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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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46話 僕は神様に助けられた炎のうさぎ

幸せで豊かな【月の中】で暮らしている


うさぎとかぐやは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た、現代も大昔も不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい! 


ふたりは、サンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!

神様に許可をもらって、地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?   


かぐやとうさぎは、自らの過去と向き合い、地球で磨かれ、深みのある存在へと成長していく。

うさぎは、リアル森のカフェへ行くのをやめることにしました。

桃太郎の里親の家まで急ぎます。


早くかぐやと合流して、タヌちゃんの手当てをしなければ…


タヌちゃんの頭の中の音は聞こえなくなりました。


心臓のドクドク…も弱々しくなっています。


けれど、うさぎはどこか落ち着いていたのです。

月の住人は、地球で起こる生死について直接は関われないからです。

かぐやも言っていました!


狸を背負いながら、「大丈夫だからね!タヌちゃん!」と声を掛けます。


返答はありませんでした。


タヌちゃんの足から血は出ていませんが、

細い足が何倍にも膨れ上がっています。


罠については、よく知らないけれど

キツく締め上げたくらいでこんなに腫れるなんて

おかしい気がします。

足の色も赤黒く変色しています。


毒かもしれない

罠に仕掛けられていたのかも


地球は色んなものが存在できる場所、

毒と鬼がペアになることもできるのです。

そして、

そこには善きものたちも同時に存在しています。


うさぎの毛は逆立ちました。

足に力が入り恐怖を感じたのです。


毒を塗った罠を仕掛ける

その意味は?

毒を塗る必要があるのか?

そういうことをする輩がいるのは、周知の事実であり、最新版の地球でも明確に傷つける意図を持って

善きものを苦しめる者が存在しています。


一体何をしたいのか…


どうしてそんなことをするのか

全く理解できない


月の兎に理解できる訳がありません。


きっと犯人は、地獄出身の鬼なのだろう

それなら納得ができる、毒を塗って更に苦しめることをするなんて…地獄出身の畜生しかいない。


ふと桃太郎の里親のことを思い出しました。


あいつらはどうだろう?


先天的な鬼では無い気がしたのです。


あのお婆さんは鬼のような形相で、映画に出てくる化け物のような恐い顔をしていました。


怒りに満ちていたのです。


怒りに支配されていた…とも言えます。


かぐやもたまにキーキー言っているけれど

そういうのとは全然違います。

月の住人は、怒りに支配されるような状況になることがないのだから…。


僕は例外だけどね。

違ううさぎだったときのことを思い出したあと、

マグカップに映った顔は、あのお婆さんみたいでした。


《苦しんだのはお爺さんのせいだ》と、嘘つきな神様…お爺さんに対して怒りを感じました。

 

自分で選んだことをキレイさっぱり忘れて、

お爺さんは頭がおかしい!サイコだと本当に思っていたのです。


お爺さんのことを大好きだった気持ちも忘れてしまい

人のせいにして、怒りに支配されました。


桃太郎の里親も忘れてしまったのかもしれない

どんな気持ちで桃太郎と桃子を引き取ったのか。


何かを子供のせいにしているのかもしれない

生活が苦しくて食べ物がないことを

子供たちのせいだと思っているのか?


僕には分からない…

それでも、最初は『助けたい』と思っていたのかもしれない


たぶん…

たぶんね



桃太郎の音を、初めて聞いたとき素敵だと思いました。

悲惨な状況にいる音を。


僕、ほんとに馬鹿だった

浅かった

助けるとか言っといて

その状況にいる桃太郎のことや、里親について

ちゃんと考えていなかった。


タヌちゃんが思い出していた《鹿の為に手を合わせた話》は、正直意外でした。


散々、うさぎの悪口を言って悪態をついているのに

鹿に対しては供養の為に笠を編んだのです。


タヌちゃんは、地球で色々な経験をして生き抜いてきた深みのある存在であり、本物なのです。


うさぎを恨む気持ちは消えなくても、他の存在たちに対して慈しむ心を持っています。


それは、自分も悲しく苦しい経験をしたことがあるからでしょう。

うさぎには傷つけられたことがあるから

どうしても許せない!と憎んでいても、


恐ろしい思いをしている鹿に対して、安らかに眠れるように…と手を合わせて祈ったのです。


タヌちゃんは、とてもマトモな狸だと思いました。


鹿を見て、「なんで罠を踏んでしまうようなところに

近付いたのか?」とは、1ミリも思っていなかったのだから。

苦しむ鹿に対して、素敵だとは感じていなかったのだから。


タヌちゃんは、イカれた狸ではありません。


………そうだね

うさぎのほうがイカれているよ


マトモなうさぎでは無かった


狸の言う通りだ。



背中で「うぅ…うぅ…いたぃ」と、苦しそうに呻く声が聞こえてきます。


うさぎのスピードは上がりました。

一生懸命走ります。


「僕は未熟な月の兎!

それでも

諦めたりしない!」


「誠を尽くす!」


「そうだ!」


「まだまだ!」


うさぎは自分を鼓舞し、走り続けました。


林は森になり

草が増え

陰も増して

うさぎの身体は、どんどん重くなっていきました。


足はカチコチになり

うさぎの心臓は、タヌちゃんのドクドクとは反対に

たくさん波打って

息が出来なくなっていったのです。


苦しい…

苦しい…

まだまだ辿り着かないよ

どうしたらいい?

