弱々しい呼吸。

本当に命の危機が迫っているのかもしれないと感じました。


「どーしたらいいの?

タヌちゃん、このままじゃ…死んじゃうかも…」


「でも、僕たち生死には関われないから大丈夫だよね」

うさぎは自分を落ち着かせるように呟きました。


「………うさぎ…タヌちゃんは人間じゃないわ」


「え……?」

月の住人は、地球の人間の生死には関われません。

けれど…タヌちゃんは人間・・では無いのです!


「狸だから…死んじゃうかもしれないわ!!」


「そんな!!!!!

かぐや!もう月へ帰ろうよ!」


うさぎは近くに待機していた觔斗雲のところまで走っていくと、かぐやのところまで引っ張ってきました。


「行こう!

月に行けば死なないじゃん!」

うさぎの目に迷いはありませんでした。


「わかってるわ

でも…タヌちゃんは月に住めないのよ!

神様に見つかって追い返されるかも!」


「でも!このままじゃ死んじゃうよ!」


「そうよ!だから、何か作戦を考えないと…

いいアイディアがあるはずよ」


「そんなのないって!

考えてる間に死んじゃうよ!

とにかく、帰ってみようよ!

きっと大丈夫だよ!」


「すぐに神様にバレて終わりよ!

うさぎ、なにか考えないと!」


「とにかく!!!帰ってみようよ!

なんとかなるよ!

僕これでいいって感じるんだ

いつものかぐやみたいにね!

連れて帰って良いって。何か…………分かるんだよ!」


うさぎは、本気で言っているようでした。


いちいち申請して、いちいち許可を取って…

あの馬鹿みたいに真面目なうさぎが、ルール違反をしようとしているのです。

「どうしちゃったのよ、うさぎ」


「へへっ

成長して深みのあるうさぎになったんだ

かぐやこそ、どーしちゃったのさ

いつもなら即決なのに」


「…」


「行こう!かぐや!」


「そうね…タヌちゃんを助けたいもん

月へ帰ろう!」


「月へ…?」

岩田さんはふたりを見つめて言いました。

「やっぱり本物の月の兎さんなんですね?」


「えっと…あのーーーそれは…」

うさぎは目をキョロキョロ動かして、言い訳を考えています。


「そーなの

異国って、実は……月なのよ」


「ちょっ!!かぐや!!」


「もういいわよ!岩田さんは大丈夫。

ねぇ、これ…」

觔斗雲にタヌちゃんを寝かせてから、

一番上に羽織っていた、お気に入りの唐衣を丁寧に脱いでいきます。


「私が縫い付けたポケットが付いてるけど…価値としては相当なものになるはずよ」

かぐやは大切にしていたものを、岩田さんの両手へ渡しました。

「もし桃太郎と桃ちゃんを育てていく中で、困ることがあったらこれを売って?お金に換わるでしょ?

あとこれも…」

觔斗雲を収納するための、月のネックレスを首から外しました。

「雲はあげられないけど、これも貰ってくれる?

日本だと水晶っていう名前だと思うわ、かなり高く売れるはずよ」


岩田さんは呆然としていました。

「……頂けませんよ、こんな高価なもの」


「あなたにあげたいのよ」


岩田さんはポロポロと涙をこぼして泣き始めました。

「どうして…そんな…」


「あなたは本当に素敵な人よ

最初は、地球の大人はロクなもんじゃないと思ってたけど…

あなたは違うもん

私にも…助けさせてよ」


唐衣とネックレスを受け取った岩田さんは、大切そうに抱えています。


「娘も…生きていたら、あなたみたいな素敵な女性になったかしら?

ありがとう…ありがとう……かぐや姫」


「かぐや!!タヌちゃんが苦しそうだよ!!」


タヌちゃんは、うぅ〜んと首を左右に振って苦しそうに呻いています。


「うまれかわっても…タヌキにぃ~……」


「タヌちゃん!しっかりして!」


「うさぎはいいやつだった〜うぅ~ん」


かぐやは觔斗雲に腰掛けました。


「桃太郎、桃ちゃん……さよなら」


「姫、本当にたくさん…ありがとう!」


「いいのよ!桃ちゃんも元気でね」

頭を優しく撫でると、だぁー!とお返事してくれました。

「m.uの髪飾り大事にしてよね……バイバイ」


もう一度、桃子を抱っこしたかったけれど

こうしている間もタヌちゃんの苦しそうな声が聞こえてきます。


「もう行くわね

ありがとう!みんな!!

………うさぎ急ぎましょ!」


さんにんは雲に乗り、月へ向かいます。


徐々に高度を上げてフワァと上空へ昇っていくと


「ねぇ!また会える?!」

桃太郎が叫びました。


「うん!また会えるよ!」

うさぎは手を振って答えます。


「かぐやひめー!!!

俺は!梨がすっごい好きだったよー!」


桃太郎の遅れてきた感想に、声を出して笑いました。


「アハハッ

遅いなぁーもぅ」


「ありがとうございます!!かぐや姫!!

この子たちを立派に育ててみせます!!

いつか遊びにきて!」

岩田さんは大きく手を振って叫んでいます。


「うん!

分かってるわ!

安心して暮らしてね!

またね!!!」

かぐやも大きな声で答えました。


急いでいて力を入れすぎたせいか、

觔斗雲はかなりハイペースで上空へ加速していきます。


桃太郎と桃子、

一生懸命手を振ってくれる岩田さん


少しずつ

少しずつ

小さくなっていきました。


大切な地球の人たちが、米粒のように小さくなって


そして、

遂にふわっと消えました。


大丈夫

あなたがいれば

桃太郎も桃ちゃんも絶対に大丈夫よ

わかるの

私には。


また会える可能性はゼロではないのに

とても悲しくなりました。


かぐやは、同じ場所で生きられない寂しさを感じました。


胸が苦しくて、それでも「仕方ない」と納得しなければいけない痛みに、ポロッと涙が溢れました。



そして、


地上では三人も寂しそうな表情で空を見上げています。


「かぐや姫は……とても素敵な人でしたね。

わたしの知っているかぐや姫とは全然違いました。」


「え?どーいうこと?」

桃太郎が不思議そうな顔で尋ねます。


御伽草子おとぎぞうしで、かぐや姫の物語を聞いたことがあるの。

あまりにも違いすぎるから…たぶん別人ですけどね」


「そうなの!?」


「えぇ

実際に会ったかぐや姫の方が素敵でした

面白くて…怒りっぽくて…器の大きな人。

あっ!思い出しました

竹取のたけとりのおきなってお話ね!

わたしは、あのかぐや姫は好きじゃないの」


「そうなんだー

たしかに、友達の姫は可愛くて優しくて

大好きだよっ

うさぎも大好きだよ!フカフカなんだ!」


「ふふふ

桃太郎くんは大きくなったら

かぐや姫みたいなお嫁さんをもらうと

いいですよ」


「え!?そうなの?

……うん、じゃあ結婚するよ!」


「ふふふっ

ねぇ桃太郎くん。

かぐや姫は…から生まれたのよ…」


「そーなのー?知らない!

もっと教えて〜」


岩田さん、桃太郎と桃子たちは豊かな村へ向かって

進んで行きました。


※竹取物語=竹取のたけとりのおきなです。


御伽草子おとぎぞうしとは、室町時代を中心に庶民層で流行した、読んで聞かせて楽しむ「物語」のことです。

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