ねぇ…


うさぎの問いかけに誰も答えてはくれません。


こんなときでも、サンタは助けてくれないでしょう

サンタはそういう人なのです。


「ぐぬぬぬぬ……!

諦めたりしない………できるよ」


狸を背負って進むのは、うさぎの身体ではとても大変なことでした。


ペースはどんどん遅くなっていき

ほとんど足を踏み出せなくなっていました。


その場で、狸をおんぶしたまま立ち止まっているような状態だったのです。


それでも、

うさぎはしゃがみ込むことはありません。


僕…たくさん走ってきたよね


今が一番辛い気がする


…………いや


いや、まさか…


あのときよりはマシだ


お爺さんにカブを届けられなかったあの日より

全然マシだ


お爺さん今どこにいるんだろう…?

ねぇ

誠を尽くしているよ?

でも…今度は間違ったりしないからね。


「僕は月の兎

諦めたりしないのさ」


うさぎは、少しずつ…フラフラと歩きました。


ひとりでも狸を助けられる


やり切れるさ


ひとりでも辿り着けると信じてる


「僕は………月の兎だ

お爺さんに助けられた……炎のうさぎ…

……かっこいいだろ?

………諦めたりしないんだ」


言葉とは裏腹に

うさぎの視界はジワジワと黒くなっていきました。


足が炎に包まれたときのように

熱くなり


首は煙を吸い込んだときのように

絞められて

空気が入ってこなくなりました


ビリビリ

ヂリヂリ

音を立てているように身体が縮んでゆく


誠を尽くすと

また死ぬぞ


どーする?


狸を置いていったら

狸は死ぬぞ


でもこのままでも

うさぎも死ぬぞ


どーする?


助けるために死ぬのか?


それはオカシイだろう

同じことの繰り返しだ


諦めて狸を置いていくしかないな


かぐやのことも置いていったもんな?


桃子のことを、一人で探せば?と偉そうに言ったくせに、ノコノコ戻ってきて「桃太郎がいない!」と泣きついていただろう


まったく…

情けないうさぎだ


かぐやのほうが、ずっと深みのある存在だったじゃないか

無力なうさぎめ


お前に狸を救うことなんて出来ないよ



頭の中から聞こえる声の主は、地獄の畜生だろう


うさぎに欠けていたものだ



「僕は!!!

神様に助けられた炎のうさぎだ!!!

諦めたりしない!!」

うさぎは大声で叫びました。


「僕は地獄に行くはずだった月の兎!

チャンスをもらった!

誠を尽くす為に生きている

大好きな神様に助けられたんだから!!!」


その声は木霊して

答えが返ってくるように森のなかで反響しました。


《助けられた》という部分が

やけに大きく響いていたのです。


すると…

おまんじゅうを沢山配ってきたことを思い出しました。


小さい手に一つ、二つ、三つ…


毎日、毎日いろんな手に一つ、二つ、三つ…


最初は子供の手の平だけでした。 


そのうち、大きな手やシワシワの手も現れました。


食べても無反応の人達や

ほうきを持って追いかけてくる怖い人までいましたが


うさぎの記憶は、

『ありがとう!おまんじゅうに助けられたよ!』と

声を掛けてくれた人たちの笑顔で締めくくられています。


残り少ないおまんじゅうの箱は、今も大切に収納されているのです。


うさぎのポケットの中に…


突然、ピンポーン!と正解のブザーが鳴った気がしました。


うさぎに良い考えが降ってきたのです。


「タヌちゃんを

ポケットに入れればいいんだ!!!!!!!」


うさぎのポケットは、大きなものでも小さく収納できる魔法の逸品です。


さすがに生き物を入れたことはありませんが…。


それでも、この局面を乗り切るための神様のアイディアであることが、うさぎにはすぐに分かりました。


たぶん、こんなことをするのは月の住人で自分が

初めてだろうと思います。

それでも、このままではタヌちゃんが危ない

迷っている暇なんてありません。


少し前まで、おまんじゅうの箱でいっぱいだった

ポケットの中も、今なら余裕があります。


やるしかない!


狸を収納しよう!


「少し我慢してね」

太ももに付けているフカフカしたポケットをいったん外してから、タヌちゃんの頭に被せました。


いつも通りスポンッ!と、狸の身体はポケットのなかに収まりました。


中を覗き込むと、おまんじゅうの箱の横で丸くなっているタヌちゃんがいました。


「よし!ちゃんと息してるね!

でも冷蔵機能で少し寒いかも……?

まぁ…………

それくらいはいっか!

イカれたうさぎってことで!」


再び、ポケットを太ももにピタッと貼り付けました。


「これでトップスピードで、桃太郎の家まで

行ける!」


タヌちゃん!

桃太郎!

大丈夫だからね!


「僕は新しい選択が出来たんだ!!!」


誠を尽くせと言った

お爺さんの小さい、やさしい声に従って

再び猛スピードで走り出しました。


その姿は【地球で燃えてしまった可哀想なうさぎ】では無く、【困難を乗り越え駆け抜けている最高に深みのあるうさぎ】でした。


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